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いや、素晴らしい・・「あの」サウジに対してもチカラの差を見せつけてしまって・・日本代表対サウジアラビア(4-1)・・(2000年10月15日、日曜日)


とにかく、素晴らしいゲームでした。何が素晴らしかったかといえば、レベルを超えた自信に支えられた日本代表が、「格の違い」を明確に感じさせてくれたことです。「あの」サウジアラビアを相手にして・・、それも中田ヒデ抜きで・・。気持ち良いことこの上ありません。

 格の違いの本質は、もちろん戦術的なチカラの差。守備においても、攻撃においても・・

 日本代表の攻撃は、例によって、左サイドが中心になります。臨機応変にポジションをチェンジしながら攻撃を組み立てる名波と中村。彼らが中心になったボールの動きは、それは、それはハイレベル。スポーツサイト、「スポーツナビゲーション(Sports Navigation)」でもテーマにしたのですが、日本代表の、素早く、広いボールの動きをベースにした「スペース感覚」は、かなりのレベルまで高まっているのです。

 対するサウジは、もう足許パスばかり。これでは日本の守備陣に完璧に予測(先読み)されてしまうのも道理。彼らの、個人ドリブル突破が主体の強引な攻めで危険なニオイを放ったのは、ほんの2-3度くらいだったでしょうか。

 それに対し、日本のボールの動きがレベルを超えていたことは、観ている皆さんも実感されたに違いありません。そして、攻撃の起点ができたときの「ココゾ!の個人勝負」。素晴らしい・・

 私がまず実感したのは、ボールがないところでの動き(フリーランニング)のタイミングの早さと質の高さです。「動き出しの早さ」なんて言い方もされますよね。そこに、サウジとの戦術的なレベルの差の本質をみていたわけです。もちろん、動いてもパスが来なければハナシになりませんが、昔と違い、決定的な場面ではなくとも(中盤でも)、とにかくスペースへ動いた選手へは、ものすごく高い確率で、「次のプレーに移りやすい、優しいパス」が送り込まれるのです。だから、高質なボールの動きが途絶えることがない・・。それこそ、ハイレベルな「イメージシンクロプレー」というわけです。

 「展開」の中心は名波と中村でしたが、それに積極的に(効果的に)絡んでいた森島、高原、そして柳沢の前線トリオも目の覚めるような活躍を魅せました。攻守にわたる素晴らしい活動量から、ココゾ!のシーンでは、常に忠実に決定的スペースへ(二列目から)飛び出していく森島(もちろん高い確率でパスが送り込まれる!)。やっと「吹っ切れた(エゴイストとしての)勝負」を魅せはじめた柳沢(身体能力の高いサウジ守備陣に対しても競り勝つシーンを何度も魅せた!)。相変わらず「常に」勝負を仕掛けていく積極プレーを展開し続ける高原(素早い動き出しからの左足ゴールは秀逸!!)。頼もしい限りです。

 この試合では、名波が、中盤のリーダーとして抜群の存在感を示していたことも特筆でした。そのベースは何といってもアクティブな守備。彼の、忠実、そしてクリエイティブな守備能力は、セリエにいってより磨きが掛かったようです。そしてそれが、彼の攻撃におけるクリエイティブなリスクチャレンジプレーのベースになっていただけではなく、中盤のパートナーである中村の「守備姿勢」にもポジティブな影響を与えていた・・

 中村の守備ですが、中盤中央でも、サイドでも、徐々に、そして確実に実効レベルをアップさせています。彼も分かってきたに違いありません。「次」の攻撃に、効果的に移っていくためのベースが守備であることを・・。これまた頼もしい限りではありませんか・・

 短い時間でしたが、交代出場した小野のプレーにも、高い「守備意識」によって、チームメイトの信頼を勝ち取り、そのことで、自らが「中心」になった攻撃ユニットを、より実効あるカタチで展開できることを体感している(経験している)と感じました。

 彼ら以外にも、チームに欠くことのできない中盤守備のリーダー、稲本、攻守にわたり、ねばり強い安定プレーを披露する明神、余裕まで感じられるようになってきたフラットスリーなど、観ていて楽しい限りではありませんか。

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 それにしても、日本代表は強くなりました。そのベースが、発展した自信であることは明白な事実です。全力のリスクチャレンジプレーを続けることで獲得し、深められた自信・・それです。だから、どんな状況でも、またどんな相手とでも、彼らのチカラが、常に100%発揮されるのです。

 その急速な発展プロセスは、世界でもあまり例がないのでは・・なんてことまで思ってしまいます。優れた「心理マネージャー」、フィリップ・トルシエの面目躍如といったところです。もう何度も書きましたが・・

 とにかく、素晴らしい試合を堪能させてくれた日本代表に対し、感謝しきりの湯浅です。朝方でチョットアタマが回りにくくなっているので、今日はこの辺りで・・




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