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2012_ナビスコ・・レッズ若手の(ポジティブな)イメチェンと、セレッソの柿谷曜一朗・・(レッズvsセレッソ、 1-4)・・(2012年4月18日、水曜日)

「ハードワークをいとわない、本当に素晴らしい組織サッカーを堪能させていただいた・・だから聞きます・・柿谷曜一朗・・才能に恵まれた選手です・・でも、セレッソの組織サッカーが素晴らしかったからこそ、逆に、彼が目立ってしまった・・わたしは、攻守にわたって、ボールがないところで何をやっているのかを評価します・・その視点で、今日の彼は、0点です・・あのような素晴らしい才能に恵まれた若者を(本当意味でブレイクスルーできるように!)育てるためには、何がポイントになるのでしょうか?」

 またまた質問が長くなってしまった。柿谷曜一朗について、セレッソの新任監督、セルジオ・ソアレスさんに聞いた。

 彼は、とても真摯に、そして明快に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれた。曰く・・

 ・・カキタニは、若く、才能に恵まれた選手だ・・ただ、まだまだトレーニングを通して身につけなければならないコトも多い・・良い才能だからこそ、そこから生み出される価値が着実にチームに還元されるように、しっかりとした指導が必要なんだ・・

 ・・相手の攻撃に際しては(守備では!)、ボールを追いかけたりスペースを埋めるなど、効果的に機能できなければならない・・攻撃では、自分の良さを(チームのために!)発揮できるように工夫しなければならない・・彼の良さは個の勝負を仕掛けていくシーンで活きる・・だからこそ、その準備として、組織プレーにも精進しなければならない・・彼のプレーは、まだまだ我々が理想とするレベルには到達していない・・だから彼には、しっかりとしたトレーニングが必要なんだ・・

 プロコーチ、セルジオ・ソアレス。とても、いい感じだね。

 もちろん私は、セルジオ・ソアレスさんのトレーニングを観たことはないけれど、その表情や話しっぷり、内容、そして放散されるスピリチュアルエネルギーなど、彼が、優れたパーソナリティーを内包する良いコーチであると確信できる。セレッソは、レヴィー・クルピもそうだったけれど、とても良いコーチ人材を発掘してくるよね。

 ということで、この試合については、「個」にスポットを当てようと思います。何せ、サッカーの内容としては互角だったにもかかわらず、セレッソのチャンスが、ことごとく「ツボにはまって」ゴールになっちゃったわけだからね。

 もちろん、チャンスを「ことごとく」ゴールに結びつけて大勝したセレッソの勝負強さは賞賛に値するけれど、まあ・・ネ・・

 ということで、次は、レッズの「個」というテーマ。要は、この試合でチャンスを与えられた若手プレイヤーたちのことです。

 特に、小島秀仁、矢島慎也、そして原口元気のダイナミックプレーが気に入った。

 これまで私は、才能に恵まれているからこそ、この若武者たちのプレー姿勢に腹を立てることが多かった。そのことについては、以前のコラムを参照してください。

 そんな彼らが、ポジティブにイメチェンしてくれちゃった。その、素晴らしい「意志のプレー」を観ながら、ハッピーな気持ちで満たされていた筆者だったのです。

 たしかに小島秀仁は(セレッソの3点目シーンで・・)苦い経験をした。でも、それにしても、彼がブチかましつづけた素晴らしいパフォーマンスからすれば、ものすごくポジティブな学習機会になったと「見方を変える」ことができるじゃありませんか。

 また、矢島慎也。攻守にわたって、ボールがないところで『フルパワーで仕事を探しつづけた』。以前のコラムで、彼のことをボロボロに書いたことがあった。とにかく、攻守にわたる「汗かき仕事」を積極的に探さないプレー姿勢が許せなかったのですよ。それが・・

 これは、もう、ミハイロ・ペトロヴィッチの「ストロング・ハンド」の為せるワザ・・と言うしかないでしょ。原口元気がブチかました、攻守にわたって強烈な「元気」を放散しつづけるダイナミックプレーを観ながら、ミハイロは本当に良い仕事をしている・・と感じ入ったモノでした。

 もちろん彼らだけじゃなく、濱田水輝にしても、高橋峻希にしても、はたまた宇賀神友弥や野田紘史にしても、実効ある発展を遂げていると体感させてくれた。

 とにかく、レッズに、健全な「競争環境」が整いつつあると感じますよ。良いね・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 




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