湯浅健二の「J」ワンポイント


2004年J-リーグ・セカンドステージの各ラウンドレビュー


 

第14節(2004年11月23日、火曜日)

 

ホントに強いね、レッズは・・(レイソル対レッズ、0-4)

 

レビュー

 

 まあね、やっぱり中盤リーダーの鈴木啓太は外せないよな・・またこの試合で鈴木のパートナーをつとめる酒井の踏ん張りにも期待しなければ・・あっと、平川も忘れちゃいけない・・アレックスと比べてもそんなに見劣りするワケじゃない彼のことだから、攻守にわたる意地のパフォーマンスを魅せてくれるに違いない・・それに今日はスリートップだ・・多分エメルソンのワントップに田中と永井が二列目コンビをやるということか・・とにかくこのスリートップの場合、相手の強化ディフェンスブロックに遭遇したとき、すぐに足が止まって「最前線のフタ」になってしまう傾向があるから、そのポイントにも注目しよう・・ヤツらは、もう何度も大失敗しているから、同じ轍を踏むことはないとは思うけれど、相手は降格リーグを戦うレイソルだから、どうなるか・・。

 先発メンバーを見ていて、そんなことを考えていましたよ。特に最前線のフタについてですが、スリートップが心理的な悪魔のサイクルにはいったときのレッズの攻撃コンテンツは、まったく動きがなくなってしまうなど、まさに死に体というレベルにまで落ち込んでしまいますからネ。あっと・・ゲームがはじまった・・。

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 あっ、最初のメモに「野人」を入れるのを忘れていた・・。観はじめてすぐに、そう感じていました。今シーズンの岡野雅行は、期待されて交代出場したわりには、ギド・ブッフヴァルトが(彼の現役時代から)イメージしていたに違いない「野性的な刺激」を与えられず仕舞いでした。出場しても、その時点でのゲーム展開を逆流させるどころか、その展開に流されるだけ・・といった体たらくだったのですよ。だから、先発出場したこの試合でも、あまり期待していなかったというわけです。それがこのゲームでは、ちょいとイメチェン。なかなかのサイドアタッカー振りなのです。スピードに乗ったドリブル勝負・・吹っ切れたクロス・・守備でも堅実でクレバーなプレー・・。

 この時点で岡野雅行に望まれるのは、たった一つのテーマしかありません。マリノスとのチャンピオンシップで予想される寸詰まりの展開を打開してしまうような吹っ切れた「ワイルド・マインド」をチームに注入すること。いまから彼は、以前の「野人プレー」に焦点を合わせたイメージトレーニングを積んでおかなければいけません。彼が交代出場するときには、確実に、「もう何も失うものがない・・とにかく仕掛けていくしかない・・」というところまでゲーム展開が進行している(そこまでレッズが追い込まれている?!)はずですからネ。この試合での野人コンテンツを観ながら、チャンピオンシップにおける岡野雅行の「刺激プレーヤー振り」に思いを馳せていた湯浅だったのです。

 さて次はスリートップ。良かったですよ。特に永井雄一郎が・・。彼は学んだに違いありません。チームの攻撃が自分のイメージ通りに回らないとき、自身のパフォーマンスが、そんなチームの悪い出来に輪をかけて落ち込んでしまうことの背景要因を・・。まだまだ「アナタ任せの意識」が強すぎる・・また逆に、状況も考えずに無理なドリブル突破を仕掛けて潰され、そのことで、まさに自滅的にどんどんと落ち込んでいく傾向も強すぎる・・。

 でもここ最近の永井雄一郎は、かなり変わってきています。どんな状況でも、まさに自分主体のプレーが展開できるようになりつつあるということです。その絶対的なバックグラウンドは、もちろん実効あるカタチで中盤ディフェンスに絡みつづけられていること。それがあるからこそ、次の攻撃でのパスレシーブの動き(フリーランニング)にも勢いが乗るし、ボールを持っても決してこねくり回したりせず、自分のイメージをトレースするようにシンプルなパスを回すこともできる(そのことで、より得意なカタチでパスを受けることができるという事実に対する確信!)。この試合で魅せつづけた攻守にわたる「主体的な」実効プレーには、サイドバックをしっかりとこなせるようになったことからの自信も大きく貢献していると思っている湯浅なのです。だからこそ、ここでもギドとゲルトのコンビに拍手なのです。

 さて平川忠亮。いいですネ。酒井友之と同様に、彼もまた、レギュラークラスと限りなくイコールパフォーマンスを備える、意識の高いプロフェッショナルだと感じさせてくれました。だからこそ、チーム内のテンションマネージメント(ライバル関係ベースの緊張感アップマネージメント!)や試合途中でのペースアップ(落ち込んだチームにポジティブな刺激を注入できる交代の切り札!)などで、チームに大きく貢献できているというわけです。もちろんそんな実効コミットメントは、あくまでも彼らが、「フザケルナよ、レギュラーはオレなんだよ!!」という自負と自己主張マインドを維持できてするからこそ。もし彼らが、「どうせ・・」と思いはじめた瞬間から、チーム内モラルが減退しはじめてしまう・・。

 今シーズンのファーストステージでは、国家代表の大きな国際大会が目白押しだったことでメンバーが揃わず、また怪我人も多く出てしまいました。逆に、選手たちがほぼ全員揃ったセカンドステージでは、常に優勝を争っていたことで(そこには、ウィニングチーム・ネバーチェンジという絶対法則もあった!)、そんなにチーム内モラル揺動という問題は表面化してきませんでした。でもこれからですよ、ギド・ブッフヴァルトのウデが試されるのは(学習能力が試されるのは)・・。お互い、しっかりと観察しましょうネ。

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 この試合では、相手のレイソルがしっかりと攻め上がってきたこともあって、レッズの攻撃力が存分に発揮された・・そこでは、組織プレーと個人勝負プレーの「高質なバランス」をもしっかりと意識されていた・・人とボールをしっかりと動かしながら、そこに、爆発的なドリブル勝負も効果的にミックスしていく・・レッズの攻撃コンテンツは、今でも進化しつづけている・・とはいっても、チャンピオンシップは、まったく様相は違ったモノになるだろう・・ここ最近、FC東京戦、エスパルス戦、そしてグランパス戦に見られるように、相手に守られたケースでは、どうも自滅的なゲーム展開になってしまうケースが見られる・・チャンピオンシップは、とにかく我慢比べになる・・何といっても相手は、「フォックス岡田」演出のクレバーなゲーム戦術なのだから・・選手たちには、とにかく「我慢比べ」の意味だけではなく、そんなゲーム展開で勝ち切るための一瞬の集中力というテーマについて、しっかりとしたイメージトレーニングが必要になってくる・・

 最後にそんなコトを考えながらキーボードを叩きつづけていた湯浅だったのです。さて最終節はどのゲームを観にいこうかな・・。オシムさんの「残留」をモティベートしようと選手たちが頑張っている(?!)ジェフと、山本采配(心理マネージメント)に注目が集まるジュビロとの対戦? 復調した「オジー・ヴェルディー」対、フォックス岡田マリノスとの一戦? それともレッズの最終戦? さて・・

 



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