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2013_ACL・・前半のゲーム展開の「揺動」と、レイソルの見事な勝利・・(レイソルvs全北現代、3-2)・・(2013年5月22日、水曜日)

終わりよければすべてよし!?

 ・・ってなわけにゃいかないぜ・・っと・・

 ネルシーニョさんも、私の質問に応えて真摯にコメントしてくれたけれど、前半のレイソルのサッカーは、まったく誉められたモノじゃなかったよね。

 チョンブクが、ロングボールを主体に、そのセカンドボールを「前からのプレッシング」で拾ってゲームのイニシアチブを握る・・

 そんな展開は、ネルシーニョさんも語っていたように、最初から予想されていた。でも、うまく対応できず、チョンブクの「前から」のプレッシングサッカーに押しこまれつづけてしまうレイソルだったんだよ。

 たしかに、最初の決定的なチャンスは、レイソルが、カウンターから作りだした。

 そう、ジョルジ・ワグネルの、左足パワーミドル弾。それは、全北ゴールの右ポストを、ホントに数センチ外れただけだった。まあ・・タラレバ・・

 でも、その後は、チョンブクが、立てつづけに決定的チャンスを作りだすんだよ。

 27番の一発ミドル。そして11番の、巧みなドリブルからの狙いすましたシュート。

 アレが決まらなかったのは、まさに奇跡的な出来事だったけれど、結局前半21分に、セットプレーから失点してしまうんだよ(増嶋竜也のオウンゴールだったらしい・・)。

 そして、この試合の具体的なターゲットが「見えた」チョンブク選手たちの勢いが、どんどんと天井知らずってな具合にアップしていく。

 ネルシーニョさんも正直に語っていたけれど、私も、相手の強力なプレッシングにボールを失いつづけるレイソルの体たらくを観ながら、このままの流れじゃ、確実に「やられちゃう」と感じていたんだよ。そう、大逆転ドラマ・・

 でも、そんな「ジリ貧のゲーム展開」が、徐々に(レイソルにとって)好転しはじめるんだ。

 たしかに、工藤壮人の「プレーイメージ」を、少しイジったこともあったんだろうし、相手の30番と11番に対するチェックを、少しタイトにしたこともあったんだろうけれど・・

 とにかく私は、このゲーム展開の「転換点」を、とても興味深く観察していたんですよ。

 ネルシーニョさんは、記者会見の冒頭で、「選手たちの気迫が、前半の終盤になって、やっとアップしはじめた・・」なんていうニュアンスの内容をコメントしていたんだけれど、私は、その「内実」を、選手の心理面の「揺動」から語ってもらいたかった。だから質問した。

 ・・ネルシーニョさんが言われた、前半の終盤になってからの気迫アップですが・・それって、選手たち自身の自覚によるものだったんですか?・・そのポイントについて、もう少し詳しく教えて頂けませんか?・・

 でも結局は、「・・選手たちの自覚と意識がアップしていった・・」といった『結果』しか語ってもらえなかったね。まあ、そのバックボーンとして、前述し たチーム戦術的な変更によって、サッカーがスムーズに流れはじめた・・なんていうニュアンスの内容はコメントしてくれたけれど・・。

 もちろん、アウェーゲームの「0-2」の勝利は、とても大きかった。だから、前半での選手たちの意識が、まずゲームの流れを確実なモノにしようと、ちょっと「落ち着き気味」になったのは分かる。

 それが、ちょっとした手違いと、相手のレベルを超えた意志によって、後手を踏むようなプレーとなってグラウンド上に現出してしまったっちゅうわけだ。でもサ・・

 そう、ゲーム展開が、あれほど明確に逆流しはじめたことのバックボーンとしては、100%納得できるものじゃなかったよね。もしかしたら、それって・・

 キャプテン大谷秀和のリーダーシップが素晴らしかった!?

 ネルシーニョの、ベンチからの(工藤壮人のプレーイメージの変更も含めた!?)戦術的な指示と、その際の迫力のスピリチュアルエネルギーの放散によって選手たちが刺激を受けた!?

 まあ、実際のところは、よく分からない。でも、それら全てのファクターが相互に刺激し合うことによって、ゲーム展開が逆流しはじめたのは確かな事実だったんだよ。

 そして私は、そんなグラウンド上の現象に、とても興味を惹かれたっちゅうわけさ。

 まあ、このテーマについては、ビデオを見直しながら確かめてみよう。

 それにしてもレイソルは、見事な勝利を収めたね。

 前半41分に渡部博文がブチ込んだ同点ゴールの前にも、カウンター的な流れから、茨田陽生が素晴らしいシュートを放ったし(相手GKのスーパーセーブに拍手!!)、その後も、後半にかけて、例によっての(レイソルらしい!)素晴らしい組織サッカーでゲームを牛耳った。

 アジアチャンピオンズリーグでは、唯一の「日本の期待の星」になったレイソル。このまま頂点まで上り詰めて欲しいよね。彼らには、それだけのキャパがある。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

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