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アウェーにもかかわらず積極的な試合を展開したエスパルスでしたが・・アジアスーパーカップ第二戦(至サウジアラビア)・・アル・ヒラルvs清水エスパルス(1−1)・・(2000年12月12日、火曜日)


何故ゴールが決まらないんだ・・どうして・・

 私は、ゲームの残り20分間、本当にジリジリとして試合を観戦していました。安永の絶対的なフリーチャンス、二本の森岡のビッグチャンス、伊東や平松のシュートチャンス・・

 ツキ・・?? まあ、その面が大きかったのかも・・。ただそれ以外にも、「決定力」という、つかみ所がなく、それでいて最も頻繁にメディアに登場する要素もあります。決定力とは、言うまでもなく「シュートチャンスをしっかりとゴールへ結びつけるチカラ」のこと。技術的、戦術的なファクターもありますが、もっとも大きなものは、やはり「心理・精神的」なものでしょう。どのくらいの「場数」を踏んだか・・、「ビッグ・プレッシャー」の中でゴールを決めた「体感」を、どれくらい積み重ねてきたか・・、そしてチャンスにおいて、いかに「ゴールの中に転がっていくボール」を明確にイメージできるか(最後の瞬間での落ち着き?!)・・等々・・

 第一戦でのエスパルスは、「チカラの差」を見せつけるように、後半は攻めっぱなし。でも肝心のゴールは、サントスの一点だけ。そしてこの試合でも・・

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 ゲームですが、両チームともにチャンスメイクがうまくいきません(両チームともに、かなりの守備重視ゲーム戦術!)、それでも(第一戦も含めた)全体的な「攻撃のクオリティー」では、確実にエスパルスに軍配が上がります。ボールをしっかりと動かし、アレックスの突破力、二列目、三列目の飛び出し、サイドバックのオーバーラップなど、変化のある攻撃を仕掛けていこうとする「戦術的な意図」に、クオリティーの差を感じるのです。アル・ヒラルの攻めでは、ロングパスからの個人勝負ばかりが目立っていましたからネ(彼らの攻めの発想はそれしかなかった?!)。ただいかんせんエスパルスには、攻撃の最終シーンを演出する「オフェンスのリーダー(コア)」が不在で・・

 両チームともに攻撃に割く人数が限られていましたから、容易に、決定的なカタチを作るまでには至らないのです。そんな展開のなか、(当初のゲーム戦術どおりに)ココゾ!というワンチャンスを活用した、伊東の決定的センタリングは見事の一言でした(左サイドから、右足のアウトサイドを使った正確なセンタリング・・ビューティフル!!)。

 また、最初の安永の見事なヘディングシュートを、これまた見事なセービングで防いだ「アジアの壁」、デアイエ。素晴らしい! 最後は、詰めていた市川が、ドカン!とアル・ヒラルのゴールへシュートをたたき込んで先制ゴ〜〜〜ル!! 素晴らしい。

 市川ですが、清水での第一戦、そしてこの第二戦を通じ、自身のキャパの高さを存分にアピールできていたと思います。すぐにでも日本代表に復帰する・・?! 明確な「自分主体マインド」が感じられる、攻守にわたる積極プレーに、十二分な「説得力」を感じた湯浅でした。

 さて試合・・。エスパルスが先制ゴールを挙げた時点で、もう一点たたき込めば、彼らが「世界」へ。ただエスパルスは、それまでと同様に(アル・ヒラルもそうでしたが・・)、「慎重なゲーム運び」に徹します。とにかく「まず」失点をしないように慎重なプレーを続け、「ココゾ!」のワンチャンスをモノにする・・。アウェーであることを考えれば、またアル・ヒラルのカウンター能力を考えれば、大正解のゲーム運びではあります。そして両チームともに、決定的なチャンスを作り出せないまま時間だけが・・

 後半25分、アル・ヒラルにとっては本当に「ワンチャンス」という同点ゴールが決まります。そして、(その失点とは関係なく、エスパルスが二点目を決めなければ先がないという状況に変わりはなかったわけですが・・)そのゴールが、ゲームの流れのターニング・ポイントになってしまいます。エスパルスが捨て身の攻撃を開始し、逆にアル・ヒラルのマインドを「受け身」にしてしまうのです。

 いずれは「捨て身の攻撃」を仕掛けていかなければならなかったエスパルス。その意味では、この失点が、いい意味での(グッドタイミングの)起爆剤になった?! そして冒頭の、「フラストレーションがたまる20分間」に突入したというわけです。怒濤の攻撃を仕掛け続け、何度も決定的なチャンスを作り出すエスパルス。でも、最後のところで決めることが出来ない・・。そして時間だけが刻々と刻まれてタイムアップ・・

 フ〜〜

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 私は、この試合を観るためにミーティングを「途中退場」してきました。(この試合が、本日の早朝に決まっていたとはいえ)結果も知りません。ということで、最後の最後まで、本当に手に汗握っての観戦になりました。最後の時間帯には、ホンモノのエスパルスサポーターになり切っていた湯浅だったのです。

 私は、エスパルスの積極的なサッカー姿勢(マインド)が好きです。彼らが良いときの、吹っ切れた、爽快なサッカーが大好きなのです(サポーターの皆さんの、警戒でリズミカルな応援も・・)。そのことは、もう何度も書いたとおりです(昨年のチャンピオンシップでも同様のコラムを書いたような・・)。

 とはいってもエスパルスのサッカーに、ゲーム内容の浮き沈みが大きすぎる傾向のあること(ゲームペースを安定させられない!)、そして攻めでの最終シーンに「詰めの甘さ」があることも以前と変わりありませんでした。最終的なプレーの流れに「実効ある変化」を加味できるプレイヤー(最終の仕掛けの演出家!)が不足している・・ということです。

 優秀なプロコーチ、ペリマン監督は、この試合を最後にエスパルスを退任します。後任監督の下で、彼らのサッカーが発展するのかどうか・・、来シーズンが楽しみです。




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