湯浅健二の「J」ワンポイント


2006年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第12節(2006年5月7日、日曜日)

 

アントラーズが悪すぎたといったゲームでしたネ・・それでも小野伸二は良かった・・(レッズ対アントラーズ、4-0)

 

レビュー
 
 フ〜〜、ホントに良かった・・。やはり、この試合での小野伸二の「プレー姿勢」がものすごく気になっていたのですよ。結果としてのプレー内容ではなく、彼自身のゲームに臨む態度。そしてゲームが立ち上がってすぐに、彼が健康的な雰囲気で回復基調にあることを体感し、ホッと胸をなで下ろしていたわけです。やはり、「ネガティブ批評」を最後にワールドカップへ向かうのでは、精神衛生上よくないからね。その事情については、プレーしている本人も同じだったに違いない?! 「このままじゃ、気持ちよくワールドカップへ行けない・・」

 この試合での小野伸二は、トップ下として、攻守にわたってなかなかの実効プレーを披露しました。素晴らしいゴールを二本も決めたしネ。相手がアントラーズということで、楽にゲームを支配できない。そんな状況のなかでも、攻守にわたってしっかりとした実効プレーが展開できていた。そのことが、彼の自信回復のベースになったと思うわけです。

 攻撃では、パスレシーブの動きをしっかりと繰り返しながら、効果的なスペースでパスを受けるというシーンがつづきます。動きのなかでのパスレシーブ。わたしは、それこそが、この数試合と比較するなかで最も大きなポジティブ変化だと感じていました。そして、シンプルな展開パスとパス&ムーブで「次」でもしっかりとボールに絡むという「連鎖プレー」を繰り返す。それもポジティブな変化。要は、攻撃の流れにしっかりと乗れていた・・いや、彼自身がその流れを演出できていたということです。

 それにしても、先制ゴールシーンで、ワシントンの眼前スペースへ後方から入り込んだ決定的なパスレシーブランニングは見事の一言でした。もちろんシュートも素晴らしかったけれど、とにかく「動きのなかでの」プレー感覚が高揚していることを実感し、頼もしく思ったものです。

 また守備でも、プレー姿勢が格段にアップしていました。もちろんボールがないところでのアクションの量と質のことです。「交通整理」をする前に、まず自分自身でチェックに入ったりするのですよ。だからこそ効果的なインターセプトシーンやボール奪取勝負を演出できた。

 ところで、この試合の小野伸二は小笠原とマッチアップする場面が多かったですよね。小笠原が後方から上がったとき、小野伸二は、しっかりと最後までマークしつづけていたし、逆に小笠原は、小野がボールを持ったら(小野がボールを持つシーンを予測して間合いを詰め)、フルパワーのチェックを繰り返していた。互いに意識しているということなんだろうネ。いいじゃありませんか、ライバル関係。

 とはいっても、全体的なプレー内容では、この日の小笠原は、まさに、ジェフ戦の小野伸二でしたね。汗かきの「守備の起点プレー」に対する意識があまりにも希薄。だから、レッズが攻撃する状況では(小野がボールを持つシーンを除いて?!)、様子見で足を止めてしまうというシーンが目立ちに目立ってしまう。もちろん実際のボール奪取勝負となったら素晴らしく効果的でパワフルな競り合いを展開できるのにネ・・。そんなだから、誰の目にも、「絶対的な運動量が足りない・・全力を出し切らない・・ボールがないところでの汗かきをしない・・ボール持っても、リスキーな勝負を仕掛ける方が希で、すぐに逃げの横パスを出して足を止めてしまう・・等々」というネガティブなイメージばかりが残ってしまうというわけです。あれほどの才能に恵まれた小笠原だからネ。本当に惜しい・・。

 「高いレベルのサッカーでは強いメンタルが求められる・・この日は、レッズとのメンタル的な差が大きかった・・勝ちたいという意志のチカラ・・その差が大きかった・・」。試合後の記者会見で、アントラーズのアウトゥオーリ監督が、そんなことを言っていました。もしかしたらアウトゥオーリさんは、小笠原を対象に、メンタル的なマイナス要因をイメージしていたのかもしれないネ・・。

 とはいっても、アントラーズのセットプレーでの危険度は、相変わらず高かった。前半では、2本、3本と、コーナーキックやフリーキックから決定機を演出しました。キッカーは、もちろん小笠原。見事なキック・・。まあ、惜しいという感情がつのるから、これ以上彼について言及するのは止めにします。何せ、こちらが出来ることは文章を発表する以外にないわけだから。これではフラストレーションばかりが溜まってしまう。これまでに、何度も、何度も、彼を(外部から)刺激することにトライしてきた湯浅だけれど、もう疲れたし、空しいよね。

 レッズが良かったというよりも、アントラーズが悪すぎた(ウラスペースを突いていくことに対する意志が弱すぎる・・ボールと人の動きの量と質が悪すぎる・・ボールなしのプレー内容が悪すぎる・・いくらポゼッションが高くても、これでは意味ない・・等々)という印象の方が強いこの試合については、まあ、こんなところですかネ。

 



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