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2013_J2_第6節・・三浦泰年との対話・・(ヴェルディvsFC岐阜、 3-0)・・(2013年3月31日、日曜日)

やっと東京ヴェルディが今シーズンの初勝利をモノにした。

 ちょっとホッとした。

 何といっても、今シーズンのここまでは、内容と結果を「うまく」一致させられていたわけじゃなかったからね。もちろん、まだまだ課題は山積みだけれど、 それでも、この初勝利によって、チーム内に「ここからだぞ・・!」という雰囲気が盛り上がってくることを願って止みません。

 スミマセン・・。ヴェルディのハナシになったら、どうしても情緒的になってしまう。なんたって、わたしの、日本サッカーにおける原点クラブ(読売サッカークラブ)だからね。

 この日のスタジアム観戦は、第3節のファジアーノ岡山戦、第5節のロアッソ熊本戦につづいて今シーズン3試合目ということになりました。

 そして思った。私が観たなかで、最高の出来だった・・

 とにかく、選手全員が、攻守にわたるハードワークに心血を注いでいることが手に取るように感じられたんだよ。彼ら一人ひとりが、強烈な意志をベースに、攻守にわたる仕事(ハードワーク)を、探しつづけていたんだ。

 そんなプレー姿勢については、最前線ゾーンにおいて、縦横無尽のポジションチェンジを繰り返しながら攻守にわたって走りまくる前線トリオ(高原直泰、常盤聡、飯尾一慶)から、最終ラインまで、一人の例外もなかった。

 ちょっと感動モノだったネ。

 そんな優れたサッカー内容だけではなく、それにフェアな結果も付いてきたということで、三浦泰年監督も、ある程度はホッと胸をなで下ろしたらしい。もち ろん、「さあ、この初勝利をスタートラインに、目指すところへ全力で向かっていくゾ・・」と、気を引き締めることも忘れずに・・ね。

 ところで記者会見。そこでの三浦泰年さんのコメントには、とても深みがあった。なかでも、こんなニュアンスのコメントは、とても印象的だったね。曰く・・

 ・・このゲームの直前になって、選手たちに、「今日はとても大事なゲームだ・・そこでは、立ち上がりが本当に重要な意味をもつ・・」と話し掛けた・・も ちろん、その背景には、これまで勝てていなかったことによるプレッシャーに打ち勝たなければならないという心理的なニュアンスも含まれていたわけだが、選 手たちは、十二分に、そのことを理解してグラウンドに向かったと思う・・

 ・・この、「大事なゲーム・・立ち上がりが重要だ・・」という言葉だが、この1週間、まったく、そのことについては触れなかった・・そして、今日になって、まさに試合直前に、その言葉で選手たちにアプローチした・・ここからは、選手たち自身が闘うしかないわけだから・・

 そんな三浦泰年さんの言葉を聞きながら、どうしても話したくなった。

 ・・わたしは、ヨーロッパのサッカー史に残る何人もの名プロコーチから、様々なハナシを聞かされたことがある・・なかでも、ヴァイスヴァイラーから聞いた、こんなハナシが、今でも、深く印象に残っている・・それは・・

 ・・グラウンド上の現象をロジカルに解説し、それ「だけ」をベースに、どのようにプレーするべきかを指示するようなヤツらには、素人が(低級コーチが) 多いんだよ・・優れたコーチは、しっかりと理解しているんだ・・サッカーは究極の心理ゲームだってね・・選手の意志ひとつで、足が一歩も二歩も「先へ」出 ていくんだよ・・そのように、選手たちの意志を、限界と思われているレベルを超えるほどに高められるかどうかというポイントで、コーチの本当のウデが試さ れるんだ・・

 ・・三浦さんのハナシを聞いていると、サッカーはホンモノの心理ゲームという根本的なメカニズムだけではなく、選手たちの意志を極限まで高めるための「言葉の重要性」もしっかりと理解し、マネージメントに存分に活かしていると思うのだが・・

 それに対して三浦泰年さんが、こんなコメントをつづけるんだよ。曰く・・

 ・・本当に、言葉は大事だと思う・・おっしゃるように、監督は、心理マネージャーでもあるわけだから・・戦術や戦略を練ったりすることも大事な仕事だが、それと同時に、選手たちとの心のつながりを高めていくことも大事だと思う・・結局は、人と人との関係だから・・

 良いね。

 これからも、「J2」では、東京ヴェルディ(三浦泰年)と横浜FC(山口素弘)をメインにフォローするつもりです。この2チームについては、過去のことも含めて、高い当事者意識(参加意識)があるわけだから・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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