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2012_世界のトップサッカー_スペイン国王杯準決勝_バルサの「ここ一発」・・(2012年2月9日、木曜日)

またまたバルサ。

 今回は、コパ・デル・レイ(スペイン国王杯)準決勝。現在リーガで三位につける強豪バレンシアとの闘いでバルセロナが魅せた、「ここ一発のチャンスメイク・・」ってな視点。

 ということでテーマは・・バルサに、自由にパス回しをさせないほど強烈なプレッシング守備を仕掛けつづけたバレンシア(特にホームの第一戦!)・・にもかかわらず、カウンターや個の勝負プレー、はたまた組み立て&一瞬の爆発コンビネーションで(要は、ボールがないところで!)勝負を決めちゃうバルサ・・ってなところですかね・・

 バレンシアのプレッシング守備は素晴らしかったですよ。ホーム&アウェーの両ゲームを通じ、最後の最後まで、その勢いと集中力が衰えることはなかった。とにかく、バルサのボールホルダーが一瞬でも「落ち着こう」としようものなら、すぐに、「ドカ〜ン!!」っちゅう感じの鋭いボール奪取アタック(協力プレス)が飛んでくる。

 バレンシア選手が魅せつづけたボールへの(次のパスレシーバーへの)鋭い寄り、そして、そのチェイス&チェックをベースに周りのチームメイトたちが仕掛けつづけた忠実な協力プレスアクション、ちょっと感動ものだった。

 要は、久しぶりに、「バルサ的なリズム」のボールの動きが沈滞するゲームが目の前で展開されたということ。たしかにリーガでは、そんな(バルサの自由なパス回しが抑制されてしまう!?)現象もあるわけだけれど、他のチームの場合、バレンシアほど、攻守にわたってゲームを支配する時間帯まで演出しちゃう・・っちゅうところまで雰囲気を高揚させられるわけじゃないからね。

 でもバルサは、そんな、彼らにしては「ちょっと沈滞した」ゲーム内容であるにもかかわらず、結局は勝利を収めちゃう。

 対して、強力プッシングでゲームの主導権をにぎる時間帯まで演出したバレンシアだったけれど、結局は、決定的なチャンスを創りだすところでは容易にいけない。フムフム・・

 バルサは、重苦しいゲームの流れにもかかわらず、たまに、そして唐突に、必殺の仕掛けを繰り出していく。それは、まさに、必殺。支配傾向では、いつもの圧倒的な流れではないにもかかわらず、決定的なチャンスメイクの「量と質」では、明らかにバルサが凌駕しているのです。

 バルサの決定的チャンスメイク・・それは、まさに全方位・・

 例えば、必殺の(ショート)カウンター・・例えば、(猫の額のような)小さなスペースを駆使してしまう正確なキックに裏打ちされたセットプレー・・例えば、メッシの(切り裂き)勝負ドリブル・・その勝負ドリブルから繰り出される必殺スルーパス(メッシ必殺ドリブルに意識を引きつけられた相手は、まったくスルーパスに反応できない!)・・などなど。

 そして、組織的な組み立てプロセスからの決定的コンビネーション。そこでは、パスレシーバーの動きと決定的パスが、美しくシンクロする。

 例えば第二戦の先制ゴールシーン。

 ・・右サイドの自陣に少し入ったゾーンで、メッシがボールをコントロールする・・すぐに振り向き、逆の左サイドに「一瞬」視線をはしらせる・・

 ・・微妙だけれど、メッシからパスを受けて先制ゴールを決めたセスク・ファブレガスは、メッシが視線を投げる直前には、既に、決定的フリーランニングのスタートを切っていた・・

 ・・これは、とても大事なシーン・・要は、バルサ選手のなかでは、ボールを持つチームメイトの周りを見る能力(≒パスが出てくる可能性とそのタイミング!)に対して、絶対的な相互信頼関係が成り立っている!?・・

 ・・だからこそ、フィニッシャー(パスレシーバー)の、ボールがないところのアクションスタートのタイミングが、ものすごく早い・・だからこそ、相手ディフェンダーが置いていかれてしまう・・

 ・・もちろん、ボールがないところで決定的フリーランニングを仕掛けるバルサ選手(パスレシーバー)は、マークする相手の視線をうまく「盗む」ことは言うまでもないけれど・・

 ことほど左様に、バルサの勝負コンビネーションは、次元の違う「シンクロ」を魅せつづける。

 もちろん、そのコンビネーションの絶対的バックボーンは、ボールを扱うスキルの高さではあるけれど、私は、それにも増して、彼ら一人ひとりがアタマのなかに描写する勝負(コンビネーション)イメージが統一されていることに舌を巻く。

 ユースからトップまで一貫するサッカーコンセプトの為せるワザ・・!? まあ、そういうことなんだろうね。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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