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2013_UCL・・ちょっと短いけれど、ファーストインプレッションだけでも・・(マンUvsレアル、 1-2)・・(2013年3月6日、水曜日)

モドリッチの同点ミドルは、まさに起死回生という表現がピタリとあてはまるゴールだったですね。後半21分の出来事でした。

 それまでマンUが魅せつづけた完璧なゲーム運び。それがあったから、どんどんと「確信レベル」がアップしていたのですよ。でも・・

 まさに、めくるめく歓喜と奈落の落胆が、紙一重で交錯しつづけるサッカーの面目躍如・・ってなところですか。

 そう・・、私は、香川真司がいるマンUを応援していたんだよ。欧州トップ舞台で、もっと香川真司の活躍が観たかったからね。

 それに、モドリッチの起死回生弾によって緊張の糸がプツリと切れるまでのマンUは、レアルを、まさに術中に「はめ」ていたんだ。そう、足許パスと単発の個人勝負というサッカーに「陥れ」ていたんだよ。

 試合後、レアルのモウリーニョも、TVインタビューに対して、「レッドカードに関係なく、ベストチームが負けた。われわれは勝つに値しなかったが、サッカーとはこういうものだ」なんていうコメントを残していたそうな。

 ボールの保持率を高めながら攻め上がるレアル。それに対して、チャンスの流れを見逃さず、「そこ」に人数とエネルギーを集中するような組織コンビネーションを主体に、蜂の一刺しという危険な攻撃を仕掛けていくマンU。

 もちろん(ショート)カウンターという状況もあるけれど、マンUがブチかましていった危険な攻めは、あくまでも、人数を掛けた組織コンビネーションという表現の方がシックリとくるよね。

 それに対してレアルの攻めは、例によって、「個の才能」を活かし切るためのボールの動きといったニュアンスが先行するようなプロセス。

 たしかに、ボールはしっかりと動くけれど、その基本的なイメージは、足許パス。それは、世界の天才たちが、良いカタチでボールを持てるように組み立てるというイメージなんだろうね。

 そんなレアルの攻撃のツボ(危険な状況に発展する芽!)を、しっかりと抑制するマンU守備。

 とにかく、その集中力が素晴らしい。そして、チェイス&チェックからはじまる連動ディフェンスを、スムーズに、そして効果的に機能させつづけるんだよ。

 もちろんボール絡みの状況では、決して安易に当たりにいかず、しっかりとマークを離さないという、究極の「忠実&粘り」の守備プレーを魅せつづける。そこでは、マンUプレイヤーの1人ひとりが、まばゆいばかりのオーラを放っていた。

 もちろん、そんなマンU守備にしてみれば、レアルの「攻めプロセス」は、より、「次」がイメージしやすいでしょ。そして、個の勝負に持ち「込ませ」、そこから、しっかりと「忠実&粘り」のマークをつづけるのさ。

 この試合では、マンUの、人とボールが動きつづける「スペースパス」と、レアルの、個の才能を活かそうという発想の「足許パス」が、とても興味深いコントラストを描いていたね。

 この、「スペースパス」と「足許パス」というテーマについては、以前バルサをテーマにアップした「こちらのコラム」も参照してください。

 監督の考え方によって、そして選手たちの「個の才能のクオリティーとタイプ」によって、志向するサッカーの方向性が決まってくる!? フムフム・・

 とにかく、様々な視点で、ホントにすごい「せめぎ合い」になった勝負マッチでした。またまた、堪能させてもらいましたよ。

 このUCLのトーナメント1回戦については、Soft Bankの「スポーツLIFE」というサイトではじめた連載でも取りあげましょうかね。

 それにしても、香川真司の活躍ステージが少なくなってしまったことが残念でならなかった筆者でした。

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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