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2012_U23・・着実な進化を遂げている関塚ジャパン・・(U23日本代表vsニュージーランド、 1-1)・・(2012年7月11日、水曜日)

さて、日本オリンピック代表vsU23ニュージーランド代表。

 「なでしこレポート」でも書いたけれど、このコラムも、箇条書きでポイントだけを列挙することにします。何せ、もう3時を回っちゃったからね。乱筆、乱文、ご容赦アレ・・

 ・・ということで、まず何といっても、「あの」ニュージーランドの同点ゴールというサッカー的な現象から入っていかざるを得ない・・

 ・・ちょっとした気の緩み!?・・でも、その同点ゴールによって、スタジアム全体が奈落の底に突き落とされちゃったのは確かな事実だよね・・もちろん チームにとってもネ・・でもサ、別な見方をすれば、それが、チームの成長にとって有益な「冷や汗の体感」になると言えないこともない・・

 ・・多分そのときチームは、その一瞬の集中切れによって、これまで積み重ねてきた血のにじむような努力が水泡に帰してしまうことを、冷や汗とともに思い知らされたはず・・その意味じゃ、とても価値のある失敗だったとも言える・・

 ・・何せ、本番でそんなことが起きてしまったら、もう取り返しがつかないわけだからね・・タイムアップのとき、倒れ込んだ選手もいたけれど、彼らは、その現象を、脳内の「イメージ・タンク」に、しっかりと焼き付けなければならないのです・・

 ・・そう、脅威と機会は表裏一体・・

 ・・さてゲーム・・関塚隆監督も言っていたけれど、立ち上がりの20分は、ホントに素晴らしいサッカーを展開した・・

 ・・開始8分・・清武から、全力スプリントで抜け出す東へ見事なスルーパスが送りこまれる・・その直後には、右サイドでパスを受けた東が、危険なトラバースクロスを送り込む・・

 ・・また、その直後に左サイドでパスを受けた永井謙佑が、抜群のドリブル勝負を仕掛けて相手を置き去りにし、逆サイドゾーンへ詰めた東へ正確なクロスを 送り込む・・またまたその直後には、右サイドをオーバーラップした酒井宏樹が、これまた危険きわまりないクロスボールを送りこむ・・

 ・・そして極めつけは、東が落としたボールを、清武弘嗣がダイレクトでブッ叩いたシュートシーン・・誰もが、「ヨシッ!」って拳を握ったに違いない・・ でもシュートは、大きくバーを越えてしまった・・フ〜〜!・・あっと、大津祐樹や永井謙佑がブチかましたドリブルシュートもあったっけネ・・

 ・・ことほど左様に、繰り返し、ニュージーランド守備ブロックを攻略しつづける日本の若武者達なんだよ・・ホント、そこまでは、爽快なことこの上なかった・・でも・・

 ・・そう、そんな抜群に危険な時間帯が過ぎたあたりから、ちょっとペースが鈍ってきた・・

 ・・要は、相手のペースに合わせてしまう時間帯がつづいたということ・・相手のサッカーに合わせてプレーする!?・・要は、ボールの有無に関係なく、誰 もリスクにチャレンジしていかなかったっちゅうことです・・関塚さんは、「要は、走っていなかったということです・・」なんて表現していたけれどね・・フ ムフム・・

 ・・でも、ハーフタイムに関塚監督がブチかました檄(げき)が効いたのか(!?)後半の立ち上がりは、再び、前半キックオフ時の「勢い」が戻ってき た・・そして、抜群にエネルギッシュな積極サッカーがつづくなかで、永井謙佑の見事なミドルシュートが飛び出すんですよ・・でも、それも左ポストを直撃し ちゃって万事休す!!・・フムフム・・

 ・・チャンスは作り出すけれど、どうしても決められない・・

 ・・ニュージーランドのニール・エンブレン監督も、あれだけチャンスを作り出した日本だったけれど、シュートを決められなかった・・我々はツキに恵まれた・・なんて言っていた・・

 ・・でも、あの関塚隆さんが、それをツキに見放されたと考えて「スルー」しちゃうはずもない・・彼も、かなり真剣に、決定力について考えていたはずだよね・・

 ・・そう、決定力は、イメージ力なんだよ・・だからこそ、何度も、何度も、繰り返し、成功体感を積み重ねていかなきゃならない・・それも、出来る限り「実戦」に近い雰囲気のなかでね・・

 ・・そんな、超ハードなシュートトレーニングについては、以前に何度も書いたっけね・・そう、「あの」ドイツの伝説的スーパーコーチ、故ヘネス・ヴァイ スヴァイラーのシュートトレーニング・・そりゃ、厳しかったよ・・観ているコチラがフリーズするくらいにネ・・だからこそ、そこには、実戦の体感があっ た・・フムフム・・

 ・・あっと、後半の日本・・全体として観れば良い出来だったとは思うけれど・・でも、どうしても、ニュージーランド守備陣のウラ(決定的スペース)を完璧に突いていくような決定機を作り出すことがままならない・・

 ・・もちろんミドルシュートは効果的だったよね・・徳永悠平が放ったミドルシュートのこぼれ球を杉本健勇が先制ゴールを決めたようにね・・

 ・・でも、相手守備ブロックを振り回して決定的ウラスペースを攻略するような本物のチャンスメイクは、ままならなかったのですよ・・

 ・・もちろん「それ」には、ニュージーランドの守備が、ものすごく、ホントにものすごく粘り強かったという背景要因がある・・だから、ニール・エンブレン監督に聞いた・・

 ・・2010年の南アワールドカップでのニュージーランド代表もそうだったけれど、この試合での貴方の代表チームも、ものすごい粘り腰だった・・それは、ニュージーランドの伝統なのだろうか?・・

 ・・そうだよ・・ニュージーランド代表は、粘り強いスピリットを持っているんだ・・たしかにハイレベルなサッカー選手ではないけれど、とにかく、ネバーギブアップが合い言葉なんだ・・全てを出し切るサッカーってところかな・・

 ・・そんな強い意志のチカラがなければ、我々はハイスコアで負けていただろう・・タフな闘いを、最後の最後まで粘り強くつづけるという強い意志・・それ がなければ結果など残せないことを、チーム全員が心底わかっているんだよ・・もちろん我々だって、ボールを支配するようなサッカーを目指しているよ・・だ から、日々そのために努力し、改善しているんだ・・

 ・・なんか、ホントに爽(さわ)やかなコメントではありました・・

 ・・ここで、最後のテーマに入っていきまっせ・・それは・・「落ち着き」と「爆発」のメリハリ・・

 ・・たしかに関塚ジャパンは、何度もチャンスを作り出した・・でも、そのプロセスでの「仕掛けのリズム」が、ちょっと単調だと感じた・・

 ・・前述した、前半立ち上がりの時間帯に作り出したチャンス・・

 ・・清武弘嗣が、ゆっくりとした「タメのドリブル」で中央ゾーンへ切れ込んでいく・・次の瞬間、後方から東慶悟が、超速スプリントで決定的スペースへ飛 び出していった・・そのスプリントは30メートルを優に越えていた・・そして、オフサイドになる直前のタイミングで、ボールをキープする(タメを演出し た)清武弘嗣から、抜群のタイミングとコースのスルーパスが送りこまれた・・

 ・・結局は失敗しちゃったけれど、それは、まさに、落ち着きと爆発のコラボレーションだった・・

 ・・言いたいことは、攻撃の(リズムの)変化・・それを、どのように演出するのかっちゅうテーマのことです・・

 ・・もちろん、関塚隆監督が言うように、互いのイメージをシンクロさせれば、組織コンビネーションの組み合わせでも、仕掛けのリズムを「変化」させられるさ・・でも、それに「個人プレー」での仕掛けリズムの変化が加われば、もっといい・・

 ・・そう、前述した、清武弘嗣が演出した「ゆっくりしたドリブルによるタメ」とかね・・もちろん、バイエルン・ミュンヘンで一年間「もまれた」ことで、 攻守にわたるハードワーク「にも」精進した宇佐美貴史が戻ってくれば、もっと「仕掛けのリズムの変化」を演出できるようになるでしょ・・

 ・・ちょっとアタマが朦朧(もうろう)としてきた・・この辺りで一度「締め」よう・・

 ・・最後に、もう一言だけ・・それは、関塚ジャパンが、着実に進歩を遂げているということ・・それは疑いようもない事実だよ・・後は、関塚さんが言うよ うに、攻守にわたって、もっともっと互いのイメージをシンクロさせる(連動させる)というテーマに効果的に取り組むことだね・・

 ・・ホントに彼らは、なでしこと共に(何らかの)メダルを持ち帰ってくれるかもしれない・・オリンピック初戦で当たるスペインとの勝負マッチが本当に楽しみになってきた・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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