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2016_J2_第12節・・やっぱりサッカーは「意志のボールゲーム」なんだよ・・(ヴェルディvs松本山雅FC、0-4)・・(2016年5月7日、土曜日)

ワオ〜〜ッ!!

そのとき頓狂な声が出た。

攻め上がっていた松本山雅が、ボールを失った次の瞬間のことだ。

そこで彼らが魅せた、まさに間髪を入れない攻守の切り替えと、フルスプリントの「戻り」は素晴らしいの一言だったんだよ。それも、少なくとも三人が、ヴェルディのボールホルダーへ圧力を掛けながら、自軍へ全力でもどり、守備ブロックのバランスを整えたんだ。

そのシーンだけじゃなく、ヴェルディの「次のパス」を、かなり前から予測し、正確なポジショニングから、爆発ダッシュでインターセプトしたり、相手トラップの瞬間を狙ったアタックでフェアにボールを奪い返してしまったり。

今回のテーマは、攻守にわたる、ボールがないところでの「意志のポテンシャル」でっせ。

そのポイントで、松本山雅が、明確にヴェルディを凌駕していたんだよ。だから、ゲームの結果は、誰もが納得できるロジカルなものだった。

ところで、この、攻守にわたるボールがないところでのアクションの量と質(≒意志のチカラ)だけれど・・

守備では、上述した例示シーン以外にも、忠実で迫力のチェイス&チェックとか、そのアクションにシンクロする連動プレスアクション、はたまたパスのインターセプトや相手フリーランニングの忠実マーク等などがある。

また攻撃でも、忠実で、エネルギーが満載されたサポートアクション(ボールがないところでの、スペースへ入り込むフリーランニングのことだよ!)等など、数え上げたらキリがない。

松本山雅が魅せてくれた「意志の組織サッカー」では、そんな「強烈な意志のチャレンジプレー」のオンパレードだったんだよ。私が、舌鼓を打っていたのは言うまでもないよね。

もちろん、舌鼓を打ちながら、反町康治さんにも、心からの拍手をおくっていた。

それに対してヴェルディ。攻守にわたるアクションの多くが中途半端なモノに終始していた。

相手ボールホルダーへの「寄せ」にしても、協力プレスの集散アクションにしても、ボールがないところでのマーキングや連動アクションにしても。

そんなだから、次の仕掛けプロセスが、個の勝負頼りになってしまうのも道理。そうりゃ、そうだ。何せ、ボールがないところでのアクションが「ぬるま湯」なんだから。

サッカーは究極の組織ゲーム。まあ、ディエゴ・マラドーナは別にして、基本的にゃ、一人じゃ何も出来ない。

だからこそ、攻守にわたって、チームメイトとの、高質な「イメージのシンクロ状態」を機能させしつづけなきゃいけないんだ。

攻撃(シュート)にしても守備(ボール奪取)にしても、ボール絡みのチームメイトを中心に、周りの選手たちの「勝負アクション」が、すべてを決めるっちゅうわけさ。

そう、勝負はボールがないところで決まる・・。

あっと・・、このコラムで議論したかったのは、もう一段踏み込んだテーマだったっけ。

そう、攻守にわたる決定的シーンにおける、ボールがないところでのアクションの量と質が、何によって決まってくるのか・・ってなテーマだった。

これは、新連載「The Core Column」で、もっと深く掘り下げようとは思うけれど、ここでは、そのディスカッションの「取っ掛かり」まで、簡単に表現しましょうかね。

攻撃では、シュートを打つための、「ボールがないところでのアクションの量と質」。

守備では、相手からボールを奪い返すための、「ボールがないところでのアクションの量と質」。

私は、「最後の半歩が出るかどうか・・」なんて表現するけれど、シュートを打ったり、相手からボールを奪い返すためにブチかます、「決定的アクションのバックボーンは?」というディスカッションなんだよ。

この試合では、その「最後の半歩アクションの量と質」で、松本山雅がヴェルディを完璧に凌駕していた。それが勝負を分け、ゲームをフェアな結果に落ち着かせた。

ということで、この、「決定的な半歩アクションのバックボーンは?」というテーマ。

言わずもがなだけれど、私は、その「半歩アクション」の拠り所のほとんどは、「意志のポテンシャルによる」と思っている。

たしかに、相手の予想のウラを突くようなチーム&ゲーム戦術によって、「半歩アクション」を起こしていくモティベーションを減退させちゃうことも出来るでしょ(反町さんのサスガのコメント!)。

たしかに、そんな「戦術的な心理メカニズムの活用」はある。

例えば、先日のバイエルン対アトレティコ戦で、ディエゴ・シメオネが執った、試合中でのポジショニング調整。

これは見所豊富だった。何せ彼は、何度も、ワントップにしたり(アンカーの設定!)ツートップにもどしたり(ダブルボランチ&両サイドハーフ!)したわけだからね。

そして実際に、その「選手タスクの微調整」によって、ゲームの流れでアドバンテージを握った(バイエルンの良さと効果的な対応を抑制した!)と思うよ。

でも私は、「決定的な半歩アクション」を繰り出していけるかどうか・・というテーマについては、やはり、心理的な要素(=意志)が、バックボーンのほとんどを占めると思っているんだよ。

ゲーム戦術で相手に「ダマされ」たとしたって、自分の判断と決断で、調節しちゃえばいいわけだからね。

何せ、攻撃と守備の目的は(自分がやらなければならないアクションは!)決まっているわけだから・・ね。

ちょっとディスカッションが錯綜しはじめたから、今日は、ここまでにしましょう。

とにかく、「J2」は、いつも、とても興味深いテーマを示唆してくれるよね。

ということで、素晴らしいサッカーを展開している松本山雅には(反町康治さんには!)これからも頑張ってもらいたいね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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