トピックス


2018_WMの34・・あ〜あ、実力No.1のブラジルも消えてしまった・・(ブラジルvsベルギー、1-2)・・(2018年7月6日、金曜日)

フ〜〜ッ・・

まあ、仕方ないけれど、とにかく、実力ナンバーワンのブラジルも姿を消してしまったのは、残念で仕方ありません。

これで、南米勢は、全滅。

そんな、W杯現象のバックボーンに、いったいどんな意味があったのだろうか??

まあ、そのテーマについては、帰国してからゆっくりと考えましょうかネ。

とにかく、調子を上げてきたフランスと、実力No.1のブラジルが激突する準決勝を楽しみにしていたから、とても残念です。

さて・・ゲームだけれど・・

イニシアチブを握って攻め上がるブラジル・・

その攻めの勢いを、なるべく「高い位置」で抑制しながらボールを「絡め取って」必殺カウンターをブチかまそうというベルギーが対峙した。

そう、ベルギーは、日本戦とは、真逆のゲーム戦術で臨んだっちゅうわけさ。

それにしてもベルギーのカウンターは、ものすごく危険だった。

それは、日本戦での決勝ゴールのような「ロングカウンター」ではなく、あくまでも、高い位置でボールを奪い返して仕掛ける「ショートカウンター的」・・っちゅうイメージ。

「それ」が、とても効果的にツボにはまりつづけたんだよ。

とくに、ワントップのルカク、アザール、そしてデ・ブルイネが、素晴らしかった。

彼らもまた、ブラジル選手のように、個でも勝負を決められるチカラをもっている。

ルカクは、ポストだけじゃなく、「そこ」でキープしていたと思ったら、突然、超速ドリブルで、タテへ全力で抜け出したりするんだ。

それも、「あの屈強」なブラジル選手を置き去りにしてね。

もちろんブラジル中盤ディフェンスや最終ラインも、そのタテへの突破ドリブルへのカバーリングなどで対応せざるを得ない。

そんな、「意図的に創りだされた」守備ブロックの集中(=別のゾーンでのスペース創造!!)を、次の瞬間には、スムーズにボールを動かしながら、うまく活用してしまうんだ。

ところで、ベルギーの守備だけれど・・

決して無理してチェイス&チェックにはいかず、まずポジショニングバランスを執りながら、ブラジルが仕掛けてくる個のドリブル勝負に対処する。

またボールまわりでも、決して「安易」に当たりにいかず、ここぞの「集中」でボールを奪い返すというイメージが鮮明だった。

私は、そんなプロセスを観ながら、こんなことを思っていた・・

・・ブラジルは、スペースを「与えられている」ことで、ボールをもってからが遅くなる・・

・・それじゃ、周りの、ボールがないところでの動きの量と質がアップしてくるはずがない・・

・・もちろん「それ」も、ベルギー守備のゲーム戦術ということだろうね・・

・・そう、ブラジルは、ベルギー守備の術中にはまっているんだ・・

もちろん「タラレバ」だけれど、前半のチャンスを決められていれば、ブラジルも、これまでのように、冷静に、組織と個をうまくバランスさせられたに違いないとは思うけれど・・

でも・・

結局は、とてもアンラッキーな、セットプレーからの「オウンゴール」にはじまって、ルカクのスーパーキープ&突破ドリブルでスペースを突かれ、最後は、デ・ブルイネの、スーパーミドルの炸裂を許してしまった。

これでベルギーが2点リードすることになった。

だから、その焦りもあって(!?)、ブラジルの個の勝負への「心理的な傾向」が、どんどんと高まっていったと感じられた。

それに対して、ベルギー・・

彼らは、そのゴールシーンだけじゃなく、前半の立ち上がりから、ものすごく危険なカウンターをブチかましつづけたよね。

前出の三人だけじゃなく、スリーバックであるかこその両サイドバックのオーバーラップも、メチャクチャ効果的で、危険ではあった。

でもベルギーは、その2点目が入ってからは、守備を、より「堅牢ベクトル」へ振ったと思う。

要は、守備ブロックの人数とポジショニングを、少し下げた・・ということだね。

それでも、彼らのカウンターの勢いは、それまでと変わらないんだから、本当にタフなチームだ。

後半・・

予想していたとおり、ブラジルの「ペース」が明確に高揚していく雰囲気は出てこない。

そう、前半と同様に、ブラジルの仕掛けが、あまりにも「個に偏りすぎている・・」って感じられたんだよ。

ブラジルの個のドリブル勝負が、本当の意味でチカラを発揮するのは、組織サッカーが、うまく回りはじめたららのハナシなんだよ(≒組織パスサッカーで、個の才能連中が、ある程度フリーでボールを持てたとき!!)。

今大会のブラジル・・

まだウォームアップ状態だったグループリーグ第一戦のスイス戦は別だけれど・・

その後のコスタリカ戦、セルビア戦、メキシコ戦と、組織と個の「高質なバランス」という視点で、本格的に調子をアップさせてきたと感じていた筆者だったから、このゲームでも、大いに期待が高まっていたのだけれど・・。

でも・・

ゴールを奪われた前半の途中からブラジルが落ち込んだ、「焦りという心理的な悪魔のサイクル」は、深かった・・ということなんだろうか・・。

もちろん、ベルギーが展開する、クレバーでスマートな、守備ブロックの人数とポジショニングバランスのマネージメントは秀逸だったよね。

だからブラジルは、前述したように、ボールを「持たされている」っちゅう雰囲気を好転させられずに青息吐息だったんだ。

とにかくベルギー守備は、ブラジルの「ゴリ押し」の個のドリブル勝負を、クレバーに狭いゾーンに「追い込み」つづけた。

その守備のチーム戦術は、「巧いヤツらのフラストレーションを凝縮させる・・」という意味で、見所満載ではあった。

でも・・

そう、メンバー交替が功を奏したようで、やっとブラジルの組織プレーのリズムが、もどりつつあるように感じられはじめたんだよ。

これは、とても微妙な評価だけれど・・

そう、その「ブラジル組織サッカーが息を吹き返しはじめた」と、感じたのは、もしかしたら、ベルギー守備のエネルギーだ減退してきたからなのかもしれない。

だから、徐々に、ボールがないところでのマーキングや、ボール絡みで、安易なアタックが増えていった「とも」感じていたんだ。

さて〜〜・・

とにかく、交替出場したアウグストがブチかました「ヘディング一閃」の追いかけゴールは、見事の一言だった。

その追いかけゴール場面・・

ネイマール、フェルナンジーニョ、コウチーニョと、しっかりとボールを動かしながら、ベルギー守備の「意識を引きつけ」、そして「タメ」た後にコウチーニョが放った、ロビングのアシストで、アウグストが、まったくフリーでヘディングシュートをブチ込んだんだ。

その後も、再びアウグストが、まったくフリーでボールを受けて惜しいシュートを放ったり、ネイマールがダイレクトでシュートを放ったり。

そのブラジルは、人とボールが動きはじめたことで(またベルギー守備が疲れてきたことで!?)、次々とチャンスを創りだしつづけたんだよ。

そう、ボールがないところでの動きの量と質のアップによって、ボールがないところで勝負を決められるようになったんだ。

前述した、これまでの3ゲームのようにネ・・

でも・・

そう、時すでに遅し。

まあ、仕方ない。

これもまた、サッカーということだね。


============

最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


===============

 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

==============

 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





[ トップページ ] [ Jワンポイント ] [湯浅健二です。 ]
[ Jデータベース ] [トピックス(New)] [ 海外情報 ]