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2015_日本代表(W杯予選)・・強い意志に支えられた忍耐強さと(冷静な!?)勇気こそが・・(シリアvs日本、0-3)・・(2015年10月8日、木曜日)

すごかったネ〜〜、シリアが、最後の最後までブチかましつづけた「闘う意志」。

もちろん「その心理バックボーン」には、母国が、人類史上でも例を見ないほど厳しく、悲しい状況に置かれているという現実があるに違いない。

同胞を勇気づけたい・・。だからこその「究極の闘う意志」という側面もあったんだろうね。

例えば、後半33分に、本田圭佑が得たチャンスのシーン。

香川真司から決定的スルーパスを「呼び込もう」とする爆発スタートで、ペナルティーエリア右サイドから、相手マーカーを振り切ってフリーシュート体勢に入った本田圭佑。

でも、(まったく諦めることなく!!)全力スプリントで追いかけたシリア選手が、必死のスライディングを仕掛けたんだ。

もちろんシリアGKも、必死の形相でゴールを飛び出し、身体全体で本田圭佑のシュートを止めようとする。

結局シュートは、そんな彼らの「覇気」に気圧されるように(!?)右ポストを外れていった。

もしかしたら、最後の瞬間に追い付き、スライディングタックルを仕掛けたシリアディフェンダーの足が、軽くボールに触れたのかもしれない。

私にとってそれは、感動的なシーンだった。そう、この勝負マッチで貫きとおした、シリアチームの「究極の闘う意志」を象徴するシーンだったんだ。

シリアチームのレベルを超えた闘う意志。それは、キックオフの瞬間から、誰もが体感していたに違いない。

そんなシリアのスピリチュアルエネルギーに、35度という厳しい気候条件も加わったから、日本チームの人とボールの動きに、いつもの勢いが感じられないのも道理だった。

これは、とても難しいゲームになる・・。そう思った。でも・・

そう、前半も20分を過ぎたあたりから、日本チームも、素早くリズミカルな「ダイレクト・パスコンビネーション」を繰り出せるようになったのだ。

全力でボールを奪いにくるシリア選手の「前への勢い」を効果的に「いなす」ことで、長友佑都や酒井高徳によるサイド攻撃も、何度かツボにはまるようになったんだよ。

また、人とボールの動きの活性化によって、本田圭佑や香川真司が、うまく「仕掛けの起点」になれるようなシーンも増えていった。

仕掛けの起点(タメ)。

もちろん、ある程度フリーでボールをキープするシーンのことだよ。そして、「そこ」から、最終勝負コンビネーションがスタートしたり、決定的スルーパスやクロスが送り込まれたり。

そんなふうに、前半なかばの15分間は、ホッと胸をなで下ろせるような時間帯になったんだ。

たしかにその時間帯のシリアは、日本チームの「ツボ攻撃」が危険度をアップさせたことで、「前からボールを奪い返そうとする勢い」が、少し減退気味になっていったよね。でも・・

そう、シリアは、前半の終わりの時間帯には、再び勢いを取り戻していくんだよ。

もちろん「その現象」は、シリアのボール奪取が(再び)うまく機能しはじめたことと、日本チームの組織サッカー(人とボールの動き)が、徐々に勢いを失っていったからに他ならない。

前半を見終わったときには、「ホント・・これは、ものすごくタフな勝負マッチになるぞ・・」と、覚悟を決めざるを得なかったんだよ。

でも後半は、日本に追い風が吹いきはじめた。

その背景には、シリアの運動量が、少しずつ落ちてきたコトもあるだろうね。

とはいっても彼らのディフェンスは、最後の瞬間に繰り出すスライディングやカバーリングの素晴らしい量と質など、肝心なところでは、まったく「闘う意志」に陰りが見えることはなかった。

そんな厳しい展開のなか、長谷部誠の「エイヤッ!」の勝負ロングパスと、これまた「エイヤッ!」ってな岡崎慎司の決定的フリーランニングが、ピタリとシンクロするんだ。

それは、後半9分のことだったわけだけれど・・

その、岡崎慎司がブッ倒されたシーンでは、瞬間的に、チト震えた。

何故かって!?

そうなんだよ、それまでのレフェリーのジャッジ内容からしても、もしかしたらヤツは、このファールを「流してしまう」かもしれないって、本気になって心配したんだ。でも・・

良かった、PKを与えられてホントに良かった。

そして、本田圭佑の、例によっての「冷静なPK」による先制ゴールが決まったっちゅうわけだ。

でも、その直後からシリアがブチかました、人数をかけて「前へ仕掛けていく勢い」には、何度かフリーズさせられた。サッカーじゃ、「交通事故」は、常に起きるわけだから・・。

でも(中盤から前線の選手たちも含めた!!)日本のディフェンスブロックが魅せた集中力は、とても優れていたと思う。

もちろん何度かは、反応が(主体的なイメージングとアクションが!)遅れるようなシーンはあったけれど、それでも大事には至らなかったよね。

そして、再び日本がゲームを支配しはじめた後半25分に、香川真司が演出したスーパーな追加ゴールが生まれたっちゅうわけだ。

岡崎慎司がダイレクトで流し込んだ「あの」スーパーゴールシーンでは、香川真司のドリブル勝負だけじゃなく、それを「信じて」ニアポストスペースに走り込んだ岡崎慎司のフリーランニングにも感謝しなきゃいけない。

さて、ということで、この試合でもっとも注目されるべきテーマだけれど・・

それは、冒頭で書いた、(戦争や人の死を身近に体験している!?)中東チームが前面に押し出す、強烈な闘う意志に支えられたパワフルなプレー・・という現実。

日本チームは、選手もベンチもフロントも、そんな相手と対峙しなければならないワールドカップ地域予選が、「ものすごく厳しい・・」という現実を、冷や汗とともに、しっかりと思い出した(はじめて体感した!?)に違いないでしょ。

そして「それ」こそが、このゲームを通して再認識すべき重要テーマだったと思うわけだ。

そう、強い意志に支えられた忍耐強さと(冷静な!?)勇気。

その意味でも、とても貴重な学習機会だった。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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