湯浅健二の「J」ワンポイント


2009年Jリーグの各ラウンドレビュー


 

第27節(2009年9月26日、土曜日)

 

それにしても、FC東京が魅せた吹っ切れた仕掛けは素晴らしく魅力的だった・・(FCTvsJU, 3-2)

 

レビュー
 
 「まだまだ目標を見失っていないという姿勢を示し、それに結果も出すことができて良かった・・」

 劇的な勝利を収めたFC東京、城福浩監督が記者会見でしみじみと語っていた。 エキサイティングな、逆転&再逆転ドラマ・・

 そんな城福浩監督の言葉を聞きながら、こちらは、やっぱり、ゴールにまさる刺激はないよな〜〜・・なんてことを思っていた。何せ(そのままだったら)勝負が決まっちゃうわけだから、何も失うモノがなくなった方の(要は、負けている方の)チームは、そりゃ、全てを賭して攻め上がっていくのも当然だよ。

 最後の20分間は、そんな、失うモノがなくなったFC東京が、人数を掛けて(城福浩監督の表現では、自ら積極的にバランスを崩しながら=リスクにチャレンジしながら)ガンガン攻め上がり、ジュビロは、必死に守るなかでカウンターを仕掛けていくというエキサイティングな展開へとゲームが変容していく。

 そしてFC東京が、こぼれ球をひろった長友の(ビックリするほど!)落ち着いたシュートで同点に追い付くのですよ。相手ディフェンダーとGKの動きを冷静に読み取り、落ち着いて、ジュビロゴールの左サイドネットへボールを流し込んだ長友佑都。それは、まさにゴールへのパス。拍手〜〜!

 その同点ゴールを観ながら、これで一旦ゲームが落ち着くかな・・なんて思っていたのだけれど、あに図らんや、FC東京の、吹っ切れたリスクチャレンジ姿勢は衰えることを知らず、逆に増幅していくのですよ。ここまできたら(ホームだし!)もう勝つっきゃネ〜ゾッ!! FC東京選手のプレー姿勢からは、そんな吹っ切れたスピリチュアル・エネルギーの迸(ほとばし)りを感じたものです。

 そして私は、FC東京がブチかましつづける吹っ切れた(アグレッシブ)エネルギーを感じながら、こんなコトに思いを馳せていた。

 ・・どちらもリードを奪えていない拮抗したゲーム展開でも、安定プレーという落ち着いた雰囲気のなかでも、たまには、急激なテンポアップからのプレッシング(アグレッシブなボール奪取勝負)をベースに、このような(人数を掛けた)ダイナミックでリスキーな仕掛けを繰り出していけないものだろうか・・そんな、メリハリある攻撃を、チームが一つのユニットになって(一体になって)主体的にコントロールできることこそが理想なんだよな・・それが出来れば、極端に蒸し暑い日本の夏だって問題ない・・

 そのためにこそ、優れたイメージトレーニングが考案されるべきなんだろうけれど、(ヨーロッパの友人たちも異口同音に認めているように)そんな、意図的なテンポコントロールほど難しいプレーはない。まあ、レベルを超えたパワーを秘めるリーダーシップがあればハナシは別だけれどネ。

 ところで、FC東京が魅せた「抜群のシフトアップ」。その流れを引っ張ったキーパーソンは、何といっても、長友佑都と梶山陽平だったね。

 左サイドゾーンで、勝負ドリブルや素早いコンビネーションなど、危険な崩しプレーで相手を翻弄しつづけた長友佑都。そして中盤で(例によって冷静でクレバーなポジショニング&アタックを基盤に)効果的なボール奪取勝負を魅せながら、チームの仕掛けエネルギーをリードしつづけた梶山陽平。特に梶山陽平のプレーは、とても印象に残った(特に、ヒョウヒョウとプレーするなかで、急激に全力ダッシュを繰り出すような爆発プレーが何度もみられた!?)。とにかくホントに素晴らしかったですよ、彼らの実効プレーは・・

 ところで、この試合からは、もう一つ、テーマをピックアップしました。それは、コンパクト(守備)サッカーだからこその、決定的スペースの攻略イメージ。

 分かりにくい表現になってしまった。要は、両チームともに、最終ラインを押し上げて中盤ゾーンを狭めるようなコンパクト守備サッカーを展開したから、その背後には「太平洋スペース」が広がっていたということです。まあ・・確かに前半のFC東京は、ブルーノ・クアドロスのカバーリングアクションが早かったことで、比較的下がり気味という印象はあったけれど・・。

 その(太平洋のような)決定的スペースだけれど、FC東京は、明確にその攻略を意図し、逆にジュビロは、それを(第一義的には!?)イメージしていなかった!?

 わたしは、FC東京の城福浩監督が、その決定的スペースを攻略していくゲーム戦術をしっかりとチームに意識させていたと思っているのです(ロングパスや素早いコンビネーション、はたまたショートカウンターによって決定的スペースを攻略していくイメージを徹底させた!?)。

 だからこそ、長友佑都とか石川直宏(また鈴木達也)が、完璧なタイミングで抜け出し、決定的スペースでボールを持って仕掛けの起点になるようなチャンスを演出することができたと思っているのですよ。もちろん、平山相太のヘディングやポストプレーも、効果的に活用できていたしね。

 それに対してジュビロは、イ・グノや前田遼一、西紀寛や村井慎二が繰り出す勝負ドリブルを主体に仕掛けていく。もちろん、ある程度はボールが動いているから、そのドリブル勝負には「ゴリ押し」という雰囲気はなかったけれど、それでも、もっと組織プレーでの崩しもイメージするべきだと感じたわけです。それがあるからこそ、ココゾッ!の勝負ドリブルも活かされるということだからね。

 それにしても、イ・グノの勝負ドリブルは素晴らしい。何度か、「まさに世界!」という雰囲気を振りまく魅惑的なドリブル突破を魅せていた。まあ、あんな才能がいるのだから、「それ」を前面に押し出さない手はないよな・・なんてことも思うけれど、それでも、やっぱり、組織と個をうまくミックスすることで効果的に演出される「攻撃の変化」は大事だよね。それがあれば、イ・グノの才能も、より活かし切ることができる。フムフム・・

 前半は、ジュビロ(城福浩監督)が意図したに違いない「決定的スペースの攻略」というテーマに目を凝らし、後半は、エキサイティングな勝負ドラマに舌鼓を打っていた。この試合も、入場料にオツリがくるくらい価値のある勝負マッチだったね。

------------------

 ところで、拙著「ボールのないところで勝負は決まる」の最新改訂版が出ました。まあ、ロングセラー。それについては「こちら」を参照してください。

=============

 ということで・・しつこくて申し訳ありませんが、拙著『日本人はなぜシュートを打たないのか?(アスキー新書)』の告知もつづけさせてください。その基本コンセプトは、サッカーを語り合うための基盤整備・・。

 基本的には、サッカー経験のない(でも、ちょっとは興味のある)一般生活者やビジネスマン(レディー)の方々をターゲットに久しぶりに書き下ろした、ちょっと自信の新作です。わたしが開発したキーワードの「まとめ直し」というのが基本コンセプトですが、書き進めながら、やはりサッカーほど、実生活を投影するスポーツは他にはないと再認識していた次第。だからこそ、サッカーは21世紀社会のイメージリーダー・・。

 いま「六刷り」まできているのですが、この本については「こちら」を参照してください。また、スポナビでも「こんな感じ」で拙著を紹介していただきました。

 蛇足ですが、これまでに朝日新聞や日本経済新聞(書評を書いてくれた二宮清純さんが昨年のベスト3に選んでくれました)、東京新聞や様々な雑誌の書評で取り上げられました。NHKラジオの「著者に聞く」という番組で紹介されたり、スポナビ宇都宮徹壱さんのインタビュー記事もありました。また最近「こんな」元気が出る書評が出たり、音声を聞くことができる「ブックナビ」でも紹介されたりしました。

 



[トップページ ] [湯浅健二です。 ] [トピックス(New)]
[Jデータベース ] [ Jワンポイント ] [海外情報 ]