創造的な「発想」の祭典・・2000年たらみオールスター・・西対東（5−2）・・（2000年8月26日、土曜日）
お祭りですからネ・・選手たちはケガか一番怖いわけで、「ギリギリの競り合い」まで飛び込んでいくはずがありません。また守備ラインもあまり上げてこないから、中盤での十分なプレスも演出できない・・。ということで、この試合は、とにかく選手たち個々が持つ「攻撃における創造性」が見所ということになります。
ホンモノ勝負のような「極限プレッシャー」がなく、ほとんどフリーで攻撃を仕掛けていけるのですから、彼らの「創造的な発想」だけが問われる・・というわけです。
もちろん、守備における「創造性の結晶」ともいえる「インターセプト」がもっと見られてもよかったかな・・とは感じますが、まあそれも、インターセプトを狙うための「前段階での協力プレス」がありませんからネ・・仕方ないか・・
さて試合ですが、やはり・・というか、ストイコヴィッチ（ピクシー）が見せ続ける創造性の独演会という構図になってしまいます。ある意味では「寂しい事実」・・ということですかネ・・（東軍の中村俊輔も部分的には素晴らしい「発想」を魅せてはいましたが・・）
それにしても、なんと美しいピクシーの「発想」でしょう。彼は、ボールをもつ以前、そして持ってからも、どんどんと変化する状況に対して、瞬間的に「新しいイメージ」を描き続けます。これぞ「世界最高峰のクリエイター」・・
彼の場合、周りのチームメイトたちから「自然」とボールが集まってくるから良いプレーができるのもアタリマエではあるのですが・・（もちろん「パスを呼び込むフリーランニング」も調所に魅せる！）。周りも、彼の「発想」を楽しもうとしているんでしょうネ。一緒にやっている選手たちが、彼が中心になった攻撃での創造的な「仕掛け」を楽しんでいる・・という雰囲気を感じます。
フリーでパスを受け、（プレッシャーがほとんどないこともあるんですが・・）ドリブル突破で相手守備ブロックのバランスを崩したり、素晴らしく早いタイミングで（これがレベルを超えた発想の証明！！）、二列目から飛び出す森島やノ・ジュンユン（後半は西沢も）へ、夢のように正確なベストタイミングの「ラストロングパス」を飛ばしたり、はたまた相手の視線と意識をフリーズさせてしまう「タメ」を演出したりと・・見ていて楽しいことこの上ありません。
特に、西軍、森島の同点ゴールを演出した「ラスト・ロング・アシスト」は、もう本当にドリームプレー。もちろん森島の「飛び出し」と「ボレーシュート」も凄かったのですが・・
ピクシーがボールを持ったときの、周りの選手たちの動きの「急激な変化」は見応え十分ではありました。もちろん、例によっての「次の決定的な仕掛けをイメージしたボールがないところでのアクティブプレー」などにも、ピクシーのレベルを超えた「創造的な発想」を感じます。爽快、爽快・・
コメントが、ピクシーだけに集中してしまって・・。でも仕方ありませんよね。これほどの「存在感」を見せつけられてしまっては。彼のプレーを見ていて、今回のヨーロッパ選手権でも、彼が出てきてからのユーゴスラビアが「まったく別のチーム」になったことを思い出していました。
とにかく、「ロジックな戦術プレー」と「クリエイティブな才能」が理想的にバランスした「モダンサッカーの申し子」、ドラガン・ストイコヴィッチの、（汚いファウルがなかったが故の）ファンタスティックなプレーに感嘆しきりの湯浅でした。