湯浅健二の「J」ワンポイント


2006年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第21節(2006年8月30日、水曜日)

 

ホントに面白いエキサイティングマッチでした・・(ジェフ対フロンターレ、1-2)

 

レビュー
 
 まさに、ダイナミックな均衡という表現がピタリと当てはまるエキサイティングマッチ。受け身の守り合いではなく、次の攻撃をイメージした積極的なボール奪取勝負と、ボールがないところでのアクションを積み重ねていく動的な仕掛け合いでした。だからこそ「ダイナミックな均衡」。湯浅もとことん楽しんでいました。

 それにしてもアマル・オシム監督はツキに恵まれていない。第18節でのFC東京戦、そしてこの試合でも、内容的には決して悪くなかったにもかかわらず(まあ同点がフェアな結果かな・・なんて思いはじめていたら)、エッ!ってな感じの決勝ゴールを奪われてしまうんだからね。

 イビツァ・オシムさんが日本代表の監督に就任し、ジェフからも数人の代表選手が招集されたことで、チームの雰囲気は明確に活性化しています。アマル・オシム監督は、その雰囲気が「シナジー的」に増幅していくように上手くリードしていると感じます。だからうまく結果が伴っていないことはちょっと残念。

 「今日のような(均衡した)試合をモノに出来るかどうかが順位に大きく影響してくる・・我々は何度かの決定機を決められず、逆にフロンターレはしっかりと決めた・・彼らは、このような試合を着実にモノに出来ているからこそ上位にいる・・」。記者会見でのアマル・オシム監督の弁だけれど、まさにそういうことだよね。

 フロンターレでは、やはりジュニーニョの穴は目立っていたと感じました。たしかに足の速い黒津を中心にしたカウンターも部分的に鋭さを魅せてはいたけれど、やはりジュニーニョの比ではなかった。まあ、だから逆に、後方から効果的に押し上げてくる中村憲剛や谷口博之が活躍できていたとも言えるけれどネ。この試合では、最前線を「おとり」にした二列目、三列目の仕掛けがうまく機能していたということです。脅威(ジュニーニョの不在)と機会(三列目選手の仕掛けイメージの発展)は表裏一体・・ってか。

 対するジェフ。この試合では、フロンターレが展開するバランスの取れた守備ブロックに対して、うまくスペースを突いていけませんでした。要は、ボールがないところで仕掛ける、二列目や三列目の飛び出し(決定的なパスレシーブの動き)が、ことごとくフロンターレ選手にマークされてしまうのですよ。そんなこともあって、ジェフの仕掛けに勢いがうまく乗っていかない。

 そんななかで目立っていたのは、何といってもマリオ・ハースの「ここぞの飛び出し」でした。彼が繰り出しつづけた(ボールがないところでの)忠実な仕掛けフリーランニング。それによって、何度もチャンスが演出されていたことは誰もが認めるところでしょう。

 彼が挙げた同点ゴールのシーン。そこでダイレクトの決定的スペースパスを出した羽生にしても、マリオが、そのタイミングで「斜めに抜け出す」ということに対する100パーセント以上の確信があったに違いありません。その確信の高揚は、マリオが繰り返した「クリエイティブな(意図を込めた)無駄走り」があったからこそ・・というわけです。

 ハナシは変わって、フロンターレの中村憲剛。やはり彼は、オシム日本代表の「中盤の底」を背負って立てるだけの十分なキャパシティーを備えています。高いレベルにある、創造的で想像的な「守備意識」。有機的な守備プレーの連鎖プロセスを主導できるだけのインテリジェンスとリーダーシップ。素晴らしいボール奪取勝負テクニック(1対1での競り合いの強さ等)。そして、ハイクオリティーなキープ力、パス出し能力、ドリブル突破能力、シュート力。フムフム。

 鈴木(啓太)、長谷部、今野、遠藤、阿部、そして中村憲剛。そのポジションは、オシムさんが志向する「トータルサッカー」では、攻守わたってもっとも重要なタスクを担います。その攻守のプレーコンテンツによってチーム全体のパフォーマンスが決まってくるといっても過言ではないのです。だからこそ、何人もの優秀な選手たちがフェアで厳しい(緊張感あふれる)ポジション争いを繰り広げることには重要な意義があるのです。

 



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