トピックス


グランパスのこと・・(1999年4月11日)

ちょっと考えるところがあって、トピックスのテーマとしてアップデートすることにしました。

 まず、グランパスの話題に入る前に、ヴェルディーの好調さについて。

 彼らは、一つのチームとしてまとまりつつあると感じます。この成果は、選手たちの危機意識を巧みに活用することによって(選手達の危機意識を意図的に高める ≒ 怒り、憎しみなどの心理のダークサイドパワーの活用・・なども含む))、チームを一つにまとめているコーチングスタッフの手腕に依るところが大きいに違いないと感じます。

 再生中のヴェルディー。まず取りあげなければならないのは、堅実、アクティブな守備です。米山、中澤、山田、杉山(中村)で構成する最終守備ライン、その前のダブルボランチ、林、小林、攻撃的ミッドフィールダー、北沢とジェフェルソン、そして最前線の石塚(高木)、エンリケ(栗原)。彼らの「守備意識」は、前年シーズンと比べられないくらいの高まりを見せています。

 もちろんそれも、現場コーチの意識付けなしには絶対に出てこないモノ。守備は、基本的には「受け身」にならざるを得ない「面白くないプレー」ですからネ。その意味でも、『相手からボールを奪い返すためのイメージシンクロ・レベル』と、『守備での忠実なコンビネーション(協力作業)レベル』を格段に高めたコーチングスタッフの「お仕事内容」を高く評価しなければなりません。

 相手からボールを奪い返さないことには何も始まらないことは言うまでもありませんが、積極的な守備が、アクティブな攻撃の「心理的ベース」だということは、あまり議論されていません。ヴェルディーが強かった頃の彼らの魅力的なオフェンスのベースも、中盤から最終守備ラインにかけての強力な守備だったのです。

 さて、いろいろと危機説が取り沙汰されているグランパスが、そんな、調子が上向いているヴェルディーと等々力で対戦しました(ご存じのとおり、ヴェルディーの勝利)。この試合では、ストイコビッチ、呂比須が出場できないだけではなく、監督の意志で、大岩、平野、望月という、それまでの主力もメンバーから外されました。

 私は、「2002 」も含む色々なメディアに、シーズンプレビューとして、「代表レベルの選手を大幅補強したグランパスでは、まずコーチングスタッフの力量が試される・・」と書いたわけですが、それは、「サッカーがホンモノのチームゲームだから、優秀な選手を入れさえすれば、即、チームの総合力が相乗的に上がるというものではない・・」からです。

 これまでのりグランパスの成績は、たしかに周囲の期待を裏切っているようですが、とはいっても、この試合での「基本的にはアクティブなプレー姿勢」からは、「チームが空中分解の危機にある・・」とは、あまり感じられなかったことも事実です。

 もちろんプロですから、出場すれば全力を尽くすのは当然ですが、そこは人間・・、サッカーネーションのトッププロでも、チーム内の「レベルを超えた不協和音」によって(もちろん、ある程度の不満・憤りなどは、逆に大きなモティベーションになりますがネ・・)パフォーマンスが地に落ちてしまうような事態は日常茶飯事です。

 そこまでのパフォーマンスダウンは感じられなかったグランパス。この試合に出場した選手達は、チームの危機を意識し、チームのために全力を尽くすという態度の「大人のプロ」だったということなのでしょうか・・?!

 「手を抜くヤツらはチームにはいらない・・(田中監督)」と、チームのためを考え(ポジティブな刺激にもなる?!)、例の三人を「強制送還」したらしいのですが・・。もちろん私は部外者ですから、チーム内で本当に何が起きているのかなんて・・分かりっこありません。

 もしかすると、監督の言葉が、選手達に理解し難いものなのかもしれませんし、彼自身が明確なチーム戦術(コンセプト)イメージを描けていなかったり、それがあっても、選手達を(理解はさせられたとしても・・)納得させるところまで「まだ」たどり着いていないのかもしれません。

 また逆に、選手達に「自分自身が原因」の自分勝手な不満があり、その理不尽なはけ口として監督に対して反旗を翻しているかもしれませんし、それが、チーム内での(一部選手による)ネガティブなアジテーションにつながっているのかもしれません。

 部外者ですからネ・・。とても、そんな事実関係までは分かりません。

 それでも監督は、『全てのチーム・マネージメント・プロセスは結果に集約される』という原則に則り、「結果」に対する全ての責任をとらなければならないことだけは事実です。私がいう「結果」とは、数字的な結果だけではなく、試合内容も含むことは言うまでもありませよネ。

 (今のグランパスのチーム戦術・コンセプトが正しい方向にあると仮定して・・)その「結果」さえついてくれば(良い結果が見えるような内容が伴ってくれば・・)、監督の「ある意味でのゴール」である、自身のコンセプトをより徹底的に実行させるためのベースになる「チームの納得レベル」を高揚させられるはずです。ただ、このままの状況が続けば、メディアのネガティブノイズ、サポーターの不満などによって、問題が雪だるま式に膨れ上がってしまう?! その意味で現状は、「結果」と「納得」の追いかけっこという構図なのかもしれません。

 グランパスのマネージメントは、田中監督のプロサッカーコーチとしての(パーソナリティーも含む)総合能力、そして彼が標榜するチーム戦術・コンセプトを認めているならば、100%、彼をサポートし続けなければなりません。(マネージメント自身に「迷い」があったり、自己保身を考えるなど)「目的のすり替え」、「ぬるま湯」、「中途半端」が一番いけないことはプロサッカーの歴史が証明しています。それは、「個人事業主」であるプロサッカーコーチに対して失礼というモノです。




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