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2013_高校正月大会決勝・・こんなエキサイティングな決勝になるなんて・・また「U18」のサッカー環境についても・・(鵬翔vs京都橘、 2-2、PK戦を鵬翔が制す)・・(2013年1月19日、土曜日)

いや、本当に面白い勝負マッチだった。両チームとも積極的に仕掛け合い、惜しいチャンスを作り出すといった、とてもエキサイティングな展開。堪能しました。

 そんなだから、久しぶりに、延長に入ったことが嬉しかったのも道理。普通だったら・・なのに。

 あっと・・

 皆さん、本当にご無沙汰してしまいました。実は、ソフトバンクのグループ「TVバンク」というサイトでも(スポーツLIFE・・海外サッカー!?)、1月15日から連載がはじまったのですよ。さて、どうなることやら。

 そのこともあって、ホームページのコラムアップが、ちょっと停滞気味になってしまったという体たらくだったのです。高校の正月大会だけじゃなく、多くの日本人が活躍するフットボールネーションの激戦リーグもしっかりとフォローしているのにネ。

 さて、ということで、高校の正月大会決勝。

 優勝した宮崎県の鵬翔高校は、決勝も含めて、4度のPK戦を制して頂点に立った。それだけじゃなく、宮崎県の代表が頂点に立ったのも初めてということらしい。ということで、初物づくしの大会ということになった!?

 もちろん、鵬翔の優勝には、仕掛け(チェイス&チェック)と周りの連動アクション、そして狙いすましたボール奪取勝負が、とても有機的に機能しつづける (素晴らしくトレーニングされた!)高質なディフェンスや、それをベースに繰り出していくコレクティブな(組織プレーと個人プレーがハイレベルにバランス した!)攻撃など、確固たるバックボーンもありました。

 監督の松崎博美さんは、30年という歳月をかけ、ゼロから鵬翔高校を育て上げたということなのですが、その意味合いも含め、心からの敬意を表し、祝福します。本当にお疲れ様でした。そして、おめでとうございます。

 この試合では、後半から登場した鵬翔の中濱健太によるゲームの流れの変容、京都橘高校のツートップと2人のサイドハーフによって構成される破壊的な攻撃カルテット等など、見所も豊富だったね。

 特に、京都橘高校7番のキャプテン、仙頭啓矢が魅せつづけた、レベルを超えて危険な突破ドリブルをキッカケにブチかまされる攻めは、迫力満点だった。

 それでも、前述した鵬翔高校の中濱健太が出てきた後半からは、仙頭啓矢の突破ドリブル(チャンスメイク・プロセス)が、かなり抑えられ気味になっていくのですよ。

 それは、とても興味深いグラウンド上の現象だったわけだけれど、多分それには、中濱健太に疲れが出てきただけではなく、鵬翔高校ディフェンスが、彼の突破ドリブルに慣れてきた(相互カバーリングがうまく機能しはじめた!?)っちゅう背景要因もあったんだろうね。

 そして後半のゲーム内容が、とても動的に、そしてエキサイティングに均衡しはじめていくのですよ。もちろん、ノーガードの打ち合いなんていう低次元の仕掛け合いじゃなく、あくまでも攻守のバランスが取れた高質なせめぎ合い。堪能したぜ。

 ところで、京都橘高校の前線カルテットが、ハイレベルな個のチカラを魅せつづける攻撃で先制ゴールを奪った前半。そのハーフタイムでは、「湯浅さん・・後半は、橘が、あと2〜3ゴールブチ込むに違いありませんよ・・」なんていう声が聞かれた。

 そりゃ、そうだ。

 何せ、京都橘高校が擁する、才能とスピードあふれるフォワード・カルテットは、まさに「カウンター・キング」ってな雰囲気をただよわせているわけだからね。

 そう、効果的なカウンター(ショート・カウンター)は、才能の為せるワザなのですよ。

 だから、1点を追う鵬翔高校が攻守のバランスを崩して攻め上がり、その間隙を突いた橘高校の才能カルテットが次々にカウンター(ショートカウンター)ゴールを決めちゃう・・ってなゲーム展開イメージが主流になるのも道理だった。

 実を言えば、私も、そんな後半の展開を予想していたんですよ。でも、そんな予想が完璧にくつがえされてしまう・・

 それには、鵬翔高校の中濱健太がゲームの流れを変容させただけじゃなく、鵬翔高校が、後半の立ち上がり4分に、コーナーキックから同点ゴールをブチ込ん だことが大きかったね。そして、「それ」があったからこそ、エキサイティングに均衡した後半と延長戦を堪能できたっちゅうわけさ。フムフム・・

 最後に、高校(U18)のサッカーについて簡単に。

 やっと、ユース選手たちが「より」効果的に成長・発展していくための環境が、実効あるカタチで整備されてきていると実感しているのですよ。

 そう、都道府県リーグ、プリンスリーグ、プレミアリーグといった、年間を通した「U18」のリーグ戦が定着している(監督さんや選手たちにとっての重要度がアップしている!)のですよ。

 もちろん、生徒たちにとっては、テレビ露出が多い正月大会は「まだ」魅力的なのかもしれないけれど、将来へむけた重要性トレンドは、不可逆的に「リーグ戦」へ比重を移していくはずです。

 それは、そうだ。とにかく、若い選手たちの発展・進化には、少なくとも一週間に1度は、勝負マッチが(経験の積み重ねが)必要なんだよ。

 決勝を闘った両チームの監督さんも、異口同音に、(イメージリーダーとしての!?)Jリーグや、U18の都道府県リーグ、プリンスリーグ(プレミアリーグ)が、レベルアップの効果的バックボーンになっていると述べていたっけね。

 もちろん、一発勝負トーナメントである高校の正月大会も(もちろん各地域大会やインターハイ等も!)、勝たなければオシマイという重圧のなかで持てるチカラを発揮しなければならないという、心理的、戦術的な「環境」という視点で重要な意義がある。

 それでも、やはり、発展・進化という視点じゃ、年間を通したリーグ戦野の方が圧倒的に重要な意義を内包していることは、言うまでもないよね。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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