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2014_J2_第7節・・ベルマーレがブチかましたスーパー組織サッカー・に乾杯!!・(ジェフvsベルマーレ、 0-6)・・(2014年4月13日、日曜日)

「ところでチョウさん・・湘南スタイルって何ですか?」

記者会見で、唐突に、そんなことを聞いた。もちろん、「そんなことを改めて聞かれたとき、どのように簡単に表現しますか?」という補足も付け加えたよ。

それに対して、ベルマーレ監督チョウ・キジェは、例によって真摯に、こんな一言をくれた。

「それは、リスクを冒してプレーする勇気です」

いいね〜〜、チョウ・キジェ。本当に、このプロコーチは、レベルを超えている。

今シーズンのベルマーレについては、スタジアム観戦は、このゲームが初めてでした。もちろんテレビでは観ているけれど、やはりスタジアム観戦は、迫力が違った。

何せ、グラウンド全体を「俯瞰」して観られるから、攻守にわたって、ベルマーレ選手たちが、何をやっているのか・・何をやろうとしているのか・・が、より鮮明に見えてくるわけだからね。

そんな彼らのサッカーを観ながら、何度、賞賛の溜息をついたことか。

エッ!? 溜息じゃないでしょってか〜っ!? ボクは、心からの賞賛にあふれている場合、クビを横に振りながら溜息をつくんだよ。悪しからず。

考えてみたら、チョウ・キジェは、昨シーズンの「J1」でも、本当に賞賛に値する「闘い」を魅せつづけてくれたっけネ。

まあ、ツキにも見放されて「J2」に降格しちゃったけれど、彼らがブチかましつづけたサッカーの「内容」は、まさに、「サッカーは、こうあるべき!!」っていう、模範的なモノだった。

そのことについては、昨年の暮れに食事をともにしたレッズのミハイロ・ペトロヴィッチも、心から賞賛していたっけね。

ところで、そんなベルマーレを形容する表現。

チョウさんは、あまり納得していないようだったけれど、私は、昔から(もちろん今でも!)チョウ・キジェのサッカーのコンセプトを、「継続こそチカラなり!」っていう一言に集約しているんだよ。

「でも湯浅さん、たしかに根源レベルでは継続なんですが・・それでも、ちょっとずつ変化させ、進化させているんですよ・・!!」と、チョウ・キジェは不満そうだったけれど、その言葉も、ニコニコ微笑みながらのモノだったからネ。

とにかく、この試合でベルマーレがブチかましたサッカーは、まさに次元を超えたハードワークの集積物とも言い表せるモノだった。

対戦したジェフの鈴木淳監督も、シャッポを脱いでいた。

私は、ジェフが志向するサッカーと、彼らの現状を高く評価しているからね(鈴木淳もまた、とても優れたプロコーチだよ!!)、そのこともあって、「この日のベルマーレ」には、鈴木淳さんとともに脱帽だったというわけだ。

えっ!? 何が素晴らしかったかって!? そのファクターを一つひとつ数え上げたらキリがないけれど・・

・・例えば、完璧に「イメージ連鎖」しつづける、ものすごく忠実でダイナミックな「組織ディフェンス」・・素晴らしいチェイス&チェックと、そのアプローチに連動する周りのアクション・・

・・例えば、攻守の切り替えの速さ・・例えば、セカンドボールへの寄りの鋭さ・・例えば、攻撃に移ったときに、全力スプリントで押し上げていく人数の多さ・・

・・例えば、あんなに積極的に人数をかけて仕掛けているにもかかわらず、次の守備では、まったく組織バランスが崩れないこと・・

とにかく、積極的にボールを奪い返した後の、素早い仕掛けには目を見張らされたよ。

典型的なカウンターじゃないんだよ。それでも、タテへの仕掛けの流れに、後方から、何人ものチームメイトたちが、まさに全力スプリントで押し上げていくんだ。

先制ゴールの場面だけれど、ホント、夢のような組織コンビネーションだったよね。

・・攻撃的ハーフの菊池大介が、ボールをもって相手へ突っ掛けていく・・その状況で、その後方から、左サイドバックの三竿雄斗が、数十メートルの全力ダッシュでオーバーラップして菊池大介を追い抜いていく・・

・・次の瞬間、菊池大介からのベストタイミングとコースの縦パスが、三竿雄斗が抜け出そうとしていたタテの決定的スペースへ出たんだ・・それを受けた三竿雄斗・・最後は、柔らかいグラウンダーのクロスを送り込み、最後はウェリントンがジェフゴールへ左足で流し込んだ・・

まさに夢のような先制ゴールだった。

あっと、ベルマーレが展開した素晴らしいサッカーのファクターだった。

その一部は、前述した通りだけれど、それって、サッカーの基本だよね。

彼らは、その基本的なプレーを、「忠実+アルファー!」ってな具合に増幅させたパフォーマンスをブチかましちゃうんだよ。

とにかく、一度、彼らのサッカーをスタジアムで観戦してごらんよ。絶対に、手に汗握って心を奪われちゃうから。

最後になったけれど、会見のなかで、チョウ・キジェが、「ザルツブルク」のサッカーを高く評価している・・なんていうニュアンスの内容をコメントしていたから聞いた。

・・昨年の(ドイツ・プロサッカーコーチ連盟主催の)国際会議で、ザルツブルクのスポーツディレクターとしてトップチームをマネージしている(ドイツの名 将の一人でもある)ラルフ・ラングニックと色々と話しているなかで、結局は、攻守にわたって、いかに多く「数的に優位な状況」を作りつづけるかがテーマ だ・・なんていうハナシになった・・そのことについて、チョウさんの意見は??・・

それに対してチョウさんは、とても強く共感していたね。

まあ、前述した全てのファクターが志向するのは、まさに「そのこと」だからね。

とにかく、時間が経つのを忘れ、ベルーレがブチかました「スーパー組織サッカー」を心から楽しんでいた筆者だったのです。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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