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素晴らしい「内容」が詰まったエキサイティングマッチでした・・アジアスーパーカップ第一戦(至日本平)・・清水エスパルスvs(サウジアラビア)アル・ヒラル(1−2)・・(2000年12月3日、日曜日)


後半のエスパルスのサッカー・・。それを見ていて、「第二戦はアル・ヒラルのホームだし、そこで勝たなければならないけれど、失うものがないエスパルスは、絶対に『何か』を成し遂げてくれるに違いない・・」、そう確信したものです。

 後半のエスパルスの戦いは、本当に「感動的」でした。後半がはじまってまってすぐのサントスの「追いかけゴール(これで1-2)」。そしてその後の、伊東に対する「明らかなPKファール」(レフェリーは流してしまう!)・・、澤登の完璧なフリーシュートチャンス(ミスキック!)・・。「一人足りない」にもかかわらず、後半のエスパルスは、最後の最後まであきらめずに試合を支配し続け、アル・ヒラルのゴールへ迫り続けたのです。感動的なサッカー・・でも・・

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 このスーパーカップに勝った方が、来年の世界クラブ選手権に出場するという、「直接的に世界へつながる」勝負の試合。両チームともに、極限の「意欲&集中力」で試合に臨んでいたに違いありません。

 ただ前半の「サッカー内容」は、明らかにアル・ヒラルに軍配が上がります。エスパルスのペリマン監督が、「前半の立ち上がり20分は我々のサッカーだった・・」と述べてはいましたが(たしかに何本か良いカウンターはありましたが・・)、その立ち上がりの20分も含め、前半はアル・ヒラルのペースだったことは否定できないのです。確実な最終守備ラインの守備と、中盤での驚くほどアクティブな守備(ワントップ・・そして中盤を厚くした積極的なフォアチェッキングを展開!)は見事。

 そして彼らは、そんなアクティブ守備をベースに、エスパルスの「ボールの動き」を寸断し、単調ではありますが、「個人のリスクチャレンジ(ドリブル勝負)」を主体にした危険な攻撃を仕掛けてくるのです。それを受け止め、最前線のアレックス、右サイドの市川、はたまた左サイドの吉田が、機を見計らったカウンター攻撃を繰り出すエスパルス。でも・・

 さすがにクラブチャンピオン、アル・ヒラル。たしかに実力には確かなものがあります。先発メンバーのうち五人がサウジアラビアの代表選手であり(「あの」、アジアカップにおいてサウジアラビアの秘密兵器といわれたシャルフーブ、優秀なチャンスメイカー、テミヤートもいる・・)、そこに、元コロンビアの代表、また元ナイジェリア代表選手が、うまくミックスされています。

 とにかく、前半のアル・ヒラルが魅せた、中盤での積極ディフェンスをベースにした、突き刺すような押し上げは見応え十分。その「勢い」が、エスパルス選手たちの「前への心理パワー」をかなり押さえ込んでしまったのです。そして前半35分、まず前線でボールをキープしていたサントスが、イージーにボールを奪われてしまいます。そこからの一気のタテパスを「一旦」は抑えた森岡でしたが、アル・ヒラルのトップ選手にプレスを掛けられたこともあって、結局はミスパスをしてしまいます。それを拾ったアル・ヒラルのトップ、元コロンビア代表のリカルド・タマージョがそのままドリブルで突き進み、最後のシーンで(ペナルティーエリア内で)、戸田が引っかけられてPK(ファールされたリカルド・タマージョが決める)! そして戸田にはレッドカード!

 また前半のロスタイムには、右サイドからのセンタリングが「混戦」になったところを、再びリカルド・タマージョに追加ゴールを決められてしまいます。これで「2-0」・・

 この時点では私は、「これは内容的にも、勢い的にも、エスパルスは立ち直れないんじゃないかな・・」なんて思っていたものです。それが・・

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 ただ、そんな私の安易な予想に反し、(本当に嬉しいことに!)後半のピッチに出てきたエスパルスは、まるで別人のような、攻守にわたる「スーパーダイナミック」サッカーを披露したのです。もちろんそれには、(2点もリードしていること・・またコンディションがついてこなかったこともあって?!)アル・ヒラルの「中盤ディフェンス」が、前半と比べて格段に甘くなったこともあるのですが、私は、エスパルスの、二倍にも、三倍にも跳ね上がった「中盤ダイナミズム」が、アル・ヒラルを「物理的・心理的」に、完璧に抑え込んでしまった・・と捉える方が自然だと思っています(それほどエスパルスの変身にはインパクトがあった・・)

 そしてエスパルスは、アル・ヒラルに、まったくサッカーをやらせないくらいグラウンド全体を支配してしまいます。

 もちろんそのベースは「中盤でのアクティブ守備」。やはりサッカーでは、「守備」が基本なのです。この試合では、そのことをまたまた再認識させられてしまって・・

 森岡を中心に抜群のスタビリティーを魅せるフォーバックを基礎に、中盤選手たちも、前後左右に激しく動き回りながら、積極的に、リスクにチャレンジする守備を魅せます(予測ベースで、どんどんとパスレシーバーへの早目のアタック&プレスを敢行!)。またボールを奪い返したら、右サイドの市川、ボランチの伊東なども、どんどんと「最前線」まで飛び出していきます。また安永と交代したオリバ、澤登と交代した平松も(平松の高い技術をベースにした前へ行く意識の強さに感激!)、「常に」ギリギリのリスクにチャレンジし続けるのです。それはそれは感動的な「攻撃サッカー(もちろん攻撃的なディフェンスを基盤にした!)」だったのです。

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 最後にもう一度・・アウェーであろうと、2ゴール以上の差で勝たなければならないにしても、エスパルスの戦士たちは、この試合での後半に魅せた「素晴らしいアクティブサッカーのイメージ」を持ち続け(それ以上に発展させて!)、サウジでの第二戦でも、我々に「感動」を与えるサッカーを展開してくれるに違いないと確信する湯浅なのです。

 ガンバレ! エスパルス!!




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