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2012_日本フル代表・・世界トップとの間にある「最後の僅差の壁」を突き破りつづける日本代表・・(日本vsベネズエラ、 1-1)・・(2012年8月15日、水曜日)

日本と、世界の強豪(南米選手権で4位に輝いたベネズエラ)とのガチンコ勝負。とても価値あるトレーニングマッチだった・・と思う。

 やはり、効果的なゲーム条件設定(≒キリンからの、それなりの賞金設定や個別のチーム内事情など!?)によって、強い相手が、高いモティベーションで挑んでくるトレーニングマッチこそが、本当に意義のある学習機会を与えてくれる・・っちゅうわけだね。

 そして、だからこそ我々も、レベルアップしつづける日本代表の「実力」を体感できる・・

 ベネズエラは、強い(良い)チームだよ。前半や後半立ち上がりに魅せた彼らの攻勢の内容をみれば、そのことを認識できる。

 しっかりとした組織プレーをベースに、タイミングよく(良い条件が整った瞬間を逃さずに!)ブチかましてくる個のドリブル勝負は、それなりに破壊力抜群だった。

 後半のカウンター同点ゴールシーンもそうだったけれど、それ以外でも、2度、3度と、落ち着いたショートパスコンビネーションと危険な「個の勝負プレー」に、日本の守備ブロックが振り回されて決定的シュートをブチかまされるピンチがあった。

 もちろん、皆さんもご覧になった通り、全体的なゲームのイニシアチブは完全に日本代表が握っていた。そして、これが大事なコトなんだけれど、我らが強者たちは、何度も、実際に追加ゴールや勝ち越しゴールをブチ込めるチャンスを作り出した。

 日本の(遠藤保仁がクールにゴールへのパスを決めた!)先制ゴールはホントに素晴らしかったけれど、それ以外にも何本も、強者ぞろいのベネズエラ守備ブロックを崩して(ウラの決定的スペースを攻略して)可能性の高いチャンスを演出したんだよ。

 私は、そのことが内包する意味合いが、とても重要だと思っていた。

 たしかにチャンスを決め切れなかったことには、とても大事な、心理的&技術的ファクター(課題)が内包されている(試合後の香川真司はちょっと落ち込ん でいたね・・)。でも私は、近頃の日本代表の「決定力」が、とても充実してきていると感じているから、あまり心配していない。

 それもまた、フットボールネーションで蓄積した「本物の体感」に支えられてアップしつづけている「自信」の為せるワザなんだよ。

 だからこそ、チャンスメイク(プロセス)の量と質さえ上げていけば、それなりにゴールの数もアップしていくに違いないと確信「できて」いるのさ。

 そう、様々な意味合いのバックホーンが充実してきているからこそ、おのずと結果もついてくる・・と「より」強く確信できている今日この頃なるんだよ。

 ちょっと回りくどい表現になった。「これ」は、とても感性的な事柄でもあるんだけれど、とにかく私は、日本代表のチャンスメイクプロセスの量と質だけじゃなく、それを実際のゴールにつなげる「可能性の内容」が、とても充実してきていると感じている訳なのです。

 あっ・・もっと分かり難くなっちゃったかな〜・・あははっ・・スミマセン・・

 そのチャンスメイクプロセスだけれど、特に、後半15分に香川真司がブチかました決定的なヘディングシュートシーンは、組織プレーと個人勝負プレーが高質にバランスしたという意味でも、秀逸だった。

 それは、長友佑都の爆発的オーバーラップからはじまった。ホントに、彼の全力スプリントは、まさに「インテル的な超速」だ。あははっ・・

 そして、タテパスをトラップした長友佑都は、巧みなボールコントロールと切り返しで相手を置き去りにしてしまうんだよ。その、自信に満ちあふれた勝負プレーには、ちょっと唸ったね。

 だから、余裕をもって、中央で待つ香川真司とアイコンタンクが出来た。そして今度は、香川真司が爆発するんだ。

 一旦、自分をマークする相手の背後に回り、そして次の瞬間(長友佑都がクロスを送り込んだ瞬間!)、自分をマークする相手の眼前スペースへ回り込んでヘディングシュートを放ったんだ。そのような状況で、もっとも効果的なスペースは、相手の眼前にあり・・だからね。

 本当に、素晴らしいコンビネーションだった。まあ、最後のヘディングシュートは決め切れなかったけれど、そのチャンスが、どれほどチームに勇気を与えたことか・・

 ところで、サイドバックといったら、この試合で「右」に入った駒野友一も、素晴らしい存在感を魅せつけたよね。

 日本の先制ゴールシーンでの爆発的な勝負ドリブルと(相手の股を抜いたドリブル!!)、落ち着き払った、正確な「返しグラウンダークロス」。もちろん遠藤保仁の「ゴールへのパス」にも鳥肌が立ったけれど・・ネ・・

 そのゴールをカゲで演出した本田圭佑。味方からの鋭いタテパスを、例によって素早く、正確にトラップし、次の瞬間には、そのトラップした足で、駒野友一が走り上がっていくタテのスペースへ、まさに「置くように」ボールを供給した。

 この、本田圭佑のトラップからパスへの一連の動作だけれど、それは、軸足を変えない「トッ・・ト〜ンッ」っていうリズムの動作。これは、「二軸動作」にもつながる。ジダンやフィーゴ、はたまたロナウジーニョといった天才たちが得意だった動作だよね。

 その本田圭佑が、ゲーム後に、こんなニュアンスの内容をコメントしていた。曰く・・

 (運動量が多かったのでは・・という質問に対し)・・いやいや、まだまだです・・もっとしっかりとトレーニングして、(攻守にわたるハードワークの!?)質と量を高めていかなければと思っています・・

 フムフム・・。前回の日本代表コラムでも書いたけれど、本田圭佑が、世界トップ選手の仲間入りを果たすための「本物のブレイクスルー」を果たそうとしている・・と今日も感じた。

 そこでは、中村俊輔が「覚醒した」当時の(悦びの!)感覚が甦(よみがえ)ってきたものです。とにかく、天才が覚醒するプロセスを体感することほど素晴らしい感動はない。これからも、本田圭佑に「も」注目していこう。

 その他にも・・

 ・・エマージェンシーで組み、それなりのパフォーマンスを魅せたセンターバックコンビ(伊野波雅彦は、相手のドリブルに翻弄されたシーンがあったけれど・・)

 ・・今日も、攻守にわたる素晴らしい「重心プレー」を披露した大人のダブルボランチ・・

 ・・そして、完璧に、フットボールネーションの雰囲気(本場プレー)に身をまとった岡崎慎司と香川真司の「シンジ・コンビ」・・等など、コメントするコンテンツは多いけれど、まあ今日は、こんなところで・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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