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2016_J1_第13節・・リーグ後半戦への期待が、否が応でも高まるじゃありませんか・・(レッズvsFC東京、3-2)・・(2016年6月22日、水曜日)

・・いまの上位4チームについては、シーズン当初から、様々なメディアを通じて予想していましたから驚きはなかったですね・・

・・でも一つだけ・・私は、その4チームが志向するサッカーの傾向を、大きく二つに分類できると思っているのですよ・・それは、とても面白い視点だと思いますよ・・

・・えっ!?・・それは、どういう意味ですか?・・

昨日(6月21日)の火曜日、NHK総合ラジオに出演しました。夕方17時からはじまった「先読み!夕方ニュース」。

テーマは、「ファーストステージ終盤のJリーグ」だったのですが、そこで最初に出された質問が、「ここまでのリーグ展開の印象は?」というものでした。

それに対して冒頭のように語ったっちゅうわけです。

ということで、サッカーの傾向を二つのグループに大別できる(かもしれない・・!?)というデイカッション。

まあ、言わずもがなだけれど・・

それは、「美しく勝つことを志向する」レッズとフロンターレのグループと、「質実剛健ディフェンス」を主体に、個のチカラを前面に押し出す(カウンター主体の!?)攻めで勝ち切ろうとするアントラーズとサンフレッチェのグループ。

もちろん、勝負強さという意味では、後者に分があるよね。

今シーズンを振り返れば、当初は、リスクチャレンジがテンコ盛りの「美しい」攻めを繰り出すレッズとフロンターレが、調子が良くリーグを引っ張りつづけていたでしょ。

だから期待値も、天井知らず・・ってなことになっていたんだ。

とはいっても、レッズとフロンターレでは、「個のチカラの内実」に、多少の「違い」があることで、どちらかといったらレッズの方が、より強く組織テイストを感じさせていた。

個のチカラの内実!?

言わずもがなだけれど、フロンターレの場合は、大久保嘉人、小林悠という個の才能を、希代のゲーム&チャンスメイカー牛若丸(中村憲剛)が引っ張る・・という構図というわけさ。

とはいっても、両チームともに、基本的な「チーム戦術イメージ」は、かなり似通っている。

そう、ダイレクト(パス)コンビネーションを主体に、人とボールを活発に動かしつづけながら相手ディフェンスを翻弄して決定的スペースを攻略していく高質な組織サッカー。

そして、その「組織的なコンビネーションサッカー」に、タイミングよく、ドリブル勝負「も」ミックスしていくっちゅうわけだ。

そんな、「組織と個」がハイレベルなバランスを魅せる攻撃的サッカー・・という視点で、この両チームは、抜きん出た存在だと思う。

それに対して、アントラーズとサンフレッチェは、より「守備の安定」を重要視する、質実剛健サッカーとでも表現できそうだね。

もちろん、アントラーズとサンフレッチェは、ボールを奪い返した直後から、素早く、効果的に相手ゴールへ迫れるような「個の才能」を擁している。

アントラーズには、金崎夢生、カイオ、土居聖真、そして「タメとパスの天才」遠藤康。

サンフレッチェには、新加入のピーター・ウタカ、世界レベルでも通用するはずの超特急プレイヤー、浅野拓磨がいる。

あっと・・

素晴らしい逆転勝利を挙げたレッズについて語ろうとしていたのに、どうもハナシが大仰になってしまう。スミマセン・・ね。

ということで、レッズ。

要は、私が、レッズ(ミハイロ・ペトロヴィッチ)が志向するサッカーを心から支持しているという大原則から入ろうと思ったわけなのです。

でもここにきて、そのレッズが、ゲームのイニシアチブを握ってチャンスを創り出すけれど、「勝ち切る」という視点では、どうもうまく行かなくなっている。

この試合でも、前半からFC東京を圧倒してゲームを支配し、何度もチャンス(その流れ)を創りだしていた。でも・・

そう、普通だったら「あり得ない」偶然が重なり、「こぼれ球」が、FC東京への理想的な「ラストスルーパス」になって失点してしまうんだよ。

それも、2度もつづけて。まあ、あり得ないような、偶発ゴールではあった。

内容的にはFC東京を圧倒していたにもかかわらず、スコアでは「0-2」という劣勢に立たされてしまったレッズというわけさ。

まあ、後半にブチかました、粘り(ゴール)の大逆転ドラマについては、もう語る必要なんてないでしょ。皆さんと同様に、わたしも興奮させられたし、嬉しかったですよ。でも、テーマとしては・・

だから、視点を変えて、勝てなくなってしまった要因(仮説)を探ろうと思った次第。

まあ、「勝てなくなってしまった・・」というよりも、レッズのハイレベル組織サッカーが、もっと言えば、彼らの「ダイレクト(パス)コンビネーション」が、うまく相手守備にイメージ描写されはじめた・・とも表現できそうだね。

そう、対戦する相手チームが、アントラーズやサンフレッチェという強豪も含めて、レッズ攻撃(仕掛け)の流れを「抑制すること」に、最高の集中力と(心理的な)粘りを発揮するように、とても緻密に(ゲーム戦術を!)準備するようになったんだよ。

だから、レッズの、ダイレクトパスを積み重ねる「仕掛けの流れ」がはじまったら、特にボールがないところでのレッズ選手の動きが、完璧にマークされちゃうんだ。

相手チームは、レッズがブチかます、ダイレクト(パス)コンビネーションに内包される、「人とボールの動きのリズム」をしっかりとイメージするように、とても緻密に準備しているんだよ。

私は、このところのレッズが勝ちきれなくなった(ダイレクトパス・コンビネーションの流れが断ち切られちゃう!)大きな要因に、「それ」があると思っているんだ。

ということで、これからも、以前よりは難しいゲームが増えていくのも自然な流れだよね。でも・・

そう、だからこその「バリエーション」なんだよ。

「ワン・ツー・スリー」ってなリズムの、ダイレクト(パス)コンビネーションにしても、それに「フォー」を付け加えるとかネ。そう、(3人目)4人目のフリーランニング。

また、もっと積極的に勝負ドリブルをブチかましたり(駒井善成がとても良くなっている=自信レベルが格段にアップしている!?)、ミドルシュートをブチか ましたり、ズラタンのアタマに合わせる後方からのロングフィード(放り込み)にトライするなど、仕掛けに「変化」をつけるのも一考だぜ。

もちろん、「それだけ」になってしまう危険性もあるわけだけれど、でも、「自分たちのサッカー」と「仕掛けの変化」を、バランスよくミックスさせられれば、「レッズのサッカー」が、一皮も二皮も剥けるでしょ。

とにかく、後半戦に向けて、期待が高まる「大逆転ドラマ」ではありました。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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