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2017_富士ゼロックス・スーパーカップ・・このゲームからは二つのテーマをピックアップしました・・(レッズvsアントラーズ、2-3)・・(2017年2月18日、土曜日)

この試合からは、興味をそそられる二つのテーマをピックアップしました。

まず、アントラーズとレッズの、チーム戦術的な発想(どのように守り、どのように攻めるのかという基本的な考え方)に関する「微妙な差異」。

そして次が、(その差異がベースにもなっているけれど・・)新戦力のインテグレーション(チームへの戦術的な組み込み=持てるチカラを十分に発揮させる=作業)。

試合だけれど・・

皆さんも観られたとおり、前半では、サッカー内容的にはレッズが上回り、それをベースにゲームのイニシアチブも握っていた。

でも、創りだしたチャンスの「量と質」という視点では、明らかにアントラーズが上回っていた。

ここでは、(枠内・枠外の)シュート数という量的なモノではなく、あくまでも、「ゴールチャンス」という、とても主観的な(それでいて普遍的な!?)評価ポイントをベースにハナシを進めます。

どうして、そんな展開になったのか・・

私は、そのバックボーンを、こう考えています。

ゲームのイニシアチブを握って(人数を掛けて!)攻め上がるレッズ。彼らは、攻守にわたって、とても組織的で美しいサッカーを魅せつづけます。

この、攻撃的に美しく勝つことを志向するレッズのサッカーというテーマについては、「The Core Column」で発表した「このコラム」「あのコラム」をご参照ください。

そんな、攻め上がるレッズに対して、アントラーズは、まさに「猛禽類の眼」で、次のボール奪取ポイントを見極めつづける。

もちろん、完璧な「連動ディフェンス」が機能しつづけている。

そう、チェイス&チェック&次のボール奪取勝負。

アントラーズ選手たちは、「あそこでボールを奪い返せるかもしれない・・」というイメージさえ掴めればで、次の瞬間には、ものすごく忠実に「連動ディフェンスアクション」を繰り出していく。

そしてボールを奪ったら、脇目もふらずに、相手ゴールへ。

それも、ボール奪取シーンがイメージ出来ていた何人もの選手が、その「カウンター気味の仕掛けの流れ」に乗っていくんだよ。

そう、ボール周りと、逆サイドも含めたボールがないところでのアクションが、とても素早く、広くシンクロしていくんだ。

それが、セットプレーも含めて、彼らの勝負強さの一角を担っているっちゅうわけさ。

言っておくけれど、決して「それ」は、以前のような、リトリートし(下がって守備組織を固め)、そこからカウンターをブチかましていく・・なんていうモノじゃない。

あくまでも、自分たちがゲームのイニシアチブを握ること「も」常にイメージしながら、ゲームの流れに柔軟に対応している「結果」としてのゲーム展開ということなんだ。

このコトには、とても深いコノテーション(言外に含蓄する意味)が内包されているというわけさ。

もちろん、アントラーズ選手たちが、「猛禽類の眼」を光らせる連動アクションで、中盤の高い位置でボール奪取を狙うイメージに「切り替えた」のは、レッズが強いチームで、積極的に攻め上がっていったからに他ならない。

要は、アントラーズの場合、相手が強ければ強いほど、彼らが得意とする「勝負イメージ」が研ぎ澄まされ、(高い位置での!)ボール奪取の可能性が高まるっちゅうわけだ。

そう、この試合での前半のようにネ。

そして、そんな、中盤での「狙いすました」連動ボール奪取アクションの中心にいたのが、アルビレックスから移籍してきた、レオ・シルバだったというわけなんだ。

ということで、ここからは、二つ目のテーマである、新戦力のインテグレーション(チーム戦術的な組み込み作業)というテーマに入っていくんだよ。

このテーマは面白いから「The Core Column」でも取り扱おうと思っている。だから、ここでは簡単にディスカッションしよう。

要は、レッズのサッカー(チーム戦術的なイメージング内容!)が、攻守にわたって、とても組織的でハイレベルだからこそ、その「組織サッカーマインド」を、本当の意味で共有できるまでには時間が掛かる・・ということなんだ。

それに対してアントラーズのサッカー。

もちろん「微妙な差異」ではあるけれど、どちらかといったら、「個のクオリティー」を、より前面に押し出すタイプのサッカーだと思うんだよ。

だから、新戦力が、彼らが秘める「個のチカラ」に応じて、より短期間で、チームに組み込まれていき易いっちゅうわけだ。

とはいっても、もちろんレオ・シルバは、別格だよね。

彼ほどのチカラがあれば、チーム戦術的な内実にかかわらず、すぐにチームの中心となって機能できちゃう。

この試合でも、そうだった。

攻守わたって、選手たちは、いつも「レオ」を探していた。

また守備に入っても、常に「レオのアクション」が、次のボール奪取プロセスを「演出」していた。

そう、既に、攻守にわたって、新戦力のレオ・シルバが、アントラーズの「攻守のコア」になっているんだよ。

もちろん、そのバックボーンの一つに、前述した、アントラーズ戦術の(個のウエイトが微妙に高い!?)基本的な方向性もあったでしょ。でもサ・・そこは・・ネ。

やっぱり、レオ・シルバは、その昔、フリューゲルスやレイソル、サンフレッチェで大活躍した、元ブラジル代表セザール・サンパイオとも比較できるようなスーパーな存在なんだよ。

ところで、レッズの新戦力。

彼らは、まず、レッズの(ミハイロ・ペトロヴィッチの!)サッカーを理解し、そのなかで機能できるようになるために、最大のエネルギーを傾注しなきゃいけない。

ミハイロ・ペトロヴィッチが言うように、彼らが、本当の意味でチームの価値として(頼りにされる存在として!)機能できるまでには、ある程度の時間が必要になるだろうね。

私は、左サイドバックの菊池大介と、どんなポジションでも、器用に、そして高い実効レベルでプレー出来る(はずの!)長澤和輝については、より短期間でチームの武器になれると思っている。

もちろん矢島慎也、ラファエル・シルバ、またオナイウ阿道に対する期待もある(ゴメン・・その他の新戦力選手については知らない・・)。

とはいっても・・

そう、菊池大介にしても(今日のゲームでは横パスで逃げるプレーが目立っていた・・もっと遠慮なく仕掛けていかなきゃ競争に勝てない!)、長澤和輝にして も(もっと、もっと攻守ハードワークを!!・・そうFCケルン時代のように!!)、本当の意味でチームメイトに頼りにされるまでには、まだ時間が必要なん だよ。

ミハイロが言うように、主に昨シーズンのメンバーで構成する「現在のチーム」は、素晴らしく粘り強いディフェンスをベースに、攻撃では、ダイレクトパスコンビネーションを織り交ぜた、素晴らしくハイレベルな組織サッカーを展開できるまでに成長している。

だからこそ、昨シーズンは、リーグのチャンピオンにまで上り詰めた。

えっ!?

チャンピオンはアントラーズだった!?

その、リーグ組織による、世界のスタンダードに反する「でっち上げ興行」については、「The Core Column」で議論を展開した「このコラム」を参照してください。

とにかく、そんな今のレッズに(チームメイトたちから!)、本当の意味で頼りにされる戦力となれるまでの道程は、甘くない。

だからこそチャレンジする甲斐があるってものじゃありませんか。

とにかく、自分自身の学習機会としても、レッズ新戦力の動向にも、注意深く目を向けていきましょうかね。

あっと・・そのためには、大原まで足を伸ばさなければいけないか・・


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ところで・・

チト唐突ですが、知り合いのジャズシンガー、宮崎友紀子さんを紹介させてください。もう、ホントに素晴らしいソウルフルヴォーカリストです。

以前、あるキャフェライブで聴き、いっぺんにファンになったのですが、その宮崎友紀子さんと、偶然、友人のガーデンパーティーで再会したんです。

彼女については、このページあのページを参照してください。

私がコンサートで聴いたのは「ボサノバ」だったけれど、本当に心に染みわたりましたよ。

その宮崎友紀子さん。私の友人で、日本を代表するベーシスト(コントラバス奏者)藤原清登さんともコラボしたらしい。知らなかった。

 藤原清登さんだけれど、あるライブで彼女のヴォーカルを聴き、すぐに「いいですネ〜・・よければ、今度セッションを組みませんか・・」と、オファーしたんだそうな。

「あの」藤原清登だからね、宮崎友紀子さんの実力については推して知るべし・・だよね。

ということで、彼女の最新アルバムのカバー写真も載せておきます。

また、ギタリスト&シンガー(&パーカッション&マウス・トロンボーンなどのマルチ音楽家)として活躍するホブソン・アマラウさんとのコンビがパフォームするYouTube動画へも「リンク」を張っておきま〜す。

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あっと・・

私が愛用しているウエストポーチやバックパック。それについて何人かの方々に質問されたんですよ。それは、友人のデザイナーが主催するブランド、「METAS」

ちょっと、プロモートさせてくださいね。

この方は、某有名メーカーのチーフデザイナーから独立し、自らのブランドを立ち上げました。シンプルイズベスト・・スローライフ・・などなど、魅力的なキーワードが散りばめられた「METAS」

とてもシンプル。でも、その機能性は、もう最高。お薦めしまっせ。


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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