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2012_ACL・・緊迫感120%の勝負マッチだった・・(レイソルvs広州恒大、 0-0)・・(2012年4月4日、水曜日)

昨シーズンの中国超級(スーパー)リーグ覇者だということだけれど、たしかに広州恒大は、勝負に「は」強そうなチームだね。「個」のクオリティーも、それなりに高いし・・。

 ということで、そんな彼らの強さの絶対的なバックボーンだけれど、そのコアは、何といっても最終ラインのセンターバックコンビと、守備的ハーフコンビで形作る「ボックス」だと思いますよ。それが守備ブロックの絶対的バックボーンになっているわけだけれど、その機能性は、まさにスーパーなんだよ。

 そんな強力なディフェンスブロックをベースに、攻撃となったら、最前線の、15番、11番、9番をつけた外国人トリオと、29番のガオで構成される仕掛けカルテットに、タイミングよく(どちらかの!)サイドバックも絡んでいくわけです。

 まあ、見方によっては、後方の守備ブロックと攻撃陣が「前後分断」的なサッカーをやっているとも解釈できる。そう、勝負強さ「だけ」をイメージしたチーム(ゲーム)戦術。

 優れた「個のチカラ」を秘めた強者ディフェンダーによって構成される強力守備ブロックがボールを奪いかえし、前戦へボールを供給する。そして能力の高い前戦カルテットが、ハイボールでも、足許タテパスでも、何とかキープして起点をつくり、そのまま(個の勝負を前面に押し出して=強引に!)仕掛けていっちゃうのです。

 そんな、個の勝負プレーが主体の仕掛けだけれど、そこには、3人目や4人目のパスレシーブを意識したコンビネーションといった発想は、まったく感じられなかった。

 でも彼らは、安定した前後分断サッカーに徹している。ものすごく、徹底している。だから、勝負には強い。

 そりゃ、そうだ。リスクチャレンジの攻撃(仕掛け)を受け持つプレイヤーと、次の守備を受け持つプレイヤーが決められているわけだからね。ボールを奪われても、そこには『常に』十分なディフェンス組織がある・・っちゅうわけです。

 でも、だからこそ、攻撃の変化は、もう100パーセント個のチカラに頼り切るしかない。ドリブル勝負にしても、タメにしても・・

 まあ・・「そこ」にこそ、彼らが中国スーパーリーグを制した中心的な背景要因があるということなんだろうね。強烈に強いディフェンス・・そして、個の勝負プレーに長けた数人の外国人選手たち・・。何か、イタリアサッカーを観ているような・・

 そんな広州恒大に対し、レイソルが展開した攻守にわたる組織サッカーは、美しかった。

 その組織サッカーに、タイミングよく、そして効果的に、レアンドロ・ドミンゲスに代表される個の勝負がミックスされていく。彼らのサッカーが、それなりの勝負強さ「も」内包しているのは道理っちゅうわけです。

 ということで、「進歩的」という評価基準では、明らかにレイソルに軍配が挙がる。でも、勝負強さという視点では・・

 たぶん、決定的なチャンスの量と質という視点では、広州恒大が、ほんのちょっとレイソルを上回っていたと思うのですよ。

 二週間後の4月17日(火曜日)には、同じカードが、今度は中国側(広州)で行われる。これは、見逃すわけにゃいかない。願わくば、中国側が作るはずの「テレビ中継の映像」が、しっかりと、ボールがないところでのドラマまで観察できるクオリティーを有していることを・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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