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2011_ナビスコ準決勝・・レッズにとって今シーズン最高のサッカーでした・・(RvsGA, 2-1)・・(2011年10月9日、日曜日)

この勝負マッチに先立つ、もう一つの準決勝(グランパスvsアントラーズ)は、自宅でのテレビ観戦で最後までしっかりと見届けました。そして、ホッと胸をなで下ろしていた。

 決定的チャンスの量と質という「結果的な」視点も含めたサッカー内容で上回っていた方のチームが勝ち切ったわけだからね。そう、アントラーズは、素晴らしいサッカーで、勝者に相応しい結果「も」奪い取ったのです。

 ところで、テレビの映像作り。それは徐々に進歩していると感じますよ。

 まあ、フジテレビやNHKの映像作りには定評はあるけれど、スカパーでも、低レベルの映像作りは(サッカーの本質に興味がなく、我々から本質的な楽しみを奪い去るディレクター&カメラマンコンビは!?)マイノリティ−になりはじめているということかな。良かった、良かった。

 あっ・・そうか・・ついでだから、昨日のヨーロッパ選手権予選、モンテネグロ対イングランド戦のテレビ中継での映像作りにフラストレーションが溜まったことも書いておこう。

 カメラが、まさに「寄り過ぎ」で、ボールがないところでの動きやせめぎ合いは、まったく確認できなかった。アレって、モンテネグロが、ボール周りの勝負(要は、個の勝負)にこだわっているからなんだろうか。たしかにモンテネグロには素晴らしい天才ボールプレイヤーが多く、イングランドの猛者ディフェンダーをキリキリ舞いさせていたっけ。まあ、映像作りには文化的なバックグラウンドもかなり影響しているっちゅうことか!?

 とはいっても、日本は、コレクティブ(組織)サッカーこそが真骨頂なんだから、とにかく、ボールがないところでのドラマもしっかりと視野に入れてくれなきゃね。もちろん、選手の顔「しか」観ない人たちもいるだろうけれど・・フ〜〜・・

 あっと・・グランパス対アントラーズ。

 途中出場した本山雅志の「ノールック・スルーパス」によって勝負が決まったこのゲームには(抜け出した柴崎岳のキャノンシュートが決まった!)、こんな視点もあったっけ。

 決定的チャンスを作り出し、ビシバシと決定的シュートをブチかましつづけたアントラーズ。でも、そのほとんどが、グランパス守護神の楢崎正剛のスーパーセーブによって、ギリギリのところで防がれてしまった。

 それに対してグランパス。一点を追いかけていたことで、最後は「後先を考えない!?」必死の攻め上がりで何度かチャンスを作り出したけれど、彼らの場合は、ほとんどがシュートミスになってしまった。

 要は、必然的な楢崎正剛のファインセーブによってチャンスを潰されたアントラーズに対し、グランラパスは(これまた必然的な!?)自滅パターンだったっちゅうことです。思い返してみても、とても面白い現象だったよね。

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 さて・・ということで、スタジアム観戦したレッズ対ガンバ。

 結論から言えば、攻守にわたって、今シーズン最高のサッカーを魅せたレッズが、まさに順当にナビスコカップの決勝へと駒を進めた・・っちゅうことになります。

 観ているこちらも溜飲を下げた。また記者会見でのゼリコ・ペトロヴィッチも、「この試合の内容については、何も言う必要はありませんよね・・」と、満足げに語っていた。

 とにかく、レッズは良くなっている。それも、「格段に」という形容詞がふさわしい程に・・

 それは、攻守にわたるアクションの量と質がアップしたからに他ならない。とにかく、全体的な運動量が格段にアップしているのですよ。意識と意志の充実!?

 もちろん選手たちの「動き」は、決して距離をかせぐジョギングなんかじゃない。そこでは、確固たる(成し遂げたい!)目的イメージをもっているからこその「意志の爆発」があった。そう、攻守にわたって、彼らの強烈な闘う意志が迸(ほとばし)るような全力スプリントのオンパレードだったのです。

 ニュートラルな視点で分析する私だけではなく、レッズを愛してやまない方々にとっても、とてもハッピーな、賞賛に値する出来事だった。そして、多分その方々の脳裏には、さまざまな意味合いを内包する「ポジティブなイメチェン」というエモーション(印象)が鮮烈なカタチで残ったに違いありません。フムフム・・

 とにかくレッズは、とても良いサッカーを展開した。忠実でクリエイティブ、そしてボール奪取イメージが連動するような高質なディフェンス。そしてそれをベースにした、組織プレーと個の勝負プレーが、とてもハイレベルにバランスした攻撃。とても良かった。

 特に、カウンター(気味も含む)状況で、まさにフッ切れた爆発ドリブル勝負をブチかましていくセルヒオと梅崎司が、凄かった。

 セルヒオ。

 この試合では、最後まで、攻守にわたる汗かきプレーの勢いがダウンすることはなかった。守備での忠実なマークと、相手を追い込むチェイス&チェックにも、強烈な意志の爆発を感じた。だからこそボール奪取勝負でも、彼本来のスピードとパワーが存分に発揮された(まあ・・ボールを奪いかえすスキルは向上の余地ありだけれど・・)。

 そして、そんな積極的な守備姿勢があったからこそ、攻撃でも、ドリブルやコンビネーションなど、これまでにないほど効果的な勝負プレーをブチかませていた。パス&ムーブや、ボールがないところでのフリーランニングも、これまでより二段はシフトアップしたと感じたし、勝負ドリブルにしても、相手が恐怖感を抱くほどの迫力があった。

 そして何といっても、最後のフィニッシュまで「気力が衰えなかった」ことが特筆だった。

 以前に何度も書いたように、彼の場合、「プロセスでの良いプレー」に酔っぱらってしまうコトが多かったのですよ。私は「プロセス・マスターベーション」と呼ぶ。そんなこともあって(!?)、肝心の最終勝負のときに集中切れが起き、ラストやクロス、はたまた肝心のシュートにしても、だらしのないフィニッシュになってしまうケースが目に付いていたのです。それが・・

 ホントに素晴らしいかったよ。最後の最後まで「強烈な闘う意志と意地」を魅せつづけてくれたセルヒオ。これからは、これまでのレギュラー組から恐れられ、一目置かれる「ライバル」として存在感をアップさせていくに違いない。

 そして梅崎司。皆さんも観られたとおり、もう彼のことについては書く必要なんてないとも感じますよ。攻守にわたる実効プレーが、異質と感じられるほどに人々の興奮を誘ったものです。

 とにかく、彼がボールを持ち、相手に対して、スッスッと突っ掛けていく状況になったら、自然とスタンドがザワつき、それが大きな歓声となってスタジアム全体を包み込んだモノです。それほど、彼のドリブル勝負&シュートチャレンジは、人々の期待感を高揚させた。もちろん私も含めてネ。

 そして、この二人「も」、しっかりと効果的に絡みつづけたレッズの組織サッカーが光り輝くのです。

 この二人も、必要に応じて、シンプルプレー&ムーブという組織プレーの基本に忠実なプレーを展開する。だから、誰もボールをこねくり回すことなく、人とボールが、スムーズに、そしてスピーディー&ダイナミックに相手守備ブロックのウラスペースへと動きつづけるのです。

 だからこそ、マルシオにしても柏木陽介にしても、とても効果的に最終勝負プロセスの流れに乗れていた。

 特にマルシオは、とても気持ちよくプレーしていたと思うよ。やはり彼は、組織サッカーの申し子なんだよ。そんな彼に、個のエゴイストプレーを期待する方が間違っている。彼が本領を発揮するのは、流れるような組織サッカーのなかで、タイミングよく個の天才勝負プレー(コンビネーションからのラストパスや勝負ドリブル)を繰り出していくときなんだ。

 とにかく、この試合での組織コンビネーションは、特筆モノだったね。そして、その絶対的ベースは守備にありというわけです。

 最前線にデスポトビッチを残してバランスを取る守備ブロックは(あっと・・デスポトビッチも、何度も効果的に守備参加していたっけネ・・)、とても素敵に機能していたと思う。もちろん、梅崎司やセルヒオも含めてネ。

 誰もが、チェイス&チェックに代表される汗かきプレーをいとわなかった。だからこそ、最終ラインも、予測ベースの効果的な勝負を挑んでいけた。

 「あの」ガンバが、レッズ最終ラインのウラに広がる決定的スペースを「明確には」攻略できなかったんだからね。レッズ守備ブロックの堅牢さ(イメージが連鎖する協力ディフェンスの優れた機能性)は推して知るべしだね。

 特に濱田水輝。センターバックとして完璧なブレイクスルーを果たしたということなんだろうね。レッズは、オリンピック代表の関塚隆監督にも感謝しなければいけないのかな!? さて〜・・

 余談だけれど、素晴らしいサッカーを展開したゼリコ・ペトロヴィッチに、こんな質問をしてみた。

 「素晴らしいサッカー・・選手は、とても解放されたプレーをしていたと思う・・それは、選手たちに対する監督の信頼感が高まったことの証だとも感じるが・・」

 数字を羅列するシステムとは関係なく、この試合でのレッズ選手たちは、活き活きと活発にポジションをチェンジしつづけていた。にもかかわらず、攻撃でも「次の」守備でも、選手間のポジショニングバランスが崩れることはなかった。

 選手たちに対して基本ポジションを守らせることに固執し過ぎると、さまざまな意味合いを含む「自由で闊達・積極的な意志」を阻害してしまう。その状況が好転したのだろうか、このところのレッズの攻撃は、とても流動的なモノへと発展しはじめたと感じた。

 その現象は、わたしにとっては、まさに「解放」という表現がピタリと当てはまるモノだったのです。

 わたしは、多分ゼリコ・ペトロヴィッチが、選手たちを、より自由にプレーさせるようになったことの成果だと思っていた。換言すれば、ゼリコ・ペトロヴィッチが、選手たちの意志をより尊重し、彼らをより信頼するようになったと思ったわけです。

 でも、その質問が、ゼリコ・ペトロヴィッチの癇(かん)にさわったみたいだったね。

 とても憤慨したように、「選手たちは、最初から解放されていた・・選手たちとの信頼感は以前から深かった・・」ってね。フ〜〜・・

 まあ、言葉尻をとらえれば、そうかもしれないけれど、私は(わたしの意見としては)以前のレッズ選手たちが、ちょっと「カタチにこだわり(囚われ)過ぎていた」と思うわけです。だから私は、以前から「レッズ選手はもっと解放されるべき・・」という表現をつかっていた。

 要は、もっと選手を信頼し(必要なとき必要なリスクチャレンジだって勇気をもって繰り出していけること等に対する信頼感!)、より大きな自由を与えるべきだ・・そうでなければ、小さく縮こまった(運動量の少ない・・)動きのないサッカーに落ち込んでしまう・・という思いからでした。

 そんな思いを、その質問に込めたわけです。でも・・

 ということで、記者会見の後で、彼と通路で話し合うことにした。そこで彼に、下記のようなニュアンスの内容を伝えた。

 彼は、ドイツ語ではなく、英語の方が堪能のようだったので(こんな会話を通訳の林さんに頼むのも失礼だから・・)結局は、英語で直接コミュニケートすることにした。

 ・・オレの質問には、決してゼリコに対するパーソナルな悪意など入っていないよ・・もちろん、サッカーを愛する一人のジャーナリストの個人的な考え方をベースにした質問には違いないよな・・だから、もちろんネガティブなニュアンスの表現も出てくるさ・・

 ・・でも、どうもゼリコのなかでは、わたしの言葉が一人歩きしてしまっているように感じる・・誤解としてね・・ゼリコは、ゼリコなりに解釈するのだろうけれど、それが、わたしの本意とは違っているかもしれないという可能性も考えて欲しい・・

 ・・オレは、オレなりにサッカーを愛している・・でも、繰り返すけれど、ゼリコに対して、パーソナルな悪意をもっているわけでは決してないし、選手時代のゼリコは、オレのアイドルでもあったんだぜ・・でもサ、ゼリコだって、オレに、「ペトロビッチは素晴らしいコーチだ・・彼のサッカーは素晴らしい」って、いつも書いて欲しいわけじゃないだろ?・・まあ、とにかく、考え方や言葉の行き違いがあるようだし、今度、そのことについて時間を取って話そうか・・

 ということで、来週にでも、レッズのトレーニングを訪問することにしました。私にとっても、とても創造的&想像的な学習機会になるはずだからね。自分のなかにある素直な「心」から、ゼリコ・ペトロヴィッチとのコミュニケーションが、本当に楽しみで仕方ありません。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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