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2015_天皇杯決勝・・戦術サッカーと「自分たちのサッカー」の対峙・・そして、「継続こそチカラなり!」・・(レッズvsガンバ、1-2)・・(2016年1月1日、金曜日)

ラジオ文化放送をお聞きだった皆さんは感じられたと思いますが、私は、奈落の失望に落ち込んでしまいました。

・・何故あのチャンスが(同点)ゴールにならなかったんだい??・・どうして?・・どうして?・・

皆さんもご覧になったように、ガンバは、例によってのガチガチの「ゲーム戦術」で臨んできた。もちろん、最前線で待ち構える「天才連中の才能」を最大限に活用するというイメージ。

とはいってもガンバは、もちろん、受け身に引いた守備ブロックというやり方ではなく、あくまでも、次、その次と、なるべく高い位置でボールを奪い返すという積極ディフェンスをイメージしている。

そして、ボール奪取スポットから、まず「一発ロング」を、(既にウラの決定的スペースへスタートを切っている!?)パトリックや宇佐美貴史へ送り込む。

また「一発」がダメでも、しっかりとボールを動かしながら、パトリック、宇佐美貴史、倉田秋といった、スピードとテクニックを兼ね備えた「天才的ドリブラー」が、タイミングよく勝負ドリブルをブチかませるように、人とボールを動かすんだ。

そんな、タテへ仕掛けていくチカラに秀でた(長谷川健太監督は、推進力という表現をつかっていた!)ガンバだけれど、(レッズが相手ということで!?)あ くまでも、素早い守備ブロックの再構築と、それをベースにした組織的な「連動ディフェンス」からゲームに入っていくんだよ。

その視点では、ガンバは、とても効果的に(プラグマティック≒実際的に!!)勝負マッチを闘った・・と言えるよね。

そのガンバの決勝ゴールシーン・・

コーナーキックを蹴る遠藤保仁は、明確に、「あのスペース」をイメージし、正確に、「そこ」へボールを飛ばした。

「それ」は、マンマークということで、どうしても空いてしまうレッズゴール前のスペース。

また、満を持して「爆発のタイミング」をはかるパトリックも、明確に「その最終勝負スポット」をイメージし、そこへ向けて、超速スタートを切った。

それも、まったくフリーで・・

直前のタイミングでパトリックは、マークしていたレッズ槙野智章を、自分と「同じ方向とコース」へスタートできないように、巧みに身体を押し込んでいた(敵味方の人垣が邪魔で、槙野智章は、完全に走るコースをブロックされてしまった!?)。

だから槙野智章は、(まあ一瞬の意志の空白があったのかもしれないけれど・・)見事に、置き去りにされてしまったというわけだ。

その決勝ゴールシーンは、長谷川健太監督と選手たちが作り上げた、セットプレーからの「最終勝負イメージ」にピタリと合致していたんだろうね。

そう、だから私は、「お見事〜〜っ!!」っていう賛辞を惜しまない。

ということで、一点をリードされたレッズ。

もちろん、勝負の選手交代を仕掛け、グラウンドへ送り込まれた両サイドバック(高木俊幸と関根貴大)とズラタンが、ものすごく効果的に機能しつづけたというわけだ。

彼らは、こちらが手に汗握るような「最終勝負の流れ」を、何度も、何度も、創りだしたんだ。

まあ、だからこそ、(結果を突きつけられたときの!)落胆も深かったわけだけれど・・サ。

またまたミハイロ・ペトロヴィッチは、無冠でシーズンを終えることになってしまった。あれだけの優れた仕事をしているプロコーチだからこそ、ホントに残念で仕方ない。

ということで、来シーズンのことだけれど・・

私は、来シーズンへ向けて、ミハイロ・ペトロヴィッチレッズが掲げるべきスローガンについて、「継続こそチカラなり・・」という哲学表現を、推したい。

まあ、余計なお世話だろうけれど・・サ。

サッカーを取り巻く、様々に「相克」するファクターを、「トータルフットボール」という、目指すべき絶対的コンセプトを基盤に、それを取り囲む様々なファクターを、できる限り「高みでバランス」させる作業。

もちろんソレには、「進化するためのリスクチャレンジ・・」という哲学コンセプトも含まれるけれど、それを志向するチームマネージメントを継続するのですよ。

このテーマについては、先日の「天皇杯準決勝コラム」も、ご参照アレ。

たぶん来シーズンのミハイロ・ペトロヴィッチには、これまで以上に、「勝負弱い・・」っちゅうレッテルがついて回るだろうけれど、それでも彼は、日本サッカーのためにも(!)、自分自身の(レッズの!!)崇高なサッカーコンセプト(哲学)を堅持すべきだと思うんですよ。

まあ、私に言われなくったって、ミハイロ・ペトロヴィッチが方向性を大きく転換して、「戦術サッカー」などにうつつを抜かすなんてコトは考えられない。

とかにく彼は、プライドをもって、自分の(レッズの!)サッカーコンセプトを貫いていくでしょ。

もちろん「そこ」では、「外部の逆風」が吹き荒れるかもしれないし、レッズのサッカーが、(レッズ・ステークホルダー内の!?)ノイジー・マイノリティーが抱える「理不尽な不満」の「はけ口」に利用されるってなコトが起こるかもしれないけれど・・。

でも、そんな心理・精神的な逆風の「環境要素」を、しっかりと理解し、柔軟に受け流すことも、プロサッカーコーチの、重要な仕事の一つだからね。

とにかく私は、これからも、ミハイロ・ペトロヴィッチのサッカーを、しっかりとサポートしていくつもりです。

あっと・・。

もちろん他のクラブでも、「内容」に応じて、エンスージアスティックに支持することも多いんですよ。皆さんも、ご存じの通りね。

例えば、風間八宏のサッカー。例えば、チョウ・キジェのサッカー。例えば、吉田達磨のアルビレックス。そして、長谷川健太のガンバに森保一のサンフレッチェ・・等など。

いまから2016年シーズンの開幕が待ち遠しいね。

では、また〜・・

PS:これからは、「The Core Column」と「My Biography」も、注力してアップしていきまっせ。

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 最後に「告知」です。

 どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

  自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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