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2015_日本代表(親善マッチ)・・本当に、素晴らしい学習機会(成功体感の積み重ね!?)になった・・(イランvs日本、1-1)・・(2015年10月13日、火曜日)

いや〜、良かったネ、ホントに。

もし「あのままの内容」でゲームが終わっていたら、自信と確信という視点でも、アジア最終予選へ向けて、とてもネガティブな(心理・精神的な!?)影響が残ってしまったはずだからね。

ところで、その、「あのままのゲーム内容」についてだけれど・・。

イランは、先日(W杯予選)オマーンで対戦したシリアのように、「ガンガン」と前から積極プレッシャーをブチかましてきたわけじゃない。

そうではなく、オーソドックスな(組織的)連動ディフェンスを基盤に、とてもクレバーに、自分たちに有利な「局面でのせめぎ合い」に持ち込んでいったんだよ。

そしてヤツ等は、球際でのせめぎ合いに、めっぽう強い。さすがに、アジアナンバーワンだ。

そこでのキーポイントは、何といっても、予測能力と味方とのイメージ連動性、そして「闘い切る意志のパワー」だよね。

要は、ボール奪取勝負へ持ちこんんでいくプロセスが、「忠実」で巧み、そして局面での球際勝負が、ものすごく粘り強くパワフルということだ。

またイランは、攻めでも、とても危険な仕掛けをブチかましていく。

他の中東チームだと、個のゴリ押し勝負が目立つのが常だよね。

それに対してイランは、組み立てでの組織パスプレー(コンビネーション)が洗練されているだけじゃなく、活発な「人とボールの動き」のなかでも、勝負所では、勇気をもって危険な「個の勝負」もブチかましていくんだよ。

特に、サイドから送り込む「クロスボール」やセットプレーが、とても効果的で危険だ。

イランのサイド攻撃では、正確で危険なクロスボールをゴール前で「受ける」味方選手の動きも、とても上手くシンクロしていると感じる。

前半36分に右サイドから送り込まれたクロスボールのシーンでは、逆サイドの後方からオーバーラップしてきたイラン選手に、決定的なシュートを打たれるピンチがあった。

このシーンでは、本田圭佑のマークが「遅れた」わけだけれど、それは、彼にとっても、とても貴重な学習機会になったと思うよ。

また日本が盛り返してペースを握った後半でも、クロスボールから、決定的なヘディングシュートをブチかまされるシーンがあったよね。

サスガに、カルロス・ケイロス監督。選手たちの「勝負イメージ」を構築する(うまくシンクロさせる!)能力に長けている。

昨年のブラジルW杯だけではなく、今年1月にオーストラリアで開催されたアジアカップでも、イランは、アジアのチームとして、トーナメントで最高のサッカーを展開した。

ブラジルW杯じゃ、「あの」アルゼンチンを、崖っぷちまで追い込んだじゃないか。

また、結局は負けちゃったけれど、今年1月のアジアカップでも、サッカーの内容では、完璧に一歩抜きん出ていた。

2011年からイラン代表の監督を務めているストロングハンド、カルロス・ケイロスは、本当に優れた仕事をしていると思う。契約が延長されるのも道理だ。

そして、そんな強いイラン代表と、ヤツ等のホームスタジアムで対峙した我らがハリルホジッチ日本代表。

たしかに、前半は「やられ」まくったけれど、後半になって徐々にパフォーマンスをアップさせ、最後は、互角以上のサッカーにまで「盛り返す」ことが出来た。

日本代表は、この試合を、素晴らしい学習機会へと「昇華」させられたと思うわけだ。

もちろん前半にも、盛り返した時間帯はあったよ。でも「それ」は、本物のペースアップではなかった。何せ、再びイランに(簡単に!?)イニシアチブを奪い返されちゃったわけだからね。

ということで、このコラムの中心テーマは、後半になってからの日本代表のパフォーマンスアップ・・っちゅうことになる。

そのバックボーンは、ディフェンス(ボール奪取プロセス)内容がアップしただけじゃなく、攻撃での人とボールの動き(組織サッカーの内実!)と、後方からのオーバーラップ(サポート)内容が充実してきたからに他ならない。

もちろん、イランの運動量が落ちてきたという側面も、少しはあっただろうけれど、私は、より能動的に考えたい。日本代表のパフォーマンス(意志パワーの)アップこそが、もっとも大きなバックボーンだったってね。

なかでも、ディフェンス内容のアップ。それこそが、もっとも大事なファクターだったと思う。

ボール奪取プロセスが好転したからこそ、次の攻撃でも、組織サッカーの全体パフォーマンスが高揚したと思うわけだ(特にボールがないところでの動きの量と質という視点でネ!)。

そして、だからこそ、武藤嘉紀を筆頭にした「個の勝負」も、本来のチカラを発揮できるようになったというわけだ。

局面で「個の勝負」を仕掛けていくときに、もっとも大事になってくるファクターは、言うまでもなく、自信と確信という絶対的バックボーンに支えられた勇気だよね。そう、心理・精神的ファクター。

不確実な要素が満載のサッカーは、究極の心理(ボール)ゲームなんだよ。

意志が充実していたら、着実に、実力を発揮できる(120%のチカラを発揮できる!?)。でも逆に、少しでもビビッたら、パフォーマンスは地に落ちてしまう。

そして、本物のチームゲームであるサッカーでは、1人でも意志パワーを減退させたら、その消極ビールスが、すぐにでもチーム全体を浸食し、闘う雰囲気を崩壊させてしまうというわけだ。

だからこそ、プロコーチ(監督)の、心理マネージャーとしてのウデが問われるんだよ。そう、指揮官のグッドパーソナリティー(勇気や人間的魅力・・等など)。

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最後に、2人の選手を取りあげたい。

1人は、宇佐美貴史。もう1人が、柏木陽介。

宇佐美貴史は、先日の「J」、フロンターレ対ガンバ戦のコラムでも書いたけれど、まだまだ、意志が足りない。

たしかに守備には「入っている」けれど、肝心なトコロでの(球際での)せめぎ合いが、淡泊で脆弱に過ぎる。

また、その守備プレーにしても、チェイス&チェックだけじゃなく、カバーリングやマーキングでも、肝心なトコロで、全力スプリントが出てこない。そして、ぬるま湯の走りで、「そこにいるだけ」っちゅう守備プレーになってしまう。

それは、まさに「アリバイ守備」。

周りの味方ディフェンダーにとって、それほど「邪魔な守備参加プレー」はないんだよ。

全力スプリントだけれど、「それ」は、具体的に達成したいプレーイメージと「強烈な意志」がなければ、肝心なところで出てこない。

だからこそ本場では、全体的な「走行距離」だけじゃなく、爆発ダッシュ&全力スプリントの「量と質」も、とても重要な「評価基準」になっているっちゅうわけさ。

彼の、攻撃での「天才」を思えば、本当に、この「無様なハードワーク・コンテンツ」が惜しい。本当に、惜しい。

もちろん、これから日本代表が臨んでいく勝負マッチでの(特に追い込まれた状況での!)最後の10分間に投入するジョーカーとしては、まだまだ価値は大きい。

それは認めるけれど、それでも彼に対しては、誰もが、様々な意味合いでチームを引っ張る「本物の」中心プレイヤーとして活躍して欲しいと願っているはずだからサ。

フムフム・・

そして、もう一人。そう、柏木陽介。

とても良かった。

もちろん、スピードとパワーに劣ることで(特に球際のせめぎ合いシーンでは!?)限界はあるけれど、彼の、攻守にわたる忠実なハードワーク姿勢(強烈な意志パワー!)と、ボールをもったときの「ゲームメイク&チャンスメイク能力」には、特筆の価値があると思う。

そう、優れた状況把握能力をベースにした創造的なゲームメイキング(特に、大きな展開やロングの仕掛けパス等)と、ダイレクトを駆使するコンビネーションの仕掛け人・・等など。

この試合でも、そんな柏木陽介の優れたクオリティーが存分に発揮されたと思う。いや、彼にボールを集めれば、もっともっと効果的な仕掛けプロセスが繰り広げられたと思う。

ということで、このコラムの最後は、ネガ&ポジの「個人評価」で締めることにしました。

とにかく、本当に「あのまま」終わらなくて(日本代表が、主体的に盛り返せて!)良かったと胸をなで下ろしている筆者なのでした。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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