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- 2018_WM雑感の10・・早く忘れさりたいウィナーと、記憶に留めおきたいルーザー・・(2018年7月16日、月曜日)
- いまは、決勝から一夜明けた月曜日。
昨夜は、朝方まで、外の喧噪が止むことはなかったネ(わたしの民泊先はルジニキ・スタジアムから歩いて20分ほどのトコロだから・・)。
そして最後は、「ロッシ〜ヤッ!!・・ロッシ〜ヤッ!!」って、人々が練り歩いていたみたい。
とにかく今大会は、治安や、全体的な大会運営なども含め、ロシアのイメージアップという意味でも、大成功だったと思う。
もちろん・・
そう、ジャーナリストやカメラマンといった方々からは、「現場の不満」が吹き出す場面も多々あったとは聞くけれど・・サ。
私も・・
民泊や、知り合ったロシア人の方々の「心」に触れて、ロシア人や、ロシアという国に対するイメージが、ポジティブに変容した。
また、ロシアの頑張りも含め、サッカー的に観ても、とてもポジティブだったと思う。
まあ、これから、ちょっとだけ触れるけれど・・
そう、「戦術サッカーと解放サッカーの相克・・」というテーマ。
そこでも、結果に関わらず、人々が、そのメカニズムについて深く再認識したっちゅうポジティブな側面もあったわけだからね。
決勝後の記者会見・・
何となく、コンサドーレ監督ミハイロ・ペトロヴィッチにも似ているような(!?)、男前のクロアチア監督ズラトコ・ダリッチが壇上に立った。
そして、にこやかに、素晴らしいコメントを放散した。
彼としても、サッカーの内容には自信と確信があったんだろうね。
それが、彼の表情からも、会場の全体的な雰囲気からも、感じ取れる。
そして会見が終了したときには、会場から大きな拍手が沸き起こったっちゅうわけさ。
少し、救われた気がした。
さて、今朝・・
でも、やっぱり、何かスッキリしない・・
だから、こう考えることにしたんだ。
そう・・
・・これからも、人々が、なるべく早く忘れ去りたいウィナーがいる・・
・・同時に、長く、人々の記憶に(ポジティブに!)残るルーザーがいる・・
・・そして、そのほとんどのルーザーが、サッカー(その将来)にとって価値あるプレーをしていた・・
・・そう、攻守ハードワークの内実を高めることで、リスキーな積極的攻撃サッカー(美しく勝つサッカー)でも、勝てる可能性を極大化した強者連中(このテーマについては、一昨日の「3位決定戦コラム」をご参照あれ)・・
・・そういうことなんだろうな〜・・
人々が忘れないルーザーの頂点に、1974年のオレンジ軍団がいる。
また、プラティニを中心にした「シャンパンサッカー」や、1982年スペインW杯でのブラジル代表など、人々の記憶に残る「美しいルーザー」は多い。
もちろん、W杯やEUROにおける、グループリーグや、早い段階の決勝トーナメントでも、忘れられないルーザーがいる。
そんな、人々がサッカーの内容に共感し、決して忘れないチームの一つとして、1998年と今回のクロアチア代表も入るに違いない。
あっと・・
このテーマについて、その記憶に残るルーザーが提示した「美しいサッカー」を、ちょっと補足しておこうかな・・
それは・・
そう、属人的なスーパーサッカーと、攻守ハードワークとリスクチャレンジ満載のチームワークが、限りなく美しいハーモニーを奏でるスーパーサッカーとの違い。
やっぱり、人の記憶に残るのは、そんな、美しいチームワークサッカーを突き詰めたルーザーたちなんだと思うわけさ。
ところで・・
1974年のオランダ代表は、「ヨハン・クライフのチーム」だと、よく言われる。
たしかに彼は、人が真似できないスーパーな個の勝負をブチかませる希有な才能だった。
でも、そんな彼のスーパープレーは、あくまでも、組織ディフェンスと攻撃での組織コンビネーションが、うまく機能していたからこそ可能だったんだ。
そのテーマについて、そのオレンジ軍団を創り上げたその人、故リヌス・ミケルスが、私に、こんなコトを言った。
・・いいか・・
・・オマエたち若いコーチのミッションで最も大事なコトは、ヨッハン(クライフのこと)のような才能連中に、しっかりと攻守ハードワークにも全力で取り組ませることなんだぞ・・
同じコトは、ドイツサッカー史に燦然と輝くスーパープロコーチ、故ヘネス・ヴァイスヴァイラーからも、よく言われたモノだった。
ところで、その、リヌス・ミケルスだけれど・・
彼は、1988年の欧州選手権で、フリット、ファン・バステン、ライカールトといった「天才連中」を、しっかりと攻守ハードワークにも従事させることで創り上げた、これまたスーパーなオランダ代表を、ヨーロッパの頂点に立たせた。
私は、その決勝を、ミュンヘンのオリンピックスタジアムで観戦するという幸運に恵まれた。
そう、「あの」ファン・バステンのスーパーボレーシュートが炸裂し、当時のソ連に「2-1」の勝利を収めた決勝戦。
当時の私は、まだリヌス・ミケルスを個人的には知らなかった。
その後、ドイツでのサッカーコーチ国際会議で知り合ったわけだけれど、彼が創り上げたサッカーを体感していたことで、初対面でも、自然と湧きあがってくる様々な視点の質問をぶつけることで、ハナシが弾んだモノだった。
やはり、大御所にとって、感性が覚醒される(それでいて謙虚な!?)質問ほど、積極的に考えるモティベーションを高めてくれる刺激はないんだよ。
あっと・・
どうも、話題が、あっちにいったり、こっちにきたりと、安定しない。
やっぱり、解放サッカーが結果につながらなかったことを、今でも残念に感じているんだろうな。
でも・・
そう、逆に、負けたからこそ彼らは、「記憶に残るルーザー」として、現場やサッカーの本物ステーキホルダーの方々による(!?)歴史にしっかりと刻み込まれた・・という見方もできるよな。
このテーマについては、昨夜の「決勝コラム」と一昨日の「三位決定戦コラム」も、ご参照あれ。
とにかく・・
私は、これからも、「美しく勝つサッカー」の重要性を主張し、支持しつづけますよ。
その決意を新たにできたことも、今回の一ヶ月に及ぶロシア滞在(学習機会)が生み出した(私にとっての!)大いなる価値だったのかもしれない。
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最後に「告知」です。
どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。
一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」。
- そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」。
自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。
ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。
もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。
- まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・
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重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。
追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。
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ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。
タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。
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