湯浅健二の「J」ワンポイント


2002年J-リーグ・セカンドトステージの各ラウンドレビュー


第4節(2002年9月18日、水曜日)

またまたフラストレーションが・・(レッズ対レイソル=1-1)

レビュー

 こんな試合で、どうやってポイントを探せばいいんだろう・・。

 カウンター&一発ロングタテパスから、前半8分に一点をもぎ取ったレイソル。その先制ゴールを追うレッズは、レイソルが守備を厚くしていることもあって、組み立てられないし、最後の仕掛けも単発・・というか、最後の仕掛けに「組織と個」をバランスさせようという発想自体をまったく感じない・・。まあ、いつものことですが。何かが起きそうな雰囲気がかもし出されるのは、両サイドの平川と山田、はたまた(パスが通ればのハナシですが)エメルソンや永井(後半では田中)のドリブル突破か、セットプレーの状況しかない・・。とはいっても、最後の仕掛け段階でエメルソンや永井がボールをもっても、誰も寄ってこない・・。これでは・・。

 押し返すチカラがなく、守備だけに集中している相手に対し、自ら攻め崩さなければならない(ゴールを取りにいかなければならない)状況では、例によって、最終勝負のカタチをうまく作り出せないレッズなのです。そのカタチを作り出すための「主役」は、もちろんボールがないところでの意図が満載されたアクション・・、それも、決定的な最終勝負の場面ではなく、組み立て段階でのアクションです。それが、ほとんど見られないのですよ。これでは、レイソル守備ブロックに「穴を作り出す」ことなんてできっこない。

 たしかに大きくボールを動かしたりはします(単なる展開パス)。でもそれは、動きのない足許パス(安全パス)ばかり。また前後のポジションチェンジがまったくないから、彼らの攻撃が「ステレオタイプ(定型)」になってしまうのです。後方の選手たちは、常に「次の守備」のことしか考えなくなってしまっている!?

 自ら、組織的に崩していくというポイントでは、本当に、まだ「何も」見えてこないレッズ。まあ、これまで何度も書いてきたことですがネ。それでも、同点ゴールシーンでの、平川の決定的フリーランニングは素晴らしかったですよ。エメルソンが相手二人を「引き連れて」キープしている状況で、爆発フリーランニングをスタートしたのです。あんな「走り」をされてしまっては、「あの」エメルソンでも、タテパスを出さざるを得ない・・。そこですね、ポイントは。要は、「どうせパスなんて来ない・・」で、またその雰囲気が「他に波及」する事で、(特に最終勝負への仕掛けシーンで)周りの足が止まってしまっていることが、沈滞した攻撃の大きな原因だということです。

 「次の守備しかアタマにない」選手たち・・「攻撃はアイツ等に任せておけばいい」・・。選手たちに対する「意識付け」に大いなる問題が潜んでいる・・と言わざるを得ない!?

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 対するレイソルですが、どうも「光明」が見えてこない。この試合では、変則のスリーバックで臨みます。まあ「エメルソン・シフト」っちゅうことでしょう。それをベースに、まあまあの組織を作ってはいます。それでも、「個人勝負」で一度抜かれたら、カバーリングアクションも含め、完全に不安定になってしまいます。「一枚」余らせているのだし、レッズは単独勝負しか仕掛けてこないにもかかわらずネ・・。

 それに攻撃も、まったくといっていいほど組み立てられません。それには、レッズの、抜群の「忠実マンマーク守備」のことを挙げなければなりませんがネ・・。とにかく、レイソルの攻撃にも、まったくアイデアが感じられない・・。前線の選手たちがキッチリとマークされているのだから(レッズの守備は、前線の選手が20メートルくらい戻ってきても付いてくる!)、他の中盤選手たちが、逆にその「ウラ」を突けばいいのに・・。例えば、前線にボールが入り、そこで、少しでも「ポスト」を作り出せる状況になったら、(そんな状況を常に意識している味方が)後方からの「追い抜きフリーランニング」を意識する等々。また、一カ所でもドリブルでマークを外したり、ボールのないところでの動きでスペースへ入り込んだり(この時点でマークは外していることになる)・・という「ここぞの勝負所」に対するイメージ自体も感じない。そして、キッチリとマークされている(次のパスを狙われている)ところ「ばかり」に、不正確な足許パスを送り込むという愚行を繰りかえすんですよ。これではネ・・。

 とにかく、レイソルの状況が、どんどんと悪化していることが、本気に心配になってきていてる湯浅なのです。

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 レッズが作り出すチャンスは、もう完全にエメルソンが主体なんですが、その迫力はサスガです。(複数の相手による)マークなんてなんのその。とにかくその突破力は、いつも言っている通り、レッズのプレーイメージの発展にとって、「光と陰」の両面を持っているということです。

 それでも、平川だけは、少し「認め」はじめているようです。彼がボールを持ち、ちょっと突破が難しくなった状況で、平川が少しでも動けば必ずパスを出しますからね。まあそれも、その一発パスで、決定的な状況になる・・という場面くらいですがネ。

 どうも文章が踊らない・・。書いていて、これほどフラストレーションがたまる試合も久しぶりです。要は、両チームともに、「この先にはハイレベルサッカーがある・・」なんていうポジティブな期待を抱かせてくれるようなプレーが展開できていないということです。

 まあ、レッズの場合は、忠実なマンマークによって安定しはじめた守備をベースに、結果も出してはいるんですがネ・・。とにかくハンス・オフトは、まず負けないことが肝心だ・・というサッカーをやっているわけですが、ここから、どのように「攻守にわたってクリエイティブな次」へつなげていくのか・・。いつものツキナミな表現ですが、「お手並み拝見」!

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 このフラストレーションは、たぶん、(日本時間で)明日早朝に行われるチャンピオンズリーグ本戦の開幕戦、フェイエノールト対ユーヴェントスの勝負マッチが解消してくれるに違いありません。何といっても、フェイエには、完璧な「ブレイクスルー」を果たした小野伸二がいますからネ・・。

 明日は、この試合についても簡単にレポートする予定です。では、今日はこのあたりで・・。



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