トピックス
- 2014_W杯(21)・・えっ、カウンターサッカー!?・・そしてコスタリカ・・(2014年6月29日、日曜日)
- 今日は、まず「カウンターサッカー」というテーマから入りましょうか。
今回のW杯では、カウンターサッカーが猛威を振るっている・・と言われるけれど・・。
でもそれは、以前のような、リトリートした低い位置で「強化守備ブロック」を組み、相手が全体的に攻め上がった状況から、機を見た(長い距離の!)カウンターを仕掛けていく・・というオーソドックスな「カウンターサッカー」ではないのですよ。
たしかに、これだけ高温多湿じゃ(もちろん南部の都市とかベロオリゾンテなどは涼しいけれど)、運動量が求められる、高い位置「から」の連動プレス&ショートカウンターサッカーや、組織(パス)コンビネーションサッカーを機能させるのは簡単じゃないよね。
まあ、ブラジル戦のチリは、開催都市が(比較的涼しい)ベロ・オリゾンテということで、最後の最後まで、積極的な連動プレスで対抗しつづけていたけれど、
やはり、その「勢い」は、まあ相手がホストカントリーのブラジルということもあったんだろうけれど、落ち着かざるを得なかった。
「落ち着き」・・!?
そう、状況を、より「冷静」に見きわめて繰り出していく連動プレスと(スーパー才能のアレクシス・サンチェスを中心にした!)カウンター(ショートカウンター)。
ちょっと、このニュアンスが難しいけれど、高温多湿の開催都市が多い今大会じゃ、運動量を要求される、(高い位置からの)連動プレス&ショートカウンター、また組織(パス)コンビネーションサッカーは、そんなに簡単じゃないということです。
だから、調整型の連動プレスと、(ショート)カウンター。
まあ、ドイツだけは、いつもの「彼らのサッカー」を貫いているけれど・・。
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そのカウンターサッカーだけれど、前述したように、決して、以前のような、リトリートした(全体的に下がった受け身の!)守備ブロック型ではありません。
そうではなく、あくまでも、「より積極的」にボールを奪い返しにいくという、攻撃型のサッカーなんだよ。
でも、チリのように、(出来る限り!)前から連動プレス(超ハードワーク)を繰り返すのではなく、ボールを奪い返す「高さ」を調整する。そう、ブラジルのようにね。
要は、そんな「サッカーのイメージ」を、効果的に連動させる(チームのイメージを統一させる)ということなんだ。
それがあるから、全員が同じ「ピクチャー」を描いて、ボールを奪い返す連動プレスをブチかましていける。
あまりに「性急」にチェイス&チェック&連動プレスを仕掛けていくのではなく、自分たちの守備ブロックの「組織」を整え、そして機を見計らい、急激にテンポアップして連動プレスをブチかます・・っていう表現かな。
そしてそこからは、もちろん、パス数が少ない(ショート)カウンターや、ロング(放り込みとも言える!?)勝負パスをブチかましていくというわけだ。
だから、「調整型」の連動プレスと、素早いタテへの仕掛けサッカー・・。
ブラジルを筆頭に、だからこそ、パスの総数と、総「走行距離」が、他のチームと比べて、比較的少ないのである。
ちなみに、パスの総数と総「走行距離」が、両方ともトップ(クラス)なのはドイツだけ。だから彼らは、自分たちのサッカー(しっかりとボールをキープしながら仕掛けていく組織サッカー)を貫いている・・と言える。
まあ、まだ仮説レベルではあるけれど、帰国したら、その視点でもビデオを見直してみよう。
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そうそう、昨日のコラムで書いた、友人の日本人カメラマンの方とのランデブー。奇跡的に、うまくいきましたよ。フ〜〜ッ。
ということで、コスタリカ対ギリシャ。
あっと、その前に、テレビ観戦したオランダ対メキシコだった。
とても蒸し暑いなか、選手たちの動きが鈍いこともあって、両チームともに攻めあぐむ展開になった。
そんなゲームの流れのなかで、しっかりとボールをつないで攻めるメキシコは、ミドルシュートをバンバン打ち、オランダは、ロッベンのドリブル勝負とセットプレー(高さ)で勝負する。
そして、まさに、その筋書き通りに、まずメキシコの天才、ドス・サントスが、見事なドリブル・ミドルシュートを決めた(後半3分)。
もちろんオランダは、その失点で生き返り(意志のパワーを倍増させ!!)、攻めに攻めまくるんだよ(もちろんメキシコもたまにはカウンターを仕掛けてはくるけれど・・)。
そして最後は、コーナーキックの競り合いからヴァイタルエリアへこぼれてきたボールを、スナイデルが目の覚めるようなキャノンミドルを決め(後半43分)、その3分後には、例によって、ロッベンの突破ドリブルがファールで止められてPKを得た。
それを、フンテラールが落ち着いて決め、ゲームに決着がついたっちゅう次第。
どうなんだろうね。どちらが勝ってもおかしくない勝負マッチではあったけれど、私は、ヨーロッパ勢が生き残ってくれて、ちょっとハッピーではありました。スミマセン・・
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ということで、レシフェでのコスタリカ対ギリシャ。これは、スタジアム観戦です。
両チームともに、少し下がり気味で(調整型の!)連動プレス&カウンターをイメージしているっていうことなんでしょ。もちろん彼らは、出来れば「ショートカウンター」のチャンスを作り出したい。
ということで、同じような「イメージ」のサッカーを展開しようとする両チームだったわけだけれど、さて・・。
でも結局は、互いに攻め上がるような、イーブンな展開になっていった。そのなかで前半は、どちらかといったら、ギリシャにペースが傾いていたと思う。
この「互いに攻め上がっていく・・」という現象の背景には、多分、ゲームの「傾向」を感じ取った選手たちのフィーリングがあったんだろうね。
要は、守りに入ることが不自然で、自分たちも攻め上がっていかなければ・・と感じられる展開になったということ。
もちろん監督も、ゲーム前には、「相手に攻め上がらせて・・」というのではなく、「慎重に・・」なんていう表現に止めたはず。
とても微妙だけれど、結局は、選手たちの感覚的な認識が、「あんなゲーム展開」になったバックボーンにあったに違いないと思うわけなのです。
そして前半は、コスタ・リカの方が、ギリシャの「ツボ」にはまっていく。要は、攻め上がり過ぎで、ギリシャの効果的なカウンターを受けてしまったということです。
でも、そのギリシャのカウンターにしても、コスタ・リカ守備ブロックが、しっかりとバランスを執っていたから、そうそう簡単には「抜け出せ」ない。
そして徐々にゲームが、動的に均衡した状態へと変容していったのです。
もちろん、こんな微妙なゲーム展開になることは想定していたけれど、実際になってみると・・。うん・・本当に微妙な感覚に陥っていたんだ。
ところが、後半になって・・
徐々に、ギリシャが実力をゲームの流れを牛耳りはじめるんだよ。記者会見で、サントス監督が、「ハーフタイムに、もっとプッシュアップしていこう・・と指示した・・」と話していたっけ。
そしてギリシャが、自分たちの持てるチカラを、充実したカタチで発揮しはじめるんだよ。
(ショート)カウンターを意識し「過ぎる」ことなく、しっかりとした組み立てから、ラスト(スルー)パスやロングパス、はたまた大きなクロス等、など、オーソドックスに攻め上がるギリシャというわけだ。
もちろんコスタ・リカも負けずに、押し返してはくるけれど、やはりそこには、ギリシャに一日の長あり・・なんていう、微妙な「実力差」が見て取れた。それが・・
そう、そんなゲーム展開のなかで、まさに唐突に、本当に唐突に、コスタ・リカのルイスが先制ゴールを「流し込んで」しまうんだよ。後半7分。
そのとき、誰もが驚いたに違いない。「あんな展開なのに・・コスタ・リカが先制ゴールを挙げちゃったぜ・・」ってね。
そして、ギリシャの「やるコト」が決まった。
ガンガン積極的に攻め上がっていくギリシャ。そのなかで、またまた、ゲームの趨勢に大きな影響をあたえる「事件」が起こっちゃうんだよ。コスタ・リカの、デュアルテが、二枚目イエローで退場になっちゃったんだ。
これで、コスタ・リカのやることも決まった。さて・・。
そこからは、もうギリシャ攻勢のオンパレード。
もちろん「オーソドックスな攻撃」ではあるけれど、そこに充填されるエネルギーレベルが、一回りも、二回りも膨れ上がっていったんだよ。
何度も、何度も、決定的なカタチを作りつづけるギリシャ。
その度に、幸運も重なったことで、難を逃れるコスタ・リカ。
この試合で「MVP」に輝いたコスタ・リカのGKナヴァスも、何度も信じられないセービングを魅せつづけた。
それでもギリシャは、劇的な同点弾でドローに追いつき、延長でも攻めつづけたんだ。でも、その度に、コスタ・リカ選手の身体を張ったギリギリの守備アクションや、GKのナヴァスが立ちはだかるんだよ。
そして突入したPK戦。
そこでもナヴァスは、コスタ・リカの勝利に大いに貢献した。
ギリシャはよく攻め、そして多くの決定的チャンスも作り出したけれど、結局は、幸運神様が微笑むことはなかった。
それにしてもコスタ・リカ。
グループリーグでは、ウルグアイ、イタリアという強豪を連破し、最終戦では、イングランドと粘りの引き分けを演じた。
そして彼らは、今大会の台風の目になった。そう、安定したディフェンスから繰り出す必殺カウンターという武器を使いこなす曲者として。
それだけじゃなく、「調整型の連動プレス」を巧みに操るトレンドセッターとしても、存在感を発揮しているんだよ。
次の相手になるオランダも、調整型の連動プレスを巧みに操り、最前線にロッベンという(コスタ・リカではキャンベル)絶対的なストライカーがいる。
多分、この試合のように、相手のオランダがゲームのイニシアチブを握ることになるとは思う。でも「それ」は、もちろん、コスタ・リカの思うつぼ。
でも逆に、感覚的な「後押し」によってコスタ・リカが攻め上がれば、そこには、アリエン・ロッベンという、レベルを超えた超絶ドリブラーが牙をむく。さて・・
この試合も、見逃せない。では今日は、こんなところで・・
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最後に「告知」です。
実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。
でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。
そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。
だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。
でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。
ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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