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2016_WM最終予選・・タイを(内容で!)凌駕したハリルジャパン・・そのバックボーンを、攻守(両方)の視点から探ってみました・・(タイvs日本、0-2)・・(2016年9月6日、火曜日)

いったい日本は、何度、決定的チャンスを創りだしたんだろうか。

それでも、結局は2ゴール「しか」奪えなかった。

それって・・

相手GKが素晴らしかったから!? グラウンドが悪かったから!? 極度に蒸し暑かったから!? それとも、何らかの心理プレッシャーに苛(さいな)まれていた!?

さて〜〜・・

とにかく、あれほど相手ディフェンスブロックを「崩し切って」決定的チャンスを創りつづけたにもかかわらず、結局は・・

でも、この試合については、「決定力」というテーマじゃなく、相手ディフェンスを攻略してチャンスを創りつづけたことのバックボーンにスポットライトを当てようと思う。

あっと・・

「決定力」というテーマだけれど、それについては、新連載「The Core Column」で、「こんなコラム」を発表したから、そちらもご参照あれ。

ということで、相手守備ブロックを崩し切って創りだしたチャンスというテーマ。

このコラムでは、このテーマについて、守備からの視点と、攻撃での視点というふうにまとめましょうかね。

まず攻撃だけれど、そこでのメインテーマは、何といっても・・

・・勝負は、ボールがないところで決まる・・

まあそれは、前回コラムで取り上げた、日本に必要なダイレクトパス・コンビネーションの「最終目標イメージ」とも言える。

とにかく日本は、ボール絡みで(ボールがあるところで!)勝負を決めるのは「まだ」難しいわけだから、ボールがないところで勝負を決めるコトに集中しなきゃいけないっちゅうわけだ。

えっ・・分かり難い!?

スミマセン・・ね・・

要は、シュートへ持ち込むまでのプロセスの内実(二つのタイプ)のことですよ。

そう、相手ディフェンスのウラに広がる決定的スペースを、ドリブル主体で攻略するのか、(ダイレクト)パスコンビネーションでスマートに活用するのか・・というディスカッション。

日本は、ドリブル突破で相手を置き去りにし(決定的スペースを攻略し!)、そのままシュートまでいくという「個の勝負」では、まだ世界レベルじゃないからね。

だからこそ、前回コラムで書いたように、ダイレクトパス・コンビネーションで、相手守備が描くイメージングのウラを取ることこそが、「いまの日本」の真骨頂というわけさ。

この試合では、何といっても、サイドからのダイレクト勝負クロスが効果的だった。

そのシーンでは、タイ守備の視線は、ボールとキッカーに釘付けになっていたからね。

その悪癖については、タイだけじゃなく、ほとんどのアジアチームに共通している。

要は、彼らの仕掛けプロセスが、まだまだ「個の勝負」に偏っていることの証左というわけだ。だからこそ、日本のダイレクトパス・コンビネーションは、殊の外、実効レベルが高いんだよ。

そして日本の強者たちは、そんなダイレクトパス・コンビネーションの「流れ」を主体に、決定的スペースを攻略していく。

そこまで行けたら(ある程度フリーでボールを持つ味方を作り出せたら!)、ダイレクトパスを織り交ぜた最終勝負コンビネーションだけじゃなく、個のドリブル勝負にしても、「より」効果的にブチかましていける。

もちろん、「その」ボールホルダーが、ドリブラーの「質」も備えていたら・・のハナシだけれど。

そう、(この試合では!)原口元気や宇佐美貴史、また浅野拓磨や武藤嘉紀といった面々。

とはいっても、彼らにしても、フットボールネーションの、屈強でスピーディーな強者ディフェンダーを、静対した状況から、スピードやフェイントなど、何らかの得意な手段で置き去りにできるか・・と問われたら、うつむくしかない。

まあ、ドリブラーとして、もっとも才能に恵まれているのは、やはり、宇佐美貴史だろうね。

だからこそ彼は、もっともっと、攻守(組織)ハードワークにも勤(いそ)しまなきゃいけないんだよ。

それがあって初めて、高い頻度で、「1対1」の勝負シーンに入り込めるんだよ。

とにかく彼は、ディエゴ・マラドーナじゃないんだから・・。

あっと、余談。

その宇佐美貴史と、先発メンバーを競り合ったのが、原口元気だった(・・と思う)。

その原口元気だけれど、素晴らしい「闘う意志」を前面に押し出すように、爆発的な攻守(組織)ハードワークをブチかましつづけた。

彼の先制ゴールは、そんな汗かきハードワークが、とてもフェアに報われた成果だった!?

あっと・・

チャンスメイクを支えたバックボーンの、もう一つの要素だった。そう、守備。

このゲームでの日本代表は、より高い位置でボールを奪い返すために、アグレッシブに闘いつづけた。

その象徴的なプレイヤーの一人が、先発した原口元気だったんだ。

また、原口元気だけじゃなく、長谷部誠のパートナーとして先発に名を連ねた山口螢も、相手エース18番のマークだけじゃなく、抜群に鋭かった攻守の切り替えからの爆発的チェイス&チェックやカバーリングなどなど、ものすごい存在感(強烈な意志!)を魅せつづけた。

そんな「ニューフェイス」の、攻守ハードワークが、周りのチームメイトを刺激しないはずがない。

本田圭佑、香川真司、もちろん浅野拓磨、そして両サイドバックも、その波に乗るかのように、攻守(特に守備での!)ハードワークの勢いを加速させていった。

そして、だからこその、(西川周作に助けられた「あの」大ピンチを除いて!)内容で相手を凌駕した勝利だったわけさ。

ところで・・

チャンスメイクのバークボーン要素として、守備のコノテーション(言外に含蓄される意味)を後回しにしたけれど、もちろん、大原則は、組織的な連動ディフェンスだからね。

「それ」が、抜群の機能性を発揮したからこそ、チャンスを見出した誰もが、次の攻撃に、より積極的に絡みつづけていったんだよ。

そして、だからこそ、ダイレクトパスを織り交ぜたコンビネーションサッカーを機能させるための大前提である、「人数」を掛けた、人とボールが活発に動きつづける素晴らしく組織的で創造的なスマートオフェンスを展開できたというわけさ。

そう、互いに「使い・使われるメカニズム」を深く理解しているからこその相互信頼。

ところで・・

前回コラムでは、「脅威と機会は表裏一体・・」っていう、歴史の賢人が残した金言で締めたけれど、この試合で日本の強者連中が魅せつづけた「攻守ハードワークの内実」にこそ、「機会」としてのレベルを超えた緊張感が現出していたと感じている筆者なのだけれど、皆さんは?

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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