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2020_なでしこ・・完敗したスペイン戦からのフィードバックも含めて、とても実のある「次につながるゲーム内容(学習機会)」だったと思う・・(なでしこvsUSA、1-3)・・(2020年3月12日、木曜日)

アメリカが(なでしこの凡ミスも含めて!)タイミングよく二つのゴールを奪った・・

そこからのゲーム展開を観ながら、こんなコトを思ったモノさ。

まあ・・ね・・

サッカーは、究極の「意志のボールゲーム」だから・・

そう・・

そこからアメリカ猛女のたちが、ゲーム立ち上がりでブチかました「前からプレス守備」への意識と意志を、かなり「落ち着かせて」しまったんだよ。

もちろん「なでしこ」が、前からプレス守備をベースに、全体的なイニシアチブは握る。

でも・・さ・・

私は、学習機会という視点で、そこからのゲーム展開の内実が残念で仕方なかったんだ。

そう、こちらは、全力でぶつかり合う、攻守にわたる「ホンモノのせめぎ合い」を期待していたわけだから・・

もちろん・・

失点後に「なでしこ」が魅せた、フッ切れた攻守ハードワークとリスクチャレンジを絶対ベースにした、攻守にわたる組織サッカーには、様々な意味を内包する「見所」が満載ではあった。

でも・・

「受けてカウンターを狙う」という、落ち着いたゲーム運びのイメージに変わってしまったアメリカ猛女たちだから、イニシアチブほ握ってはいるものの、「なでしこ」が、そう簡単に、スペースを攻略してゴール機会を創りだせるはずもない。

そんな、ある意味、「定型だからこそ退屈なゲーム展開」に、チト辟易していたんだ。

でも・・

そう、そんな、「大女にアタマを抑えられながら手をブンブン振りまわす」ってな雰囲気が(スミマセンね高倉さん、失礼な表現で・・へへっ)、後半から登場した岩渕真奈の同点ゴールによって、ガラリと変容するんだ。

そう、アメリカ猛女たちが、再び、前へ仕掛けはじめたんだ。

そして、ゲームの実質的な内容が、「なでしこ」にとって(!!)、とても、とても意義深いモノへと高揚していったというわけさ。

攻守にわたる、ガチの「せめぎ合い」へと高揚していくゲーム。

ところで、そんな変容のキッカケを創った岩渕真奈。

スペイン戦でも、イングランド戦でも・・

私は、その、強い自覚が感じられない「ぬるま湯」のプレー姿勢に、とても憤っていた。

その低い意識と意志は、チェイス&チェックやカバーリング、攻撃でのボールがないところでのアクションの内実に、如実に現れてくる。

前の二戦では、そんな私の憤りを爆発させた岩渕真奈だったけれど・・

そう、後半から交代出場した彼女の意識と意志は、まったく別物になっていた。

最初から、私のイメージに残る、彼女の最高潮に近い「意識と意志」を魅せてくれたんだ。

彼女ほどの才能があるのだから、とにかく、たくさんボールに触らなきゃいけない。

それも、「良いカタチ」でね。

それが機能すれば、このゲームのように、チームにとって貴重な「実効プレー」を魅せられる。

ボールキープにしても、仕掛けドリブルにしても、はたまた、決定的なパス供給にしても。

でも・・ね・・

そう、そこには、その強い闘う意志の絶対ベースが、攻守ハードワークとリスクチャレンジに(その効果に対する自覚と認識が!?)あったというファクトが隠されているんだ。

そんな、積極的に攻守ハードワークを(仕事を)探すという態度・・

それさえあれば、次の攻撃でも、必ず、よいイメージでプレーできるものなんだよ。

そう、そんな、積極的にハードワークを探し、それが結果につながっているという自覚こそが、次の攻撃における、ボールがないところでのサポートの動き(パスレシーブやスペース創造など)を加速させるんだ。

そうすれば、彼女が秘める天賦の才を光り輝かせる大前提である「良いカタチでボールを持つ」シーンを増やすことができる。

そう、この試合のようにね。

やっぱり、地道な努力こそが、すべての成功の礎(いしずえ)なんだよ。

あっと・・もう1人・・

前回コラムで「スーパーボランチ」ってな表現で賞賛した、杉田妃和。

この試合でも彼女は、まさに、ホンモノの「ボランチ=チームのハンドル」として、素晴らしいプレーを魅せつづけていた。

ホンモノのボランチは、中盤ディフェンスで組織守備メカニズムのリーダーシップを握るだけじゃなく、攻撃でも、ゲームメイカー&チャンスメイカーとしても機能できるモノなんだ。

また杉田妃和は、展開&勝負パスだけじゃなく、自身でもミドル弾をぶちかましたりする。

そう、だからこそ、攻守にわたるチームのハンドル。

ボランチ・パートナーの三浦成美とともに、たしかに、このチームには欠かせないコンビだね。

ということで・・

岩渕真奈の「追い掛けゴール」をキッカケに、ゲームが、まさに「全力の仕掛け合い」という、ダイナミックな雰囲気へと高揚していったんだ。

そこでの「なでしこ」の仕掛けにも、それまでとは次元の異なる「危険なニオイ」がプンプンしていたよね。

もちろん、「前からプレス守備」の内実アップを絶対ベースにしてね・・

そして、だからこそ「なでしこ」は、様々な意味合いを内包する「次につながるイメージ資産」を、脳内タンクに蓄積できた。

高倉麻子監督・・

彼女は、世代交代だけじゃなく、世界の列強が、フィジカル、技術、戦術を充実させているという厳しい環境のなかでも、しっかりと「なでしこの戦術カラー」を表現できているという視点でも、良い仕事をしていると思いますよ。

このゲームにおけるサッカー内容にしても、完敗したスペイン戦から、多くのエッセンスをフィードバックしたって感じられたしね。

まあ、今回のトーナメントは、全体として、とても良い学習機会だったということだね。

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最後に「告知」です。

どうなるか分からないけれど、新規に、連載をはじめています。

一つは、毎回一つのテーマを深める「The Core Column」

そして、もう一つが、私の自伝である「My Biography」

自伝では、とりあえず、ドイツ留学から読売サッカークラブ時代までを書きましょうかね。そして、もしうまく行きそうだったら、「一旦サッカーから離れて立ち上げた新ビジネス」や「サッカーに戻ってきた経緯」など、どんどんつづけましょう。

ホント、どうなるか分からない。でも、まあ、できる限りアップする予定です。とにかく、自分の学習機会(人生メモ)としても、価値あるモノにできれば・・とスタートした次第。

もちろん、トピックスのトップページには、新規に「新シリーズ」コーナーをレイアウトしましたので、そちらからも入っていけますよ。

まあ、とにかく、請う、ご期待・・ってか〜〜・・あははっ・・


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 重ねて、東北地方太平洋沖地震によって亡くなられた方々のご冥福を祈ると同時に、被災された方々に、心からのお見舞いを申し上げます。 この件については「このコラム」も参照して下さい。

 追伸:わたしは”Football saves Japan”の宣言に賛同します(写真は、宇都宮徹壱さんの作品です)。

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 ところで、湯浅健二の新刊。三年ぶりに上梓した自信作です。いままで書いた戦術本の集大成ってな位置づけですかね。

 タイトルは『サッ カー戦術の仕組み』。出版は池田書店。この新刊については「こちら」をご参照ください。また、スポーツジャーナリストの二宮清純さんが、2010年5月26日付け日経新聞の夕刊 で、とても素敵な書評を載せてくれました。それは「こちら」です。また、日経の「五月の書評ランキング」でも第二位にランクされました。

 





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