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2015_ナビスコ準々決勝・・スーパーレベルのエキサイティングマッチだった・・それに対してレッズは、意志が感じられない鈍重サッカーに陥っていた・・(FC東京vsアントラーズ、2-2)、(アルビレックスvsレッズ、5-0)・・(2015年9月2日、火曜日)

いや、ホント、心からサッカーを楽しめた。

両チームともに、(戦術的に、そしてゲーム展開に応じて!)ロジカルに、クールに、そしてエンスージアスティック(情熱的)なフルパワーで仕掛け合ったんだよ。

先制ゴールは、FC東京の河野広貴。前半15分のこと。

彼は、(例によっての!!)太田宏介からの抜群に危険なピンポイントクロスを、ヘッドで、ファーポストネットに「流し」込んだ。それは、玄人好みの「クール・ゴール」だった。

でもアントラーズも負けちゃいない。

その30分後の前半終了間際。

ドリブルで切れ込んだ左サイドバック山本脩斗からの鋭いラストクロスを、ニアポストスペースへ飛び込んできた赤崎秀平が、ダイレクトで同点ゴールをブチ込んだんだ。

そこからは、まさに質実剛健な「動的均衡」ってな展開へと、ゲームが「成長」していく。

両チームともに、何度か決定的なチャンスを作り出すけれど、ゴールを割れない時間がつづいたんだ(まあ、チャンスの量と質じゃ、アントラーズに一日の長ありだったかね・・)。

でも、そんな展開がつづいていた後半16分。アントラーズの勝ち越しゴールが、まさに「唐突」に決まるんだよ。

アントラーズ中堅の「柱」、遠藤康。

それは、まさにピューティフルゴールだった。

右サイドから、中央ゾーンへドリブルで切れ込んでいった遠藤康が、左足一閃。シュートされたボールが見事に右ポストを叩き、そのままゴールに転がりこんだ。

そしてゲームが白熱していく。

東京は、ケガで長く戦列を離れていた平山相太と、これまた背が高いサンダサを投入するんだ。

これで、FC東京の再以前戦は、まさに「ツインタワー」という構成になった。だから期待していた。東京が、ガンガンと「放り込んで」くることを期待したんだ。でも・・

そう、彼らは、あくまでも、組織的なコンビネーションサッカーと、(主に!)高さを前面に押し出すパワーサッカーの「バランス」を取りつづけたんだ。

まあ、最後は同点に追い付き、その後もチャンスを作り出していたわけだから、結果的には「それ」で良かったとは思うけれど、どうだろうね・・・

ということで、マッシモ・フィッカデンティ監督に聞いた。

・・太田宏介・・彼のクロスは素晴らしい・・そんな太田宏介だけれど、3回ほど、まったくフリーでボールを持ち、最前線に目を奔らせる状況があった・・

・・要は、鹿島ゴール前ゾーンでの高さの競り合いチャンスだと思ったわけだ・・でも結局は、そこから、グラウンダーのコンビネーションがスタートするばかりだった・・

・・あそこじゃ、やっぱり、ハイボール勝負だと思うのですよ・・どうなんだろうか・・チームのなかで、まだ、最終勝負イメージがシンクロしていないということなんだろうか?・・

そんな私の質問に対して、マッシモさんは、例によって誠実に、こんなニュアンスの内容をコメントしてくれたっけ。曰く・・

・・ヒラヤマは、ケガから復帰してまだ日が浅いし、サンダサにしても、チームに(感覚的に!?)完全に溶け込むまで、もう少し時間がかかるかもしれない・・

・・その意味で、たしかに最終勝負を仕掛けていく「イメージ」が、まだ完全にはシンクロしていないと言えるかもしれない・・もちろん、そのテーマでも、トレーニングを積み重ねるつもりだ・・

フムフム・・

でも、この二人が入り、FC東京の仕掛けのダイナミズムが格段にアップしたのは確かなコトだし、実際に、その二人が引きつけたことで空いた右サイドスペースをオーバーラップした徳永悠平が、決定的なクロスを送り込むという「結果」に結びついたんだ。

最後に同点ゴールをブチ込んだのは、中島翔哉。

ヴェルディ時代から大注目していたこともあって、この試合で、抜群の存在感を発揮できたことを、心から喜んでいたっけ。

ちなみに、その同点ゴールシーンだけれど、右サイドを駆け上がる徳永悠平へ、サイドチェンジ気味のタテパスを送り込んだのも、中島翔哉だった。

お膳立てとフィニッシュ。この試合のパフォーマンスを観れば、その結果は、正当な報酬だと思えてくるじゃないか。

あっと、ゲーム・・

その同点ゴールからタイムアップまでの、ロスタイムも含めた7分、8分間の攻防は、まさに、観る者の心を鷲掴み(わしづかみ)にするような、エキサイティングそのものの展開だった。

決して「ノーガードの打ち合い」じゃなく、両チームともに、着実な組織ディフェンスをベースに、次の攻撃では、しっかりと人数をかけた「危険な仕掛け」をブチかましていったんだ。

私は、両チームがシーソーのようにブチかましつづけた、組織プレーと個の勝負プレーが「高み」でバランスするエキサイティングサッカーに酔いしれていた。

ホントに、両チームともに、良いプレイヤーを揃えた「強いチーム」だ。そう、再認識させられた・・。

あ〜〜、面白かった。

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ということで、アルビレックス対レッズ。

(攻守の!)勝負は、ボールがないところでの動きの量と質で決まる。

だからこそ、不確実な要素が満載のサッカーは、意志のボールゲームとも言える。

要は、この試合のレッズのプレーからは、強い意志が感じられなかったということです。

その意志は、何といってもディフェンスにおいて表現されなければならない。

そう、効果的なチェイス&チェック(苦しい、守備アプローチ≒ハードワーク!)の量と質。要は、守備でのファーストアプローチのことです。

それが、この試合でのレッズでは、とても、とても鈍重だったし、次の「決定的なシーン」へ近づくための「戻りの動き」にも強い意志が感じられなかった。

それじゃ、アルビレックスが、かなり自由に仕掛けていけるのも道理だよね。

そして、そんな「消極的で受け身のディフェンス姿勢」は、次の攻撃でのボールなしの動きにも、とても悪い影響を与えるというわけだ。

サッカーでは、とにかく「まず」守備からゲームに入っていかなければならないんだよ。

それも、息が上がるほど苦しい、寄せアプローチ(チェイス&チェック)から。

そんなチェイス&チェックが効果的に機能すれば、次のボール奪取プロセスも、より実効あるカタチで仕掛けていける。

でも、そんなファーストディフェンスが「甘すぎる」だけじゃなく、その周りでの、ボールがないところでのマーキングや協力プレスアクションにも、必要な「連動性」が感じられない。

そんなだから、次のボール奪取をうまく仕掛けていけないのも道理だよね。

それに、(相手のミス待ちで!?)ボールを奪い返したとしても、それにつづく攻撃でのボールがないところの動き(スペースへのフリーランニング=パスレ シーブ=スペースのクリエイト等など)を加速させられず、攻撃でのコンビネーションも、まったくといっていいほど機能させられない。

そして例によって、攻撃が、まさに「ミエミエ単発アクション」に陥ってしまうという体たらく。

それでも、ゲームの立ち上がりは、攻守にわたって、選手たちの動きや、勝負を狙うボールがないところでのアクションが「積極的」だったことで、少しは期待を持っていたんだ。

でも、時間を追うごとに、そんな「意識と意志」が、どんどん減退していき、それにともなって、良いサッカーの絶対的な基盤であるディフェンスも「リアクション」が目立っていった。

要は、アルビレックスの攻撃アクションに「対応して追いかける」っちゅうシーンの連続になり下がっていたっちゅうことだ。

まあ、もちろん、不運な失点が重なったこともあったけれど、それよりも、失点にはつながらなかったにしても、何度か、レッズ守備での「様子見プレー姿勢」によって決定的なカタチを作られてしまったシーンには閉口させられたっけ。

決定的ピンチにつながってしまうような相手攻撃プロセスなのに、ボールがないところでの相手の動きに忠実について行かず(ぬるま湯の戻りアクション!!)、ボールウォッチャーになってしまうような無様なシーンには、目を背(そむ)けたくなったモノでした。

もう、これ以上は書くことがないし、これ以上書くと、わたし自身の精神衛生上もよくないので、今日は、これで止めにします。

悪しからず・・

フ〜〜ッ・・

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 最後に「告知」です。

 実は、ソフトバンクではじめた「連載」だけれど、事情があって、半年で休止ということになってしまったんですよ。

 でも、久しぶりの「ちゃんとした連載」だったから、とてもリキを入れて書いていた。そして、そのプロセスを、とても楽しんでいた。自分の学習機会としても、とても有意義だったしね。

 そして思ったんですよ、この「モティベーション機会」を失ってしまうのは、とても残念だな〜・・ってね。

 だから、どこかで連載をはじようかな・・と、可能性を探りはじめた。そこでは、いくつか良さそうなハナシもあったし、メルマガでもいいかな・・なんてコトも考えた。

 でも・・サ、やっぱり、書くからには、できるかぎり多くの方々に読んでもらいたいわけですよ。でも、可能性がありそうな(メルマガも含めた)連載プラットフォームとしては、やはり私のホームページにかなうモノはなかった。

 ということで、どうなるか分からないけれど、とにかく、私のホームページで、新規に、連載をはじめることにしたのです。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

 とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書こうかな。もし、うまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れてから立ち上げた新ビジネス」、そして「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、一週間ごとにアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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