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2014_W杯(17)・・ある単車ライダーとの遭遇・・そして、アルゼンチンとフランス・・(2014年6月25日、水曜日)

「バカヤロ〜ッ!!・・どこを見てやがるんだ〜〜っ!!・・&%%&&%#$&%%%$%#%・・」

たぶん、その単車ライダーは、そんな風に私を罵(ののし)ったに違いない。

そのとき私は、ちょっと余裕を失っていたようで、また神経痛によって十分にクビが回らないこともあって、バックミラーの確認が万全じゃなかったんだろうね。

そして「そのライダー氏」は、自分の「通り道」を、私のクルマで急にふさがれたからアタマにきた。

何せ、彼らの通り道は、渋滞しているクルマの間のスペースなんだから。

そのとき私は、車線を変更した。

ちょっと考え事をしていたから、レシフェのスタジアムへの分かれ道を見落としかけたんだよ。だから、(アイルトン・セナよろしく!?)かなり強引に右へ車線変更したんだ。

そのとき、後方から、件(くだん)のライダー氏が、自分の通り道をブッ飛ばして追い抜こうとしていたっちゅうわけだ。

危ない・・危ない・・。

そこで目が合ったそのライダー氏に、日本的なジェスチャーで、「ゴメン、ゴメン・・」と意思表示した。

そしたらそのライダー氏、何の屈託(くったく)もなく、ニコニコして、サムアップ(親指を立てる仕種)してくれるんだ。

やっぱり温かい北部(北半球でいったら南部)のブラジル人は、明るいんだな〜・・。

そういえば、ドイツで知り合った(ドイツ系の)ブラジル人が、こんなことを言っていたっけ。

・・南部のブラジル人は、かなりシリアスで冷静だから、寒い国のヨーロッパ人と似通っている人たちも多い・・それに対して温暖な北部のブラジル人は、陽気でウルサく、そして何事につけてもいい加減なんだよ・・

そういえば、私が世話になっている家の人々も、いつもこんなことを言っていたっけ。「ブラジル人は、時間にルーズだから・・」。

もちろん彼らは、北部の温暖な地方に住むブラジル人のことを言っていたんだろうね。フムフム・・

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さて、アルゼンチン。

ヤツ等、やっぱり強い・・というか、良くなっている。

何といっても、ガーゴが完全復活したのが大きいね。その守備的ハーフパートナーのマスチェラーノも汗かきに徹しているし。

アルゼンチンは守備が問題だと言われているし、実際にそう思うけれど(この試合でも何度もピンチに陥り、2失点を喫した!)、選手たちも、そのことを自覚しているんだろうね、しっかりとカバーリングし合おうとしている。

とはいっても、メッシ頼り・・という側面は、まったく拭えていない。

もちろん、ディ・マリアもいいけれど、どうしても、メッシが良いカタチでボールを持たなければ、相手が怖がる仕掛けがままならない。

さてどうしたモノか。それに、この試合では、アグエロもケガをしてしまったし。

アルゼンチンは、以前のように、もっともっと人とボールを動かさなければ良いサッカーにならないよね。

だからこそ、リオネル・メッシは、諸刃の剣。

彼を中心にチームを構築するのはいいけれど、ドリブル勝負だけのメッシでは、いつかは行き詰まってしまうでしょ。

やはりメッシは、全盛期のディエゴ・マラドーナとは比べものにならないんだ。

ディエゴだったら、ボールキープ(タメの演出)や勝負ドリブルだけじゃなく、詰まったときには、相手に取り囲まれたって、そんなコトはまったく意に介さず、ボールを「さらして」相手を挑発しながら、決定的な(ロング)スルーパスだって通しちゃうでしょ。

実は、私は、ディエゴ・マラドーナについては、ドリブル勝負ではなく、その、組織パスの能力の方を高く評価しているんだよ。

その見方については、ドイツの友人たちも、完全にアグリー。誰もが、ディエゴの、キープ&必殺パスの虜になっていたんだよ。

とにかくディエゴ・マラドーナは、いまでも、それもドイツでも、伝説のヒーローなんだ。

そういえば、2006年ドイツW杯じゃ、こんなこともあったっけ。

貴賓席に陣取ったディエゴ・マラドーナが、禁煙にもかかわらず、葉巻をくゆらせているシーンがテレビに大写しになったんだ。

そのとき、ドイツの友人たちは、クビを横に振りながら、こんなことを言ったものだ。

「仕方ネ〜よ・・ディエゴだったら、何をやっても許されちゃうよな・・」

あっと、リオネル・メッシの組織パス能力のことだった。

ということで、メッシで特筆なのは、勝負ドリブルであり、逆に、彼がボールをもったときの、組織コンビネーションの流れの「途切れ」の方が心配だ・・っちゅうことが言いたかったのでした。

守備の不安定さも相まって、今回のアルゼンチンには期待薄!? いやいや、そこはサッカーだからネ、その神様は、我々の「予想」をあざ笑っちゃうに違いない。

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さて、フランス。

たしかに(フランス監督の)ディディエ・デシャンは、若手とベテランを上手く「融合」しつつあるとは思う。もちろん、まだ強い国とやっていないから、確度の高い評価はできないけれど、でも、個の能力の総体としてのキャパはある。

でも、組織と個のバランスレベルという意味じゃ、エクアドル守備ブロックの「ウラ」を攻略できずに攻めあぐねていることも含めて、組織サッカーが、まだまだだと思う。

たしかにボールは動くけれど、そのほとんどが「足許パス」なんだよ。効果的なスペースパスは少ない。要は、最後の勝負は、そのほとんどが個人勝負になってしまうというわけだ。

決定的スペースを、3人目や4人目のフリーランニングも含めた「組織パスコンビネーション」で攻略したシーンは、とても少なかった。

まあ、「単発」のウラ狙いスルーパスやミドルパス、ベンゼマがコアになったコンビネーションは、何度かあったけれど・・ネ。

この「スペースパス」と「足許パス」というテーマについては、新連載「The Core Column」で発表した「このコラム」も参照してください。

たしかにフランスは、ここまで「大勝」してきたけれど、そのほとんどがカウンターだったからね。

カウンターだけれど、その実効レベルを高揚させる最も効果的なツールは、何といっても、ドリブル突破能力に代表される「個の才能」。たしかにフランスは秀でている。でも・・。

決勝トーナメント進出が掛かるエクアドルは、決して弱いチームじゃない。

だから、フランスの実力コノテーション(言外に含蓄される意味)を見極める意味でも、とても貴重なゲームであり、その結論は、どちらかといったら「?」マークが付くモノだったっちゅうことです。

繰り返すけれど、フランスの「個のレベル」は相当ハイレベルなんだよ。でも、その「個のチカラ」を最大限に発揮させる(効果的にリンクするための!)絶対的ベースとしての組織プレーが、まだうまく機能していない。

だから個人勝負の「ブツ切り」を積み重ねるっちゅう感じになっちゃう。

とはいっても、若いこともあって、そんなフランスが、チームとして「ブレイク」しちゃう可能性については、まったく否定できない。まあ、これからは、彼らに「も」注目しよう。

さて明日は、(USA対ポルトガル戦における!)後半ロスタイムの同点ゴールによって、ギリギリの勝負マッチになってしまった、ドイツvsUSAだぜ。

もちろん私は、スタジアム観戦する。熱い闘いを期待しましょう。

神経痛だけれど、徐々にではあるけれど、良くなっていると体感できるんだよ。そう、確かな希望。だから、何となくハッピー。あははっ・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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