早朝に、2000年ヨーロッパ選手権の開幕戦、ベルギー対スウェーデンを観戦し、ちょっと寝て、そのまま東京駅へ向かったというわけです。フ〜〜
今回のヨーロッパ選手権、優勝候補筆頭はもちろんオランダ。フランスワールドカップでは「内容チャンピオン」でしたし、ライカールト監督をサポートする体勢もしっかりとしていると聞きますからね。オランダの「内紛(人種的な対立?!・・スリナム問題なんて言われますよネ・・)」は、ライカールト監督になったことで、今回は大きな問題にはならないに違いありません。
チーム力は充実。ベルカンプが絶頂期を過ぎたのは気に掛かりますが、全てのポジションに穴がないといっても過言ではありません。また何といっても「ホストカントリー」ですからね。
次がフランス。ハッサン二世杯の決勝(対モロッコ)では本領を発揮(?!)し、素晴らしいアクティブサッカーでモロッコを一蹴しました。メンバーは、二年前のワールドカップチャンピオンとほぼ同じ。充実しているじゃありませんか。このチームに対して、日本が「あと一歩」というところまで追い込んだことは本当に彼らの自信になったに違いありません。それも、彼らが最後まで「リスクチャレンジの姿勢」を持ち続けたからです。チャレンジのないところに、「自信の深化」は決してないのです。
さて「その次」ですが、イングランド、スペイン、イタリア(ビエリが出場断念?!)などが入ってくるんでしょうね。そしてダークホースに、ベルギー(これまた地元!)、ポルトガルやチェコ、ユーゴスラビアなんていうチームが挙がってきそうです。これまた、他のメディアが書いているとおりでございますヨ。
さてドイツ。私の第二の故郷ですから・・「参加意識」は、推して知るべし・・なんです。
先日の「ヤフースポーツ2002クラブ」でも書いたのですが、現在のチームの「サッカー内容」はもう最低。これは、全てのエキスパートの一致した意見です。ドイツが本来の(美しさと強さを兼ね備えた)姿にもどれるまで、一体何年かかるんだろう・・なんて、本当に心配しているんですヨ。なにせ「将来の期待の星」がほとんど育っていないんですから。これは「体質的」な問題とせざるをえない?!
ただ湯浅は期待しています。だれにも期待されていないドイツだからこそ、期待しているんです。彼ら自身も「自分たちの最低サッカー」を感じているハズ。だから彼らは、まずしっかりと守ります。そして守ったときのドイツは強いのです。彼らの「マンオリエンテッド」主体の守備システムは、堅実・忠実そのもの。そして少なくとも簡単に失点せず、ワンチャンスを・・。期待しています。
「そうなんだよ。ヤツらのサッカーはヒドイよな。だから逆に、ヤツらに期待できるとおもうんだけれど・・。それでも、内容がないサッカーで勝ったら、逆に世界中からブーイングされちゃうんだろうな・・」ドイツのエキスパートと、そんなハナシをしたものです。
さてどうなるか・・。今から期待で胸がふくらむこと・・
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さて、開幕戦のベルギー対スウェーデン。
全体的な「内容」としてはベルギーに軍配が上がります。ということで、ベルギーの順当な勝利・・っていうことなんでしょうが、ともあれまず、大きな大会の開幕戦で「決着がついた」ことを評価したいと思います。開幕戦では、互いに危険を冒さず(確かに両チームともに注意深く立ち上がりはしましたが・・)、慎重に、慎重に・・というのが普通ですからね。でも考えてみたら、開幕戦における「セレモニアル」な雰囲気は、前々回のワールドカップまで・・最近では、最初から「グループリーグ戦」の一環・・ってなプレー姿勢が見えます。これには「勝ち点3」のシステムが生きている?!
この試合で一番面白かったのは、両チームともに、同じ「最終守備ラインシステム」で戦ったことです。「ライン・フォー(フラット・フォー)」・・それです。もちろん、どんどんとラインを上げてきます。
テレビ中継のテクニックもまあまあ。攻撃チームの「仕掛け」の場面では、ほとんどのケースで「最終勝負のダマシ合い」を観察することができます。「最後のタイミングでのウラ取り合戦」。エキサイティングそのものです。
最終ラインの「安定度」は、両チームともに互角。「ブレイクポイント」のタイミングも上々です。例えば、相手最前線の選手が「戻り気味」でタテパスを受けるような状況では、すでにその時点でラインがブレイクし、厳しいマンマークへ移行します(もちろんこれもケースバイケースで、マークの受け渡しはありますが・・)。また、後方の「タメ選手」からのスルーパスやセンタリングのシーンでも同様。
この試合で、素晴らしいタイミングで「ライン崩し」に成功したのは、ほんの数回。それも、例外なく「二列目の選手」の飛び出しでした(ムペンザのゴールシーン以外の、後半に魅せた、後方からのタテパスと、中盤選手の直線的な爆発ダッシュがピッタリと合ったシーンは特筆モノ・・スウェーデンGKのギリギリのセービングでスウェーデンが命拾い!!)。
この試合では、本当に「ラインの構成(コントロール)」、「ブレイクポイント」、「タテのマークの受け渡し」、つまり「中盤選手の(タテへ走り抜ける二列目選手)マーキング」などに目を凝らしてしまいました。
今回の大会における、「ゾーン(ポジショニング)バランス・オリエンテッド守備システム」と「マンオリエンテッド守備システム」のせめぎ合い・・面白いじゃありませんか。ドイツは、伝統的な「マン・オリエンテッド」でしょうがね(彼らはそれ以外できない?!)
それは、今回のヨーロッパ選手権での私のメインテーマの一つです。
でもこの試合は、全体的な内容としては「低調」。攻撃の「最終シーン」では、やはり「組織プレーにも長けた才能」が必要なのです。
最後に、ムペンザが奪ったベルキーの二点目(後半1分?!)。ラインを崩した「美しいゴール」をプレーバック。
ベルギーの二列目の選手が、左サイドの後方で「タメ」た瞬間、ベルギーのセンターフォワードが、タテパスを受けようと「下がる」動きをします。その瞬間、スウェーデンの最終ラインの一人が、そのベルギーセンターフォワードの動きにつられて「前」へ上がり「ラインがデコボコ」になってしまいます。そこが勝負の瞬間でした。そのセンターフォーワードの足元へタテパスが通り、そのセンターフォーワードが、彼の「横ポジション」からタテへ走り抜けようと動いたムペンザへ「ダイレクト」でパスを回したのです。これで、スウェーデン最終守備ラインに空いた「唯一の穴(デコボコになった箇所)」を完璧に破ってしまったのです。
「フラットライン守備」。それを破るのは、このような、「最終守備ラインの選手」を釣り出す動き(センターフォワードの戻り気味の動き)と、そのことによって出来た「スペース(穴)」を使う「二列目選手(ムペンザの基本ポジションは最前線・・でもこの局面では二列目だった!)」の動きが、「素早く決定的なボールの動き」によって有機的に連動することが最も効果的ということです。
皆さんも、そんな最終守備ライン周辺での「ボールがないところでの最終勝負ドラマ」に目を凝らしてみてはいかが・・。エキサイティングなことこの上ありませんヨ。
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さて次は、日本代表対スロバキア戦のレポート。できる限り早くアップできれば・・と考えていますので・・(あと20分くらいで仙台に到着です!)
今後とも、ヨーロッパ選手権についてはテレビ観戦をベースにレポートすることになります(残念なのですが、いろいろなことがあって現地へ行けませんでした)。まあ、たくさん試合がありますから、「日記」的に(自分の記録としても)、毎日アップデートするつもりではいます。ご期待アレ・・