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2012_J2・・とてもエキサイティングな「ガチンコ勝負」だった・・(ベルマーレvsモンテディオ、 0-0)・・(2012年7月22日、日曜日)

とてもエキサイティングな「ガチンコ勝負」だったゼ。

 両監督にとっても、両チーム選手たちにとっても、とても素敵なライバル同士のギリギリのガチンコ勝負になったということだね。観ているこちらも楽しめた。このゲームを観戦されたファンの方々も、入場料にオツリが来るほど、とことん楽しんだに違いない。

 ゲーム展開だけれど、全体的にみて、イニシアチブは(特に後半)ベルマーレが握ったとする評価がフェアだろうね。そのことについては、誰もがアグリーでしょ。とはいっても、具体的なチャンスメイクという視点では、ちょっと微妙な評価になる。

 要は、モンテディオ山形が展開する、忠実&創造的&想像的なディフェンスと、それをベースにした(カウンター的な!?)攻撃が光り輝いたということです。

 ちょっと微妙なニュアンスだけれど、ゲームのイニシアチブはベルマーレが握ったけれど、実際のチャンスメイクの量と質という視点では、まさに互角だったんだよ。

 だから、ガチンコ勝負・・

 それにしても、ベルマーレ両サイドバックの「上下動」は、レベルを超えていた。高山薫と古林将太。この二人のダイナミックな上下動こそが、ベルマーレが魅せつづけた攻守にわたる組織ダイナミズムの源泉だった!?

 いやいや、彼らだけじゃなく、永木亮太と下村東美で組む守備的ハーフコンビ、エースの攻撃的ハーフ菊池大介、最前線の突貫小僧、馬場賢治などなど、とにかくベルマーレ選手たちが魅せつづけた、攻守にわたる「ダイナミックな意志」には心を揺さぶられた。

 あっと・・ベルマーレだけじゃなく、モンテディオ山形も、前述したように、ものすごくインプレッシブな闘いを(強烈な意志を)魅せつづけたよね。

 彼らの、忠実&創造的なディフェンスは、とても印象的だった。何せ、危険なベルマーレの攻撃をガッチリと受け止めたわけだからね。全体的なイニシアチブを握っていたとはいえ、ベルマーレが決定的スペースを攻略したシーンは、数えるほどしかなかったのですよ。

 そして、そんな堅牢なディフェンスを基盤に、これまた危険な仕掛けを繰り出し、何度か決定的なチャンスも作り出してしまうモンテディオなのです。そう、だからガチンコ勝負・・

 記者会見で、モンテディオ山形の奥野僚右監督が、こんなニュアンスの内容をコメントしていた。

 ・・後半は、ダイナミックな仕掛け合いになった・・わたしも、どこかでゲームが「動き」はじめると思っていたわけだが、案の定、時間の経過とともに、ま さに「攻攻」ってな表現が当てはまる積極的な攻め合いになった・・我々は、最後まで感情を込めて戦えたと思う・・このようなサッカーを、常に魅せていかな ければならない・・

 だから聞いた。

 ・・ゲームが動きはじめ、互いに攻め合うような展開になると予想していたと話された・・まさに、そのような展開になったわけだが、そこで奥野さんが、もっとも重要視したポイントは何だったか?・・

 ・・ベンチから声を掛けていたわけだが、その骨子は、バランスをしっかりとマネージせよということだった・・相手にスキをみせないために、人数的なバランスや、ポジショニング的なバランスを、常に効果的にマネージしなければならないということだ・・

 フムフム・・

 ベルマーレのチョウ・キジェ監督には、こんな質問を投げた。

 ・・いまチョウさんは、ゴールへのパスをうまく決められなかった・・勝ち切れなかった・・悔しい・・というニュアンスのコメントを出されたが、その感覚 については、奥野監督もまったく同じだったに違いないと思う・・そう、動的に均衡した拮抗ゲームだったと思うのですよ・・チョウさんは、そんなギリギリの せめぎ合いを制するためには何が必要だと思われるか?・・

 ・・ゴールに近くなれば(中央ゾーンでは)、もちろん相手ディフェンスのチェックも厳しくなる・・だから、もっとサイドから効果的に仕掛けていかなけれ ばならない・・例えば、ドイツ代表のメスト・エジルが繰り出すようなサイドからのアプローチとか、そんなサイド攻撃を効果的に展開できれば理想なのだ が・・また、シュートやラストパスなど、決定的な場面で「もう一歩の余裕」を持てることも課題だろう・・まあ、決定的なシーンでの落ち着き重要な意味をも つということだ・・ゴールを奪うためには、心は熱く、ただアタマはクールに・・

 フムフム・・

 それに加えて、もう1つ質問してしまった・・

 ・・昨年のベルマーレは、夏場に入るタイミングから成績がガタガタになった・・でも今年は、ちょっと違う・・たしかに、リーグ序盤での勝ち点の積み重ね から、ある時期から急にペースが落ちた(負けが込んできた)・・でも今年は、そこから再び回復基調に戻せたと思う・・そのことについてコメントをお願いで きないか・・

 ちょっと考え込んだチョウ・キジェだったけれど、それについて、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

 ・・全体的なチームマネージメントに何らかの変化を加えたということはありません・・私は、とにかく1試合ごとに、勝ち点3を奪い取ることに対する意志 と意識を高揚させることに集中したのですよ・・我々は、1試合ごとに成長していかなければならない・・ってね・・そのことを強調し、意識させ、直近の 「壁」を超えていくという姿勢でゲームに臨んだのが良い結果につながったということかもしれない・・「いま」を充実させる・・「そのとき」全力で、良い サッカーと結果を求めるという姿勢・・それが大事・・そんなベースがあって初めて「予想を超えた成長」を達成できる・・

 いいね・・

 前回のコラムでも書いたけれど、J2は、ホントに面白くなっているよ。ダマされたと思って、1度スタジアムに足を運びましょう。必ずや、入場料にオツリがくるから・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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