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2017_ACL・・あくまでも組織的に仕掛けていくレッズ・・それに対して個の才能を前面に押し出す上海・・(レッズvs上海、1-0)・・(2017年4月11日、火曜日)

やっぱりビラス・ボアスは、良いプロコーチだね。

何たって、「あの自分勝手な」中国人プレイヤーたちが、特にディフェンスにおいて、素晴らしいハードワークに精を出すんだから・・。

忠実なマーキングや味方のミスを積極的にカバーするだけじゃなく、「次」でボールを奪い返せるように、前段階のチェイス&チェックを全力でブチかましたりするんだよ。

彼らの多くは中国代表プレイヤーたちなんだけれど、その守備でのプレー姿勢を観ていたら、優れたプロコーチ、イタリア人マルチェロ・リッピが監督に就任したことも含めて、中国代表が、本当の意味で強くなるのも当然の展開だろうな・・なんて思えてくる。

とにかく・・

ゲームを全体として観察した場合、アウェーを戦った上海が、レッズとガップリ四つの同格サッカーを展開したとするのがフェアな評価だろうね。

でも・・

そう、そのサッカー内容、特にチャンスメイクのプロセスには、とても大きな「差異」があった。

レッズの場合は、言わずもがなだけれど、あくまでも、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションが主体になる。

そのことについて、この試合でのMVPに輝き、ミハイロと一緒に記者会見に臨んだラファエル・シルバが、こんなニュアンスの興味深い内容をコメントをしていた。

曰く・・

・・レッズはパスをつなぐサッカー・・そのリズムにしっかりと乗ることが大事なんだ・・

・・もちろん、そのなかでチャンスがあれば、個人勝負でシュートまでいくコトもあるさ・・でも、基本は、組織パスによるチャンスメイクなんだよ・・組織プレーと、タイミングを見計らった個人勝負のメリハリが大事っていうことかな・・

「あの」ラファエル・シルバだからね・・。

私は、彼がそんなニュアンスのコメントをすること自体、いかにレッズが、サッカー哲学を深く共有する優れたチームとしてまとまっているかの証明だと感じていたわけさ。

美しく勝とうとするサッカー・・

このテーマについては、「The Core Column」で以前に発表した「このコラム」「あのコラム」を参照してください。

あっと・・上海・・

そんなレッズに対して、上海の「仕掛け方」のコノテーション(言外に含蓄される意味)は、チト趣(おもむき)が違う。

そう、彼らは、オスカル、エウケソン、(この試合は欠場した)フッキ、ウズベキスタンのアフメドフってな、そうそうたる「天才」を擁しているんだよ。

もちろん、「ゾーンをつなぐ・・」といったニュアンスの足許パスは多用するよ。

でも、レッズ守備のウラのスペースを攻略する、最終勝負の仕掛けプロセスに入ったら、「個の勝負」を前面に押し出す傾向が強いんだ。

もちろん、前述した「世界の天才」を抱えているわけだから、多分それは正解なんだろうな。

そして彼らは、実際に、爆発的な破壊力も誇示したというわけさ。

もちろんオスカルを中心にね。

でも、そのオスカルは、二度もPKを外した。だから、かなり「カッカ」していた。

そして、味方にパスを要求し、ボールをもったら、脇目もふらずに、個の勝負で仕掛けていった。

普通の選手だったら、そんな仕掛け姿勢によって「悪魔のサイクル」にはまってしまうのでオチでしょ。

でも彼の場合は違う。そんな個の仕掛けが、半端なく、常に危険なプロセスを演出するんだよ。

彼がボールをもったら、周りの味方は邪魔をせず、常にサポートに動きつづけているからね。

そしてオスカルは、エウケソンと「短いワンツー」をつないだり、ドリブルで突破したりと、繰り返し、レッズ守備ブロックのウラスペースを攻略しちゃうんだよ。

中央ゾーンでだけじゃなく、決定的なクロスを狙えるサイドゾーンでもね。

まあ確かに、「個人勝負のブツ切りサッカー」ってな見方もできる。

とはいっても、あれだけの個の才能が躍動するんだから、それが、とても高い確率で「危険な仕掛けプロセス」へと成長してしまうのも道理なんだ。

もちろんレッズも、カウンターを中心に攻め上がってチャンスを創りだしはしていた。でも、追加ゴールを決めるトコロまでは行けない。

そんな、残り15分ほどのゲーム展開は、冷や汗で手がジットリと湿るほどの緊迫した雰囲気ではあった。

でも・・

そう、そんな厳しい状況を切り抜けられた背景には、ミハイロの、機転の効いた選手交代(基本タンクの調整)が功を奏したからかもしれない。

彼は、那須大亮をグラウンドへ送り込むことで、それまで最終ラインを統率していた遠藤航を、守備的ハーフへと上げたんだよ。

もちろん、上海の仕掛けのコア、オスカルの動きを封じるためにね。

それが殊の外うまく機能したんだ。

そこで遠藤航は、まさに水を得た魚になった。そして、オスカルを封じるだけじゃなく、次のカウンターの起点や実効サポート要員としても効果的なプレーを魅せたんだ。

そこでの遠藤航は、ホントに楽しそうにプレーしていたネ。

ということで・・

最後に、ラファエル・シルバのシュートの巧さにも触れておきましょうか。

そのとき自分から、パスを受けてボールをコントロールしたズラタンに声を掛けたらしい。

そして、そのズラタンからパスを受けたラファは、眼前にいる中国人ディフェンダー三人を、まさに手玉にとって決勝ゴールを決めたんだよ。

そのアクションは、まさに天才的だった。

相手は、三人もいたんだけれど、ラファの、打ちそうな感じのフェイントアクションに引っかかって(立ち足を小さく踏み込むモーションに引っ掛かり!)スライディングしちゃったり、ブロックモーションに入ったりしちゃったんだよ。

そしてラファは、そんな相手の乱立する「足」の間を通して、左角に「ゴールへのパス」を決めた。

そのアクションは、まさに天才そのものだった。


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ところで・・

チト唐突ですが、知り合いのジャズシンガー、宮崎友紀子さんを紹介させてください。もう、ホントに素晴らしいソウルフルヴォーカリストです。

以前、あるキャフェライブで聴き、いっぺんにファンになったのですが、その宮崎友紀子さんと、偶然、友人のガーデンパーティーで再会したんです。

彼女については、このページあのページを参照してください。

私がコンサートで聴いたのは「ボサノバ」だったけれど、本当に心に染みわたりましたよ。

その宮崎友紀子さん。私の友人で、日本を代表するベーシスト(コントラバス奏者)藤原清登さんともコラボしたらしい。知らなかった。

 藤原清登さんだけれど、あるライブで彼女のヴォーカルを聴き、すぐに「いいですネ〜・・よければ、今度セッションを組みませんか・・」と、オファーしたんだそうな。

「あの」藤原清登だからね、宮崎友紀子さんの実力については推して知るべし・・だよね。

ということで、彼女の最新アルバムのカバー写真も載せておきます。

また、ギタリスト&シンガー(&パーカッション&マウス・トロンボーンなどのマルチ音楽家)として活躍するホブソン・アマラウさんとのコンビがパフォームするYouTube動画へも「リンク」を張っておきま〜す。

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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