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2011_ナビスコ2回戦・・勝負への興味が失せてからは選手たちのプレーイメージを観察していた・・(ARvsR, 1-2)・・(2011年9月28日、水曜日)

あららっ、勝負の行方が決まってしまった・・。それは、前半6分のこと。

 ということで、そのレッズ先制ゴールからは、観察の視点を、選手たちのプレーイメージ(どのようにプレーしようとしているのかというポイント!)に集中させざるを得なくなってしまった。

 ところでアルディージャ。記者会見で鈴木淳監督がコメントしていたように、前半は失点ゼロでしのぎ、展開によって後半に勝負をかけるプランだったようだね。だから、主力のラファエルや東慶悟をベンチスタートにした。

 まあ、彼らの場合、中二日で3試合が連続するわけだし、第一戦を「0-2」で落としているという状況だから、分からないわけじゃないけれど、その先発メンバーを見たときは、ちょっと残念だった。そしてゲームがはじまって6分後に、もっと落胆したっちゅうわけです。あははっ・・

 ということで、選手たちのプレーイメージ・・

 とても慎重に(失点しないように・・と)プレーしていたアルディージャの選手たちだけれど、前半23分に2点目を奪われてからは、完璧にフッ切れた解放サッカーを展開した。

 シンプルなタイミングで、ポンポンと軽快にパスをつなぎながら(ボールをしっかりとキープしながら)試合を支配しつづけるアルディージャ。もちろん、簡単にレッズ守備ブロックを振り回して決定的スペースを攻略できるわけじゃないけれど、彼らが展開する、軽快に人とボールを動かしつづける(彼らが志向する)プレーイメージを如実に表していた。

 ・・いいね・・高質な組織サッカー・・見ていてとても心地よかった・・鈴木淳監督の優れたコンセプトと(心理)マネージメントの確かなウデを感じていた・・

 対するレッズのプレーイメージ。

 スタメンの(選手タイプの)組み合わせでは、うまく組織サッカーが機能していたね。ゼリコ・ペトロヴィッチも、シンプルに、シンプルに・・というイメージ作りをしていると聞きます。でも・・

 たしかにスタメンでは(前から・・デスポトビッチ、原口元気、山田直輝、梅崎司、マルシオとアンカーの鈴木啓太・・それにオーバーラップしてくる両サイドバック)まあまあシンプルにボールが動いてはいた。そんなシンプルな「動き」の演出家は、言わずと知れた山田直輝。またデスポトビッチも、シンプルな展開をイメージしていたと思う。

 でも、やっぱり、パス&ムーブやワンツーも含めた「ボールがないところでの動き」の量と質が、まだまだ足りないとも感じていた。

 何といっても、パスの絶対的ベースは「人の動き」なんだよね。要は、パスを「呼び込む・・引き出す」ようなボールがないところでのフリーランニング(ここではパスレシーブの動き)こそが大事だということです。

 ゼリコ・ペトロヴィッチも、そのことをよく分かっているからこそ、シンプルな「動き」を強調しているんでしょ。そうね〜、たしかに組織サッカー的なマインドが少しは好転していることも感じていたし、この試合のハーフタイムでのゼリコ・ペトロヴィッチも、「難しいことはせず、速いボール回しから、マゾーラやデスポトビッチ、はたまた梅崎司を使って仕掛けていこう・・」なんていう指示を出していたということだから・・。でもね・・

 そう、マゾーラとセルヒオが出てきてからは、以前の、個人勝負のブツ切りサッカーに逆戻りしてしまったんですよ。

 確かにこの二人は、爆発的なドリブルパワーを秘めている。でも、そのチカラを「ゴリ押し」し過ぎるから、結局は、実の効果レベルをアップさせられない。要は、攻撃の目的である「シュートチャンス」を演出するという視点じゃ、逆効果・・といっても過言じゃないのですよ。フ〜〜・・

 ホントに、やり過ぎ。シンプルにパスを回して走れば、もっと効果的にスペースでボールを持てるはず。そうすれば、彼らの個の勝負(まあ・・ドリブル勝負)能力も、より大きな効果を発揮できるに違いないのにね〜〜。

 ところで原口元気。この試合では、2点目を奪ったところでお役後免となった(マゾーラと交替した)わけだけれど・・

 ここで言いたかったことは、彼のプレー内容(イメージ)。レッズでプレーするときと、関塚ジャパンでプレーするとき、とても大きなギャップがあると思うのですよ。

 要は、関塚ジャパンでプレーしているときの方が、守備参加やボールがないところでの動きの量と質(組織プレーマインド)が、格段に良いと感じているわけです。さて・・

 今日はこんなところです。ではまた・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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