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立ち上がりの日本代表のペースは上々。実質的に試合をコントロールしてしまいます。そのベースは、もちろん「中盤守備」。稲本、伊東のダブルボランチコンビと、名波、望月のサイドコンビ、それに小野も積極的に、中盤で、有効なプレッシャーをかけ続けます。
対するメキシコは、一昔前の「南米サッカー」という雰囲気の、各ステーション(選手)での「ボールのこねくり回し」が目立つカッタルい展開です。これだったら、日本チームにとっても、プレスから「次のパスターゲットを狙う」という守備の意図が、面白いように図に当たり、どんどんとボールを奪い返し素早い攻撃を展開します。
この時間帯の小野は、チャンスメーカーとして(基本的には球だし役=パサーとして)本当に効果的なプレーを展開していました。彼の能力に絶対的な信頼を置き、常に「ワンテンポ早いタイミング」で決定的なフリーランニングをスタートする平瀬へ、素早いトラップから、はたまたダイレクトで、面白いように「決定的スペース」へのパスを通してしまいます。
それだけではなく、最前線からのチェイシングなども積極的な小野に、「ヨシ!! (やっと?!)プレーが良くなってきた・・」と安心したモノだったのですが・・
その後、カウンター気味の攻めで、一発サイドチェンジパスから決定的な「フリー」シュートチャンスを作り出したメキシコが(大岩が全力でマークポジションへ戻らなかった・・ただ楢崎がギリギリのところで足で防ぐ!)、中盤を制して試合のペースを握り、27分には、ラミレスのフリーキックから、スアレスがフリーシュートを放つ(バーに助けられる)決定的チャンスを作り出します。
前半のシュート数は、日本の七本に対し、メキシコはたったの「二本」。ただ、日本の「安パイ」シュートに対し、メキシコのそれは、まさに「決定的」。全体的なゲーム内容とは正反対の「結果」であり、選手たちの心理にも、何らかの暗いカゲを落としたに違いありません。
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そして後半早々の、メキシコ、パレンシアの退場劇。ただ私の「不安」は、数的有利な状況になって、逆に増大していったモノです。
それは、日本代表の「リスクチャレンジ」の姿勢、つまり「自分主体の仕掛け」の姿勢に、大いなる不安感を抱いていたからです。「足元への安全パス」をつなぐだけという日本代表のプレーから、明らかな「アナタ任せ」的なマインドを感じていたのです。
後半10分のメキシコ、セペダのゴールは、(パレンシアの退場による)人数の違いを、グラウンド上の選手たちが{「実感」するまでの僅かな時間帯における、「ココダ!」の勝負所を心得たメキシコの見事な先制ゴールでした。
だからそのゴールが、数的有利になって、逆に(日本代表が)気が緩んだコトによるものではないとは思うのですが、それでもゴールが入った後の日本の攻撃姿勢を見ていて、ア〜〜これはダメだ・・と感じてしまって・・
もちろんメキシコが、ゴールの後、「前後のバランスが取れた」守備固めにはいったこともあるのですが、何といっても日本選手たちの「仕掛けの姿勢」に問題アリ・・、そしてそれは、リーダー不在のこの日本代表チームでは、確実に越えられない「心理・精神的なカベ」だと確信してしまったからでした。
そして案の定という展開に・・。ボールは動きますが、それが、相手の決定的なスペースを狙うという「危険なニオイ」を帯びたモノではなく、とにかく安全にチーム内でボールをキープしている・・という「勝負(仕掛け)意図が感じられない」ものだったのです。
「リーダーがいない・・」。それは本当に切実な問題でした。まだ小野は無理にしても、セリエを経験している名波に、「オイ! オマエ何やっているんだ! フザケルナよ。なんでパスした後走らないんだヨ! もっと自分で積極的に仕掛けていけ!!」と、率先してチームに「心理・精神的なダイナミズム」を吹き込む役を期待するのは酷なんでしょうか・・もちろん名波自身は、そこそこの積極プレーを展開してはいましたが・・
小野はガンバリました。ただ攻撃では、メキシコ守備が「アッ、コイツはパスしか狙っていない!」と簡単に分かってしまう態度のプレーを続けます。また、ボールを持ち、次に展開した(パスを回した)状況でも、その「次」に自分自身が積極的に絡んでいく(オレが中心になってボールを仕掛けてやる!なんていうネ・・)というマインドを感じることもありませんでした。
才能に溢れる小野。彼には、前のスペースが空いた状況でパスを受けるなど、チャンスとあらば、爆発的な勝負ドリブルで突っかけていくなど、相手が「パスか? 突破か?」と迷うような「勝負師プレー」や、常に「爆発的」なパス&ムーブで「オレが中心になってボールを動かしてやる!」という気概を感じたかった湯浅でした。
そろそろ小野は、「オレはパサーだ・・」なんていう「前時代的」で単純な発想から吹っ切れなければ・・。彼のプレーから、もっともっと「エゴイスティック」な勝負師としての雰囲気を感じたい湯浅なのです。
また小野の守備ですが、確かにチェイシングは目立っていました。ただそれも「狙いが定まって」いないレベルです(積極的に追い掛けるマインドはオーケーとして・・)。そんな、チャンスを見計らったチェイシングだけではなく、中田のような「相手の次の意図を読んだ」守備参加(要はインターセプトや相手の受け手がパスを受けた瞬間を狙ったアタック!)を期待します。
そんなに多くはないメキシコの攻めのなかでは、大きなサイドチェンジパスが目立っていました。それに対し日本代表でのそれは、ほんのわずか・・。日本代表が、「攻撃ゾーンの変化」をつけることが全くできていないことの証明です。
そうです。効果的な攻撃の最重要キーポイントの一つが「変化」なのです。そのために、サイドチェンジが必要だし、爆発的なパス&ムーブや決定的フリーランニング(&タイミングの良いスルーパス!)、中盤からの(スペースをつなぐ)勝負ドリブル、はたまた後方からの「勝負のロングラストパス」などが有効なのです。それなのに日本の攻撃は、中盤での「安全なショート・ショート」ばかり・・これでは・・
そんな、「攻撃に関する統一されたイメージ」がなく、まったく危ない雰囲気を醸し出せない日本チームの攻めを見ていて、「これは、攻撃に関するチーム戦術(選手たちの次のプレーに対するピクチャー=イメージシンクロプレー)が確立できていない・・その部分についても、トルシエは責任を負わなければならない・・」と思いました。
シュート数では、メキシコの「6本」に対し、日本代表は「14本」も打ちました。それでも、相手守備ブロックを「崩して」打てたシュートが皆無に等しいのでは・・
試合全体を通じた「内容」では、「チームとしてそこそこのチカラ」を見せた日本代表。それでも「勝負」という視点では、まだまだ世界との差が見え隠れしていました。それは、もう何度も繰り返している「組織と個人のバランス」という視点のことです。
(個人的なスキル、またチーム組織としての)チカラは上がってきているのだから、どうしてもっと自信を持って「個人勝負」にトライしないのか・・、どうしてもっとリスクにチャレンジしないのか・・、どうしてもっと自己主張しないのか・・。
諸君は、(最終的には)自分主体で「自らの道」を切り開いていかなければならない個人事業主(=プロ)なのだから、それがなければ決して世界へつながる「扉」を開くための「キー」を見つけだすことはできない・・