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2013_ナビスコ・・(後半は)素晴らしいサッカーを魅せたFC東京に乾杯!・・(アントラーズvsFC東京、 2-4)・・(2013年3月23日、土曜日)

いや、ホント、FC東京は、優れた「アグレッシブ・チーム」への正しいベクトル上をばく進していると感じますよ。

 たしかに前半は、両チームの監督が言っていた通り、まあ、アントラーズの方が優勢のように見えた・・というか、ダイナミックな均衡状態だったといった方が正しい表現かもしれない。

 ランコ・ポポヴィッチは、前半の内容に、とても不満だったらしいけれど、フェアに評価した場合、たしかにボールは、アントラーズに支配される時間の方が長かったとは思うけれど、実質的なチャンスの量と質では、まあ、互角だったと思うのですよ。

 だから、前半の「1対1」というスコアは順当だと感じていた。でも後半は・・

 そう、内容でも結果でも、FC東京が凌駕した。

 ゲームの流れが大きく変化したバックボーンは、FC東京の新戦力、東慶悟が登場したことだったね。東慶悟は、やっぱり素晴らしい組織プレイヤーだ。

 とにかく、攻守両面でのハードワークに「も」心血を注ぐプレー姿勢が素晴らしい。そしてもちろん、勝負所では、勇気をもってリスクにもチャレンジしていく。とにかく彼は、本当の意味で「良いプレイヤー」だと言えるね。

 その東慶悟が入ったことによって、FC東京の仕掛けが、格段にアグレッシブ&クリエイティブなものへと大変身を遂げた。

 ルーカス、渡辺千真、李忠成、後方から押し上げてくる長谷川アーリアジャスールと野澤英之のダブルボランチ、はたまた両サイドバックといった面々が、(交替交替に!)タイミングよく絡みつづけるダイナミックな組織コンビネーションが、どんどんと加速していったのさ。

 ということで、「2-4」というファイナルスコアは、順当な結果だったと思っている筆者なのです。

 ところで、ランコが、「前半では、やってはいけないプレーが目立ち過ぎていた・・」なんていう表現を使った。だから、その表現を、もう一段深めてもらうことにした。

 ・・ランコさんは、前半の出来に関して、反省しなければならないポイントが多かった・・やっちゃいけないプレーが多すぎた・・と言われた・・そのやっちゃいけないプレーとは??・・

 そんな私の質問に対し、ランコが、即座に反応するんだよ。やはり彼は、確固たる哲学をもっている。そう、それこそがプロの証明とも言える、「瞬発力」を秘めているんだ。もちろん、志向の瞬発力のことだよ。ということで、彼、曰く・・

 ・・それは、リアクションに回ること・・要は、受け身のプレーだ・・相手に何かをされてから、それに対応するようなプレーは、やっちゃいけない・・どん なときでも、どんな状況でも、常に自分たちが主体になってプレーすることが重要なんだよ・・そう、アクションをつづけるということだ・・決して、リアク ションになってはいけないんだよ・・

 いいね・・

 そんな、ランコの瞬発力が心地よかったから、つづけて、もう一つ質問してしまった。

 ・・ところで、監督の性格だが、それはチームに反映されると思うか?・・わたしは、だから、いまのFC東京は、とてもアグレッシブな(積極的な)サッカーをやっていると思うのだが?・・

 そしたら、ランコは、嬉しそうに、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけ。曰く・・

 ・・そう感じてもらえることは嬉しい・・いまのFC東京は、監督のアグレッシブさが、チームの全体的な雰囲気を醸成していると思っている・・たとえば、 選手が、まさに自然な成りゆきとして(当たり前のように!)局面の勝負にこだわるとか、とことん勝ちにこだわるとか・・そんな雰囲気が醸成されることが チーム作りでは大事なことだと思うんだよ・・

 またまた、いいね・・

 ところで、このことは、ジャーナリスト仲間の方に聞いたハナシなんだけれど、ランコは、選手に、様々なポジションを経験させるのだそうな。例えば、攻撃的な選手に、ディフェンスの責任を自覚させるためとかね・・

 この試合でも、普段は攻撃的ハーフとして気を吐く三田啓貴を、アーリアの守備的ハーフパートナーとして投入したっけ。それ以外でも、攻撃的な選手をサイドバックにしてみたりと、様々なポジションを経験させるらしい。

 それは、本当に、とても良いことだ。日本では、基本ポジションイメージを固定しすぎだからね。それが、「変な言い訳」としてハバを利かすことさえある。それは、とても悪い傾向だよ。彼のイビツァ・オシムが、「ポリバレント性」を強調していたでしょ。

 わたしは、ポジション無しのサッカーが理想だ・・というコンセプトを表明しているからね。フリーランニングという表現も含め、1995年10月に刊行した最初の著書「闘うサッカー理論(三交社)」を読んでいただければと思いまっせ。あははっ・・

 まあ・・、ということで、ちょっとFC東京寄りのコラムになってしまったけれど、この試合でのアントラーズが、普段はあまりゲームで使われることのない若手を「見極める」ために、半分以上を入れ替えて試合に臨んでいたということで、まあ、仕方ない。

 最後に、トニーニョ・セレーゾ監督の興味深い一言を・・

 ・・若い選手には、本当の意味の経験が必要・・そんな本物の経験は、本番の勝負マッチでのみ積み重ねられるものだ・・それは、フレンドリーマッチなどでは、決して身につけることが出来るものじゃない・・

 フムフム・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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