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2018_WMの7・・オーストラリア、フランス、アルヘンティーナについて、思うところを短くまとめました・・(2018年6月21日、木曜日)

フ〜〜ッ!! デカイ・・

ロシアは、何から何まで、日本よりも一回り大きいよね。

まず何といっても国土の広さ。だから移動が、ままならない。

まあ、大きなロシアのなかで移動を繰り返したら、それこそ、グループリーグで疲れ切ってしまうのがオチだよね。

ということで今日は、最初のハードな数日間の疲れを癒(いや)す意味もふくめて、モスクワ、ルジニキ・スタジアムのプレスセンターで、3試合をテレビ観戦することにしたんだ。

ところで、メディアセンターに据え付けられている、4K(!?)の超大型ディスプレイ。

なかなか、いいよ。

カメラワークも熟練していることで、寄り過ぎや引き過ぎが少ない。

まあ、全体的に、もう少し「引いて」くれたら、もっと、ボールがないところでの動きの量や質だけじゃなく、そこでの駆け引きドラマも楽しめるんだけれど・・。

また、何といっても、この超大型ディスプレイの画質が素晴らしいことで、ストレスなく楽しめるのも特筆だよね。

あっと・・

各チームに関するショートインプレッションだった・・

まあ、でも、そんなお堅い内容は後回しにして、まず、モスクワきっての歩行者天国ストリート、アルバート通りについて、簡単な感想をまとめようかな。

写真にあるように、そこは買い物(土産物)ストリート。

もちろん世界の有名ブランドショップや、スターバックスキャフェ、マクドナルドといった世界共通の飲食店もビジネスを展開している。

もちろん私は、買い物が目的ではなく、そこでの、ワールドカップの盛り上がりを体感するつもりで出かけたんですよ。

でも、結局は、完全な肩透かし・・ってなことになった。

モスクワに到着してから、スタジアム周辺だけじゃなく、いろいろと歩き回ったけれど、ワールドカップ独特の盛り上がりを明確に感じることは、あまりはなかったんだ。

わたしが現地参加したフランスやドイツ、南アフリカ、ブラジル、はたまた日本や韓国でも、町のいたるところで、その日常シーンに浸透している「ワールドカップの盛り上がり」を体感できたわけだけれど・・。

でもロシアでは、やはり・・というか、寒い国に特徴的な、「眉根にシワ寄せる冷静(冷徹)さ・・!?」ばかりが前面に押し出されているように感じられてならないんですよ。

それは、町の雰囲気を体感するわたしの感性が(先入観によって)劣化しているからなのか!?

さて〜〜・・

へへっ・・

______

さて、では、まずオーストラリア(サッカールー)から。

彼らは、強豪のデンマークを相手に、とても立派なサッカーを展開したと思う(結局は1対1の引き分けに終わった)。

私は、フランスとの初戦は観ていないのだけれど、周りの内外エキスパート連中は、こぞって、オーストラリアを賞賛していたっけ。

逆に、フランスに対しては、辛辣なコメントをする人たちが多かったね。

もちろん「それ」は、フランスに対する期待の大きさの裏返しではあるわけだけれど・・。

そしてオーストラリアは、2戦目で、強豪のデンマークと対戦することになった。

そこでオジーが展開した、まったく物怖じしない、攻守にわたってブチかましつづけた、フッ切れたチャレンジングサッカーからは、爽やかな印象しか残らなかった。

フッ切れたチャレンジングサッカー・・

もちろん、まず何といっても、ボール奪取プロセスでの、フッ切れたチェイス&チェックと、それに呼応して連動しつづける、ダイナミックで冷静な「組織ディフェンスの素晴らしい機能性」を賞賛すべきだろうね。

たしかに攻撃では、スペース攻略プロセスで「限界」を感じた。

それでも、決して「めげない」チャレンジ精神は、惜しみない賞賛を受けて当然だと感じる。

さすがに、名将ファン・マールヴァイクだ。

彼が、アジア予選からオーストラリアを率いなくて、ラッキーだった・・と思う。

もちろん、彼の前任者で、いまはマリノスの監督を務めている「アンジェ・ポステコグルー」が悪かったわけじゃない。

たしかに彼も立派な仕事をしていたけれど、それでも・・

そう、「内容と結果のバランス」という視点じゃ、やっぱりファン・マールヴァイクに一日以上の長があるわけだから・・ネ。

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さて次はフランス(フランス対ペルー=1-0)。

たしかに今回のフランス代表は、優勝を狙える・・と思う。

その前提は、何といっても守備の強さ。

ここで言う「守備」とは、チームの「戦術的な流れ」を創りだす絶対的スタートラインとしての守備というニュアンスではなく、あくまでも、相手の仕掛けを組織的に受け止めたり、局面デュエルで勝ち抜くだけの「強さ」を意味する。

とにかく「この」フランス代表は、まあ彼らの伝統でもあるわけだけれど、とにかく守備が抜群に安定しているんだよ。

もちろん、エルナンデス、ヴァラン、ムティティ、そしてパバールで構成する強力な最終ラインもすごいけれど、わたしは、やっぱり、カンテとポグバのダブルボランチの機能性に注目したい。

いや・・

実は、カンテの、次元を超えたスーパーな攻守ハードワークによって、ポグバの、インターセプト能力が、「より」光り輝く・・ってな事実を強調したかったんだっけ。

もちろんポグバの才能は、誰の目にも明らかだろうけれど、そんな才能だからこそ、それを「より」効果的に活かすための攻守ハードワーカー(パートナー)が必要になるっちゅうわけさ。

今回のフランス代表では、その中盤コアコンビを取り囲むように、ムバッペ、グリーズマン、マチュイディっていう、守備にも、「しっかり」と絡んでくる攻撃の才能がいるんだ。

どこかの国の、「ホンモノの攻守ハードワーク」の何たるかを知らない(知ろうとしない!?)選手たちに、彼らのプレーをじっくりと観察させ、深く考えさせてみたいね・・ホントに。

環境こそが人を育てる・・!?

だからこそ彼らは「本場」へチャレンジしに行ったのに・・ネ。

まあ、仕方ない。

あっとフランス代表。その監督の仕事ぶりも見事だね。

デンベレっちゅう世紀の才能ではなく、マチュイディやムバッペを選択しているディディエ・デシャンの「ストロング・ハンド」に乾杯!!

まあ、デシャン自身も、(現役時代のプレーから!?)攻守ハードワークの重要性を、心の底から理解している一人だからね。

要は、ホンモノの攻撃の才能を擁しているからこそ、「本番」を勝ち抜いていくために、ディフェンスの内実が、殊の外重要な意味をもってくるということだね。

物理的な意味合いだけじゃなく、チーム内モラルの高みの安定・・というニュアンスでもね。

とにかく、今回のフランスも、試合を追うごとに調子をアップさせていくに違いない。

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最後に、アルゼンチン対クロアチア(0-3で終了)。

やっぱり、アルゼンチンの不調が、どうしようもなく目立ってしまう。

その元凶は、何といっても、個の才能を前面に押し出し過ぎるチーム戦術だろうね。

言うまでもなく、メッシ、アグエロに代表される個の才能。

クロアチアの守備にとっては、やりやすいことこの上ないでしょ。

そんなアルゼンチンに対して、クロアチアは、「組織」と「個」が、とても高いレベルで「バランス」しているんだ。

その「高みのバランス」をマネージするのが、中盤で、前後に機能する「才能コンビ」のモドリッチとラキティッチっちゅうわけさ。

もちろん、彼らの周りにも才能あふれる(若手の!?)ミッドフィールダーが、積極的に、攻守ハードワークを探しつづける。

そして最前線には、マンジュキッチが控えるっちゅう布陣。

強いはずだ。

それにしても、アルゼンチン・・

まったく動かない(攻守ハードワークに入らない)メッシ。

パスを受けても、すぐに何人もの敵に囲まれてしまうのも道理。

たしかに、簡単にはボールは失わない。

でも、彼に期待される、「個のドリブル勝負でウラの決定的スペースを突いていく・・」なんていう勝負プレーは最盛期を過ぎようとしているんだよ。

もちろん、クロアチア守備が「そこ」に集中するから、ドリブルシュートなんてできる相談じゃない。

クロアチアは、抑え方のイメージングをしっかりと構築してゲームに臨んでいるわけだからね。

ということで・・

我々コーチにとっては、そんな「個に依存するチーム戦術」が、どこまで実効レベルを高めていくのか・・という興味は尽きないわけだけれど

実際、バルセロナでは、そんな傾向のサッカーが一世を風靡したわけだから。

でも、当時のバルセロナでは、何といっても、イニエスタやシャビ、はたまたブスケツに代表される、天才的な「組織プレイヤー」が、攻守にわたって、全体的な組織サッカーの「流れ」をマネージしていたんだよ。

だから攻撃では、しっかりと人とボールを動かすなかで、とても「良いカタチ」でメッシにボールを「触らせる」ことができていた。

でも、今のアルゼンチン代表では・・ネ。

たしかにブラジルW杯では、その「やり方」で成功し、決勝まで駒を進められた。

だから・・

まあ、世の常であるように、これで「一つの世代」が入れ替わっていく・・っちゅうコトだね。

アルゼンチンは、ディエゴ・マラドーナ時代にメッシ時代と、特別な個の才能に「依存」するチーム戦術で、一世を風靡し、そして崩壊していった。

これは、サッカーの歴史のなかでも、とても希有な出来事に入ると思うよ。

そりゃ、そうだ。

何せ、ディエゴ・マラドーナとリオネル・メッシは、世界サッカー史のなかでも、突出した才能だし、それが、一つの国に出現しちゃったんだから。

まあ、そんな特別な天才が、一つの国に、それも二人も出現したという歴史的な事実のバックボーンをどのように分析するのかは、これからの課題っちゅうことだね。

さて、今大会のアルゼンチン。

最終戦のナイジェリアには勝つだろうけれど、それでも勝ち点は「4」にしかならない。また、得失点差で大きなディスアドバンテージを抱え込んでしまった。

対する、これまたグループ二位の候補であるアイスランドだけれど、明日のナイジェリアには、たぶん余裕をもって勝つでしょ。

だから彼らにとっては、最後のクロアチアとの一戦が問題となるわけだ。

でも、これまでの彼らのサッカーを観ていれば、彼らが「本物」であることは自明だと思うよ。

さて、どうなることやら・・


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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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