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2015_日本代表・・新ストロングハンド・・優れた仕事があったからこそ内容と結果をシンクロさせられた・・そして代表チームでの競争環境が活性化する・・良かった・・(日本vsチュニジア、2-0)・・(2015年3月27日、金曜日)

良かったネ〜・・ホントに良かった。

ハリルホジッチが優れたプロコーチであることは、良く知っていた。そして、その彼が、(このゲームでの選手たちのプレー姿勢=意志の内容=から!!)とても良い仕事をしていることも体感させてもらった。

そして・・

「このこと」が、このゲームでは最も大事なコノテーション(言外に含蓄される意味)だと思うのだけれど、彼は、その「内容」をベースに、しっかりと「結果」も引き寄せたんだよ。

それは、これから彼の仕事環境を整えていくという視点でも、本当に、とても大事なコトだった。だから、本当に、良かった。

監督デビューゲーム。それも相手は、チュニジアという強いチーム。

立ち上がりは、そんな、チュニジアの強さが際立っていたよね。そして、そんな強者と対峙するのは、若手の(まだ代表チームでの経験が豊富ではない!?)選手たち。

そりゃ、チト、不安もあったサ。正直なところ。でも・・

そう、たしかに、忠実で力強い中盤ディフェンスをブチかましてくるチュニジアに、立ち上がりは押され気味になっていた我らが若武者たちだったけれど、時間を追うごとに、局面での「せめぎ合い」を有利にすすめられるようになっていったんだ。

そのポジティブな(勇気に充ちた!?)変化にこそ、日本ベンチの前で、仁王立ちで戦況を見守る「ストロングハンド」の真骨頂が表現されていたと感じていた筆者だったのです。

あっと、この大分での試合・・

実は、所用が重なったことで、自宅でのテレビ観戦ということになってしまったんですよ。

でも、テレビ中継のカメラワーク(俯瞰的な視点とズームアップのマネージメント!)が、とても良かったから、攻守にわたるボールがないところでのプレー内容まで、しっかりと観察できた。だから、とても楽しめた。

そう、その、攻守にわたる「ボールがないところ」でのプレーの量と質が、このコラムの骨子テーマなんだよ。

そこにこそ、バヒド・ハリルホジッチの真骨頂が如実に表現されていたと感じていた筆者だったのです。

守備では・・

相手ボールホルダーに寄せるヤツ(チェイス&チェック)、その「押さえ」をベースに、インターセプトや次のパスレシーバーを狙うヤツ、相手ボールの動きの停滞を読み切って協力プレスを仕掛けようとするヤツ、ボールから離れた相手を忠実にマークするヤツ、等など。

そんなヤツ等のイメージが、うまく連動しつづける組織ディフェンスが、とても高いレベルで機能していたんだよ。

まあ、要は、(考えつづけることを!)サボらず、全員が、次、その次を、勇気をもって狙いつづけていたっちゅうことだ。そう、ハイレベルな集中力。

そして、ボールを奪い返した次の瞬間からはじまる攻撃。

あっと・・

守備でもそうだけれど、攻撃でも、選手たちは、「ボールを奪い返せる・・」という確信をベースに、実際のボール奪取よりも早いタイミングで、次の攻撃アクションをスタートしていたっけ。

もちろん守備では、味方がボールを失うかもしれない・・で、既に次のディフェンスアクションに入っているっちゅうことだよ。

あっと、攻撃・・

二つだけ、大事なポイントをピックアップしましょうかね。

一つは、言わずと知れた、シンプルで素早いタイミングのボールタッチ。

要は、ボールを「こねくり回さず」に、シンプルなタイミングでボールを動かし、パス&ムーブを繰り返すっちゅうことだ。

もう一つが、ボールがないところでの動きの量と質。そう、パスレシーブのフリーランニング。

だから、「仕掛けフロー」が、タテ方向へ、素早く、効果的に「流れ」ていく。

ハリルホジッチは、シンプルな(素早い)タイミングのボールタッチを・・、それも、出来るだけタテ方向への仕掛けパスを(!!)要求しつづけていたと聞く。

そんなだから、タテでパスを受けるべきチームメイトが、次のパスをイメージしようと様子見になったら、周りから「白い目」で観られちゃうよね。

だから、パサーにしても、パスレシーバーにしても、より積極的な「仕掛けマインド」でプレーする。

要は、前戦の味方を「走らせる」ような仕掛けパスを出したり、味方ボールホルダーから「仕掛けのパス」を出させるようなパスレシーブの動きを仕掛けたり・・っちゅうわけだ。

私は、ハリルホジッチが、そんな、選手たちの「積極的な自己主張の姿勢」をも活性化したと思うのですよ。

だからこそ、人とボールの動きが、素早くシンプルに活性化し、そして、タテ(前方)へ仕掛けていくダイナミズムが充満していった・・というわけです。

そして・・

これまた、とても大事なポイントなんだけれど。

そう、本田圭佑や宇佐美貴史といった希代の才能連中のプレー姿勢が、大きく変わったというテーマ。

まあ、ここで、彼らのボールがないところでの動きの量と質のアップや、ボールを持ったときのプレーコノテーション(言外に含蓄される意味)の進化について論を展開しようとは思わない。

とにかく、観ていれば、彼らの、攻守にわたる「ハードワーク」へ取り組んでいく姿勢(意志)に、目立った変化のあったことが分かるでしょ。

それもまた、「ストロングハンド」の為せるワザっちゅうわけだ。

・・このオッサンには、オレ達のプレーだけじゃなく、意識や意志の内容もお見通しだ・・それに、ものすごく強烈なパーソナリティー(意志)の持ち主だということも感じる・・

・・こりゃ、言われる通りにしなければ(彼の要求に応えようと努力しなければ!!)、すぐにお払い箱にされてしまう・・よしっ・・

・・ってな具合。

だから、そんな、日本サッカーに大きな価値をもたらしてくれるストロングハンドの最初の仕事が、内容と結果が一致するカタチで報われて、本当に、良かった・・と思っている筆者なのです。

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ここからは、観戦しながらメモを取っていた個別のポイントについて、簡単に。

まず、この試合でも、攻守にわたって、素晴らしい「重心プレー」を魅せつづけたダブルボランチ(ハリルホジッチが描く中盤のタスクイメージとはチト違っていた!?)長谷部誠と山口螢。

もちろん「そこ」には、今野泰幸もいるし柴崎岳もいる。

代替の効かない(!?)長谷部誠のパートナーとして誰がいいのか・・。まあ、ケースバイケースということだろうね。

それにしても、この試合での山口螢。

もちろん、力強く粘り強い読みと必殺アタックからのボール奪取も含む(!!)相手の仕掛けの芽を摘む・・という守備でのハードワーク内容だけじゃなく、次の攻撃でのゲームメイクセンス(ハリルホジッチが好むタイミングと質のパス!?)でも、秀でたモノを感じさせてくれた。

このゲームで私がもっとも嬉しかったのは、山口螢の代表チームへの復帰かもしれない。

次のテーマが、ダイレクトパスをベースにした(最終勝負につながる!)必殺コンビネーション。

とても効果的で目立ちまくっていた。

・・バックパスを、ダイレクトで、反対サイドでフリーになっていた味方の足許へ鋭いグラウンダーパスを出す・・でも、そのフリーでパスを受け「そうに」 なっていた味方は、背後のスペースに走り込んでくるチームメイトをイメージし、そのパスを「スルー」し、自身はパス&ムーブの全力スプリントで次の決定的 スペースへ・・

・・そして、そのスルーされたパスを受けた味方も、ダイレクトで、相手ゴール前のスペースを横切るようなラスト(トラバース)クロスをブチかましちゃう・・

・・ってな感じ。

その、「ダイレクトパスの感覚」もまた、ハリルホジッチが秘める真骨頂の一環なんだろうね。

フムフム・・

武藤嘉紀。

前半は苦労したけれど、後半になって、ようやく本領を発揮した。やっぱり、この突貫小僧は、日本代表にとって素晴らしい戦力だ。

また、この試合で先発した川又堅碁。彼もまた、自分の持ち味を存分に発揮したと思う。

そして最後が、後半から登場した、これまでの日本代表の屋台骨プレイヤーたち。

彼らもまた、素晴らしい「闘う意志」をブチかました。

良かった。

何せ、全体的なチームの動きに「乗る」のではなく、選手それぞれが、攻守にわたる「勝負イメージ」に基づいて、繰り返し、全力スプリントをブチかますようになったんだからね。

この「全力スプリントの量と質」というテーマについちゃ、新連載の「The Core Column」で発表した「このコラム」を参照してください。そこでのモデルは、長谷部誠と岡ア慎司です。

とにかく、このハリル・ジャパンのプレー姿勢からは、何らかの「変化の潮流」と、それに伴った「チーム内競争環境の活性化」を肌で感じ、とてもハッピーになっていた筆者でした。

では、また。

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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