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2019_JWC・・「あの」少し苦しい展開のなかで、素晴らしい「粘り勝ち」を収めたことには、意義あるコノテーション(言外に含蓄される意味)が込められている・・(フロンターレvsチェルシー、1-0)・・(2019年7月19日、金曜日)

・・そういえば、「あの」ザッケローニは、「この」牛若丸を最終メンバーから外したんだっけな・・

もちろん、ブラジルW杯のことだよ。

そんなコトを考えながら、また少し、怒りがこみ上げてきたっけ。

牛若丸・・

もちろん中村憲剛のことだけれど、その「真打ち」が、残り10分というタイミングで投入された。

そして、まさに期待に違わぬ大活躍を魅せつけたんだよ。

まあ、それも、これも、彼がボールに絡んだときの、チームメイトたちの「期待感」の高揚こそが、バックボーンだったんだろうね。

何せ・・

彼にパスが「出そうな」状況に入りそうなった段階で、既に何人かの選手たちが、前方のスペースを意識して動きはじめているんだから・・サ。

馬渡和彰への2本の決定的タテパス(決定的スペースの攻略スルーパス!!)しかり・・

決勝ゴールをヘディングで叩き込んだレアンドロ・ダミアンへの、まさに職人技ってな感じの、「二山越える」ラストロビングクロスしかり・・

前節のFC東京戦もそうだったけれど、まさにグラウンドを仕切るコンダクター(指揮者)ってな趣(おもむき)で、ゲームの流れをコントロールしちゃう。

とにかく、牛若丸の存在感は抜群だった。

まあ、とはいっても・・

そう、ゲーム全体の内実については、鬼木達さんの冷静なコメントが、とても光っていたよね。

曰く・・

・・結果をつかめてよかった・・でもゲーム内容には、反省ばかりがつのる・・

・・正直、相手は、とても強かった・・

・・とにかく、自分たちのサッカーができなかった・・

・・とはいっても、そんな苦しいゲームでも、最後には、勝ちをもぎ取れたのだから、そこには重要な意味があると思っている・・

・・そう、主導権を握れなくても、粘り勝ちを収められたことには、それなりの意義があったと思っているんですよ・・

・・とにかく、チェルシーの「圧」は強かった(まあ・・前からプレス守備のことだね)・・

・・だから、ボールを奪い返しても、効果的にボールを前へ運べず、バックパスとか横パスに逃げるようなネガティブプレーが散見された・・

・・そこでは、(勇気をもった!)サポートが決定的に重要な意味をもつのに、うまく、その流れを創り出せなかったことが悔やまれる・・

・・そうなんですよ・・相手のプレッシャーのなかでも、(心理的に!)逃げずに、勝負所に「顔」を出していかなきゃ、決して次につなげることは出来ない・・

・・我々は、このゲームを、決して、単なるイヴェントとは考えていなかった・・

・・チーム一丸となって、勝ちにいったんだ・・

・・そんな覚悟があったからこそ、あんな苦しいゲーム展開のなかでも、最後には勝ち切ることができた・・

・・強い相手に対して、まともに勝負を挑んでいくなかで・・

・・たしかに内容では押されるシーンが多かったかもしれないけれど、それでも、部分的には押し返してイニシアチブを握る時間帯も演出できたし、しっかりと結果も掴むことができた・・

・・とにかく、覚悟と粘りによって掴んだ「この成果」の意義は、今後のリーグ戦で、より明確に体感できるようになるはずだ・・

いいね〜、鬼木達さん。

たしかに、イニシアチブを握れないという全体的なゲームの流れについては満足できなかったのだろうけれど・・

でも私は、フロンターレのサッカーを、とても、とても、ポジティブに観ていたよ。

たしかに、相手は「世界選抜」だから、局面でのデュアル勝負とか、スピードやテクニック、パワーで押してくる個のドリブル勝負などには、少し押し込まれるシーンもあった。

でも、それ以外では、しっかりと、ダイレクトパスを織り交ぜた組織コンビネーションなど、素晴らしい組織サッカーを魅せていたじゃないか。

私は、何十年も、日本サッカーの、「世界との最後の僅差・・」というテーマと、七転八倒の取り組みをつづけていたんだよ。

だからこそ、その視点で、明確な「進化の跡」に対する誇りさえも感じながら、このゲームを観察できていたのさ。

そう・・

影山雅永ジャパン(U20W杯)、横内昭展ジャパン(トゥーロン)、そして、コパで存在感を発揮した森保一ジャパンが世界にアピールした「高質な日本サッカー」というテーマのことだよ。

とにかく、よかった・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

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