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2016_オリンピック予選・・「ダイレクト」のパスコンビネーションによるスペース攻略というテーマ・・(日本vsタイ、4-0)・・(2016年1月16日、土曜日)

しかし、ビックリしたネ〜。タイが、立ち上がりからブチかましてきたプレッシング。

彼らは、戦前の予想に反して、最初からガンガンと「前から」ボール奪取チャレンジ(協力プレス)を仕掛けてきたんだよ。

たしかに、タイはチカラをつけている。でも・・

そう、サッカーは、基本的には組織的なボールゲーム(パスゲーム)だからね。日本とタイの間には、人とボールの動きの内実に、明確な差があったということなんだろうね。

たしかにタイには、個の力に長けた(才能あふれる)天才的なプレイヤーがいる。でも、その「天才」を、うまくリンクさせられていない(活かし切れていない)・・。

別な言い方をすれば、スペースで、ある程度フリーでボールを持つような攻撃の起点プレイヤーを作り出せたときに(スペースを攻略できたときに!)はじめて、その才能を、本当の意味で実効活用できるっちゅうわけだ。

いつも書いているように、攻撃の「真の目的」は、シュートを打つこと。

そして、そこに至るまでの当面の目標イメージが、スペースの攻略。

この、スペースを攻略していくプロセスには、大雑把に言って「二つのやり方」がある。一つは、言わずと知れたパスコンビネーション。そしてもう一つが、ドリブル突破。

もちろん実際には、その「二つ」が、様々なカタチで組み合わされているわけだけれど、それでも、全体的な「プレーの流れの概観」では、パスコンビネーションの傾向か、ドリブル突破(個の勝負プレー)が主体かに分類できるということだろうね。

その視点でタイが、相手ディフェンスブロックを「外して」裏スペースを攻略するプロセス作業のほとんどを、局面での「個の勝負プレー」に頼っていたとすることが出来る。

そう、(イランを除いた!)他の中東チームのように・・ネ。

それじゃ、スペース攻略プロセスの可能性が、とても矮小なモノになってしまうのは自明の理。

要は、彼らのボールの動きでは、ほとんどのレシーバーがパスをトラップする(止める)ことで、常に、瞬間的にボールの動きが止まってしまうっちゅうことだ。

そんなだから、日本ディフェンスが、より容易(確実)に対応できちゃうのも道理。

そして、徐々に日本が、効率的・効果的にボールを奪い返しはじめ、ゲームの流れのイニシアチブを握りはじめるんだ。

逆にタイは、(浅野拓磨の爆発カウンターにショックを受けて!?)徐々に注意深くなり、それまでの協力プレスの後ろ盾だった全体的な押し上げの勢いが減退していった。

そして、そんなゲームの流れの落ち着きにともなって、日本の、「組織と個」が高質にバランスした組織サッカーが光り輝きはじめていったというわけだ。

でもゲームの内容自体は、一方的な展開になるのではなく、最後まで、とてもダイナミックに「動き」つづけていたよ。

もちろん「オープンに過ぎた」わけじゃないけれど、とにかく両チームともに、攻守にわたって積極的にプレーしつづけていたんだ。

そんなエキサイティングなゲーム展開になったのも、タイが、「引いて守る・・」というのではなく、あくまでも勇気をもってタテへ仕掛けていく積極サッカーを志向したからに他ならない。

まあ、「戦術サッカー」ではなく、ガチの勝負を仕掛けていったというわけだけれど、それでは、日本とのチカラの差が白日の下にさらされるのも道理・・っちゅうことだね。

ことほど左様に、チカラの差を感じさせてくれた日本だけれど、そのサッカーのキーワードは、何といっても、ダイレクトパスとダイレクトコンビネーションということになるんだろうね。

あっと・・

この、ダイレクトパスとか、ダイレクトパス・コンビネーション、はたまたダイレクトシュートといった使い方がされる「ダイレクト」というグラウンド上の現象については、新連載、「The Core Column」で主張した「このコラム」を参照してください。

何せ、ボールを止めずにパスをしたりシュートしたりする「ダイレクト」というグラウンド上の現象は、イレギュラーするボールを足で扱うという、不確実な要素が満載されたサッカーでは、本当に、特別なコノテーション(言外に含蓄される意味)を内包しているわけだから。

あっと・・その「ダイレクト」でのパスやシュート。

要は、「ワン・ツー・スリー・・」ってなリズムで、ダイレクトパスを回されたら、いくらタイが、前から積極プレスを仕掛けても、ボールを奪い返すのは至難の業っちゅうことだ。

それも、日本の若武者連中は、パス&ムーブや、3人目、4人目の人の動きも効果的に活用し、相手守備ブロックの穴(スペース)を攻略しちゃうんだよ。

もちろん、タイが、前からの協力(集中)プレッシングを仕掛けていったことも、日本が裏のスペースを「より」効果的に突いていけたことの背景要素ではあった。

そう、タイがブチかます積極ディフェンスの「逆モーション」を突いたっちゅうことだ。

相手のチカラを利用して、その逆を突く。空気投げ・・!? 合気道・・!?

そうそう、日本にゃ、そんな伝統技があったじゃないか。

合気道サッカー!? なんか、キャッチフレーズとしても良いんじゃない??

あっと・・

とにかく、だからこそ日本は、人とボールが「動き」つづける本物の組織サッカーを展開できた・・っちゅうコトが言いたかったんだっけ。

ということで、戦術的な「イメージシンクロ」という視点で、日本に、たしかに一日以上の長があったということだね。

PS:これからは、「The Core Column」と「My Biography」も、注力してアップしていきまっせ。

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 最後に「告知」です。

 どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

 一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

 そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

  自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

 ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

 もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

 まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・

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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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