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2013_ドイツ便り(その4)・・岡崎慎司は出場しなかったけれど・・(2013年7月25日、木曜日)

「ここから200メートル先を、右折してください・・」

 「はい、分かりました!」

 「ニュー・カルキュレーションです・・」

 「エッ・・!? アッ、手前で右折してしまった〜っ! ホント、アタマに来るな〜っ!」

 スミマセン・・。これは、カーナビとの会話でした。

 私が、間違ったところを右折してしまったから、カーナビが、「新しいルートを計算しています・・」って反応したっちゅう次第。フ〜〜ッ・・

 この「カーナビの女性」は、とてもソフトな声で、常に「クール」に反応してくれちゃう。もちろんドイツ語だよ。

 その「彼女」、ご親切にも、かなり手前からルートを「繰り返し」アナウンスするんだよ。だから、こちらも、常に集中していなければならない。

 冒頭の「会話」では、彼女の、「あと200メートルで・・」というアナウンスを聞き逃してしまったらしい。ちょっと別なことを考えていたから・・。だから、道を間違えた。それも、三回も・・

 この日は、そんな、こんなで、7キロちかく「遠回り」をせざるを得なくなってしまった。バカだよ、ホントに。

 そこには、スイスが導入している「高速道路の有料化」という背景もあった。

 スイスのアウトバーンを利用するときは、「40スイスフラン(まあ4000円くらい)」で、ステッカーを買わなきゃいけない。でも、こちらは、ドイツとスイスの国境から1キロくらいしか、スイスのアウトバーンを利用しないわけだから、そりゃ高い。

 ドイツの友人たちも、「オレ達だけだよ・・アウトバーンがタダなのは・・フランスもスイスもイタリアなんかも有料なんだぜ・・だからフランス人やスイス 人は、自分たちの高速道路じゃなくて、ドイツのアウトバーンを利用して移動するんだよ・・ホントにお人好しだよな、ドイツは・・」なんて言う。

 どうなんだろうね、ドイツの公共サービスに対するフィロソフィーは・・。それもまた、歴史と文化(哲学ベースの意志!?)の為せるワザっちゅうことなんだろうね。

 ということで私は、国境の手前(Weil am Rhein)でアウトバーンを降り、そこからスタジアムまで一般道を走ることにしたわけです。そして、そこでも、「彼女との会話」で、行き違いがあったっちゅう次第。フ〜〜ッ・・あははっ・・

 とにかく、予定されているスタジアムに到着した。2時間前。まだ誰もいない。

 そのスタジアムは、「Stadion Schützenmatte」という、「BSC Old Boys Basel」がホームにしている小さな複合競技場。シートはメインスタンドにしか設置されておらず、全体のキャパシティーは「8000人」ということでした。

 もちろん、ゲームは、バーゼルを代表する(中田浩二もプレーした)FCバーゼルと、岡崎慎司が所属するマインツ05との対戦だよ、念のため。

 わたしは、クルマを駐車して、スタジアムへ向かう。駐車スペースも、スタジアムの真ん前に確保できたから、50メートルでスタジアムの入り口に着いた。でも、誰もいない・・

 前回のマインツでのゲーム同様に、今回もチケットで入場しようとしたけれど、肝心のチケット売り場に人影がないんだよ。フ〜〜ッ・・

 でも、横の「メディア」と書いてある入り口だけは開いていた。だから、そこを通って中に入り、メインスタンドのベストな場所に腰を下ろした次第。

 もちろん、チケットが販売されはじめたら買うつもりではいたんだよ。でもその日「も」、気温が32度にまで上昇していたことで気持ちよくなり、「ウツラ、ウツラ」してしまったんだよ。そして、ハッと気付いたときには、私の回りは、観客で埋まりはじめていた。

 メインスタンドの入り口のところには「もぎり」の方が2人いる。

 ちょっと迷ったけれど、まあ、「今回はスミマセ〜ン・・」ということになってしまったっちゅう体たらくだったのでした。フ〜〜・・

 スイス高速道路を使わずに済んだ。また、たしかにカーナビとは「行き違い」はあったものの、駐車場もスタジアムの真ん前に確保できたし、入場料も「スミマセ〜ン」で済んじゃった。まあ、ラッキー・・そこまでは・・ネ。

 そう、この試合では、岡崎慎司が「休養」ということで出場しなかったんだよ。ホント、ガッカリ・・

 でも、まあ、岡崎慎司が、チームメイトやクラブ関係者たちと(流暢なドイツ語で!?)、とても親しげな雰囲気でコミュニケーションを取っているポジティブなシーンを観察できたしね・・まあ、仕方ない・・

 ということで、試合だけれど・・

 まず、何といっても、後半から出場し、ハットトリックを達成した10番のカメルーン代表エリック・モーティング(ドイツとの二重国籍・・でもカメルーン代表として既に19試合を戦っている)が、彼本来の才能を爆発させたことが特筆だったね。

 特に、同点ゴールとなった3点目シーンでは(結局ゲームは、3対3のドロー!)、相手ディフェンダーを何人も「置き去り」にしてしまうような派手なドリブルシュートを決めた。

 今シーズンのマインツの攻撃は、彼が(そのイメージが)中心的な役割を果たすことになるだろうね。まあ、組織イメージと個人勝負イメージが、良い感じで バランスしているモーティングだから、様々な視点で、マインツ攻撃の発展ベクトルを押し上げる存在になるとは思うけれど・・

 その他のマインツの攻撃陣。

 まあ岡崎慎司については、監督のトーマス・トゥッヘルが積極的に獲得へ動いたこともあって、意地でも使うでしょ。

 ワントップは、18番のダニ・シャヒーンと9番のセバスチャン・ポルターの争いですかね。

 でも、まあトーマス・トゥヘルは、様々な「やり方」を駆使するから、ゼロトップや、ツートップ、スリートップ(まあ、ワントップの変形)なんかも視野に入るんだろうね。

 それに彼は、基本的なポジション(役割バランス)は守備のモノであり、攻撃でのポジショニング(役割バランス)は自由だ・・と公言してはばからないからね、今シーズンも、変化に富んだチーム戦術を駆使するに違いない。楽しみだね・・

 あっと・・岡崎慎司・・

 その中盤パートナーとしては、やはり7番のニキ・ジムリング、27番のニコライ・ミュラー、11番のユヌス・マッリ、19番のエルキン・ソトといったところですかね。

 まあ、そんな「選手タイプの組み合わせ」もまた、トーマス・トゥヘルの腕の見せ所っちゅうわけだ。

 ということで私は、今シーズンのブンデスリーガについては、長谷部誠のヴォルフスブルクと、岡崎慎司のマインツに注目しようと思っているわけです。

 さて次は、土曜日にゲルゼンキルヒェンで行われる、シャルケ04対アル・サッド(カタール)を観戦するつもり。内容によってはコラムをアップするかもしれません。

 そして翌日の日曜日には、ブレーメンまで移動して、ドイツ(プロ)サッカーコーチ連盟(BDFL)が主催するサッカーコーチ国際会議に参加する予定です。ではまた・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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