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2012_UCL・・素晴らしい香川真司・・日本代表のこと・・そしてレアルの緊張関係!?・・(マンUvsガラタサライ、 1-0)・・(2012年9月20日、木曜日)

組織プレーと個人勝負プレーがハイレベルにバランスした高質な組織プレーで存在感をアップさせた香川真司。

 その香川真司が、一瞬のタメ(ワントラップ)からの確実なワンツーパスで、マイケル・キャリックの決勝ゴールをアシストしたシーンだけれど、「その後」にしっかりとゴール前へ詰めていく忠実なフォローアップも特筆だった。

 あの状況だったら、キャリックが相手GKの伸ばした足に引っ掛かって倒れてしまっても、たぶん相手ディフェンダーよりも先にボールに触って「カガワのUCL初ゴール」になったと思うんだよ。

 まあ、倒されたキャリックがそのままスライディングシュートを決めるに違いない・・と判断した次の瞬間には、「その」ゴール前へ詰める動きを止めちゃっ たけれど・・。とにかく、アシストパスを出した後の「自然な!?」フォローアップの動きにも、彼の、組織サッカー的なクオリティーの高さが表れていたと思 う。

 そんな忠実さ(創造性と想像性にあふれたイメージ描写と強烈な意志!)こそが、香川真司の「組織プレー」の絶対的なバックボーンなんだよな。

 とにかく彼は、常にディフェンスからプレーに入っている。そう、最前線からの忠実なチェイス&チェックや守備サポートアクション。

 そして(仲間が!?)ボールを奪い返したら、すぐにイメージを切り替え、効果的なスペースランニング(パスレシーブのフリーランニング)を繰り返すんだ。

 攻守にわたる忠実なハードワーク。チームメイトが、そんな香川真司を信頼し、彼の動きに応えるようにボールを預けないはずがない。

 そして香川真司は、ボールに触っても、「まず」ボールをスムーズに走らせることをイメージする。そう、シンプルな展開パス。そしてもちろん、パス&ムーブ。その「プレー・リズム」が素晴らしい。

 だからこそ、より効果的なスペースで、次、その次のパスを受けることができる。そして、だからこそ、より実効レベルの高い「仕掛けプロセス」を繰り出していける。

 勝負のコンビネーションやスルーパス。そして、勝負のドリブル。

 チームメイトも、そんな香川真司の(もちろんアレックス・ファーガソンの!)組織プレーイメージ(プレーのリズム)をしっかりとイメージできている。だから、彼がパスを受ける前の段階で、次のスペースをイメージして動き出す(出せる)。

 そして私は、縦横無尽のポジションチェンジとシンプルな「ボールの動き」をリードしつづける香川真司のプレーを観ながら、日本代表での本田圭佑とのコラボレーションに思いを馳せるわけです。

 聞くところによると、ザッケローニは、あまりポジションチェンジを好まないとか。ホントかな〜・・

 たしかに、本田圭佑のプレーリズム(スタイル)は香川真司とはちょっと違う。先日のロシアリーグでも活躍した本田圭佑の場合は、ボールを持ってからの「タメ」が、比較的多いよね。

 要は、相手にボールを奪い返される危険を承知で、リスキーなボールキープをするということです。でも、この「タメ&勝負スルーパス」が、以前よりも効果的に機能するようになっている。

 たしかに、まだまだ忠実な動きの(攻守にわたるハードワークの)量と質には課題が見え隠れするけれど、「必殺仕掛け人としての仕事内容」としては、その実効レベルが大きくアップしていると思うんだよ。だからこそ・・フムフム・・

 日本代表での攻撃的ハーフトリオ(香川真司、本田圭佑、そして岡崎慎司)による、様々な意味合いを内包する機能性コラボレーション。

 もっともっと良くなるはず。先日のロシアリーグ戦や、このゲームを観ながら、日本代表の進化・深化への期待が高まりつづけている筆者なのです。

 来月に予定されているヨーロッパ遠征(フランス代表とブラジル代表との親善マッチ)が楽しみで仕方ありません。もちろん私もアテンドしまっせ。

 あっと・・最後に・・昨日の劇的なゲーム(レアル対マンC)についても一言。

 テーマはもちろん、レアルの、クリスティアーノ・ロナウドだよ。そう、並外れた才能という諸刃の剣・・という視点。

 モウリーニョが、クリスティアーノ・ロナウドに関する(ハードワークをやらないプレー姿勢に対する!?)厳しい質問に対して、こんなニュアンスの内容をコメントしたとか。曰く・・

 ・・彼は、しっかりとゴールを決めているじゃないか・・だから、オレは満足しているよ・・

 たしかに昨日のゲームでも、クリスティアーノ・ロナウドは、前半から何度も、「個人勝負プレー」で決定機を作り出していた。でも決められない・・

 そんななかで、堅守速攻のマンCに、2度もリードを奪われてしまう。でも、最後の決勝ゴールは、クリスティアーノ・ロナウドがブチ込んだ。そして終わってみれば、ホームのレアルが、3-2で辛勝した。フムフム・・

 ハードワークをしない(自分がパスを受けられる勝負の瞬間にしか全力スプリントを繰り出していかない!)クリスティアーノ・ロナウド。そして、その周り のチームメイトたちがブチかましつづける、ものすごくダイナミックな組織的プレッシング守備や、攻撃での汗かきの組織プレー(フリーランニングやシンプル コンビネーション等など)。

 とにかく、そんな対照的なプレー姿勢が織りなすグラウンド上の「微妙な」現象を観ながら、今後のレアルの「展開」に対する興味が天井知らずにアップしていきました。

 もちろんモウリーニョは、そんな「チーム内の緊張関係」をも上手く逆手にとって結果につなげちゃうとは思うけれど・・ネ。あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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