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期待はずれマッチ、ドイツ対ルーマニア(1-1)・・エキサイティング勝負だったイングランド対ポルトガル(2-3)・・(2000年6月13日、火曜日)


まずドイツ対ルーマニアから・・

 この試合は、両チームともに「落陽」といった雰囲気です。ルーマニアではハジ、ドイツではマテウス・・そして試合内容も、そんな雰囲気に見合ってしまって・・

 両チームともに、ボールの動きが緩慢。それはそうです。中盤での「意図をもった動き」が少なすぎるのですから・・。ボールがないところでのムーブメントがなければ、ゲーム内容を活性化し、エキサイティングなコンビネーションプレーを演出することなど夢のまた夢。

 ドイツでは、ショル、ヘスラーの一発ドリブル勝負やサイドからのビアホフを狙うセンタリング、そしてロングシュートだけ。以前のような「流れるようなボールの動きからのウラ取り」という美しいシーンは、前半40分頃の、ヘスラーのワンツーで抜け出たプレーくらいでした。寂しい限りです。

 対するルーマニアも、ハジがまったく頼りにならず、以前のような、彼を中心にした「夢のようアイデアにあふれた仕掛け」ではなく、イリエ、モルドバンという「才能ツートップ」に頼る攻めをくり返さざるを得ません。ということで、こちらの攻めも単調そのもの。

 この試合は、「内容」と「結果」が見合っていた・・とするのが妥当のようです。とはいっても後半のドイツは、ビアホフが二度ほど決定的なヘディングチャンスを得るなど、やはり「決定的なカタチ」を持っているチームは強いな・・とは感じましたがネ。

 この試合で、一番ガッカリさせられたのは、ドイツの「守備力」でした。よく「ドイツ魂」なんていわれるじゃありませんか、その「本質」は、中盤の爆発的にダイナミックなディフェンスにあるのです。中盤での「予測ベース」の、ガンガンガ〜ンという迫力アタックから、ボールを奪い返した者が、そのまま攻撃の最終シーンへ絡んでいく(最終シーンを演出する!)。また中盤での勝負ドリブルや迫力ワンツーの繰り返しなどなど・・。それが、このドイツチームからはまったく感じられません。

 そしてマテウスが限界を見せて交代。ヘスラーもそれに続き・・出てきた新星(のハズの)ダイスラーも期待はずれ・・頼るは、一発センタリングからのビアホフのヘディングのみ・・これでは・・

 それでも、相手が強く、押し込まれるなど、もっと追い込まれ、レベルを超えた「刺激」を受ければ・・なんて、まだまだ「ドイツ魂に対する期待」を失っていない、「参加意識バリバリ」の湯浅なのですが・・

 とにかく見所の少ない低調なゲームでした。フ〜〜〜

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 さて次はイングランド対ポルトガル戦をレポートしましょう。

 この試合は、本当に面白い展開になります。まず前半3分。右サイドでボールをもったベッカムから、本当に「ここしかない!」というセンタリングが、ポルトガルゴール前へ飛びます。例の、横に並んでいる最終ライン選手たちの「間のスペース」へのピンポイントセンタリング。それが、後方から走り込んだスコールズにピッタリと合ったのです。これはもう、「ベッカムが右サイドでボールをもったら、確実に『ここ』へセンタリングが上がる!」という、マンチェスター・ユナイテッドのコンビ(ベッカムとスコールズ)のイメージが完璧にシンクロした「最終勝負」としか表現のしようがありません。イヤ、素晴らしい!!

 次が前半15分、右サイドでキープしたオーウェンからのパックパスを受けた、これまたベッカムが、ファーサイドへ「完璧フリー」で走り込んでいたマクマナマンへ、ピッタリのピンポイント・ラストパスを通し「追加ゴ〜〜ル!!」。

 このシーンでは、マクマナマンの「前」で、後方から爆発ダッシュして走り込んだスコールズの、「ディフェンダーの意識とアクションを引きつけた動き」に大拍手を送りましょう。それで、マクマナマンが「より完璧にフリー」になったわけですからネ。

 これで、イングランドが「2-0」のリード。もう試合は決まったかな・・なんて湯浅は思ったものです。というのも、(その時間帯までの)ポルトガルのサッカーに「進歩」が感じられなかったからです。彼らは、相も変わらず「中盤でのこねくり回しキープからの足元パス」をくり返しているだけなんですから。そして、中盤での、勝負を賭けた仕掛けドリブルもなし。変化をつけるロングパスもなし。中盤での「こねくり回し」からのショート&ショートをくり返す・・これでは・・なんて思っていたんですよ。それが・・

 前半22分、まずフィーゴが、センターサークル付近からのドリブルから、本当に「目の覚めるような」ロングシュートを、イングランドゴールの「右上角」に、ドカン!と決めてしまったのです。その前にも、ルイ・コスタの強烈なロングシュートがありましたから、ロングシュートは、ポルトガルの「攻めのイメージ」の中に完全に組み込まれているんでしょう。イングランドの最終守備ラインのウラを突くのは容易ではありませんからネ。

 ポルトガルの攻撃イメージは、強いピンポイントセンタリング(フワッというセンタリングではイングランド守備に勝てっこない!)と、イングランド最終ラインの前のスペースへ入り込んだロングシュートを多用するゾ!・・ということにかなり集約されているような・・

 そんなことを思っていた矢先の前半37分、本当にポルトガルが同点ゴールを決めてしまいます。右サイドで「フリーで」フィーゴからパスを受けたルイ・コスタ。しっかりとルックアップして送り込んだ、「ニア」へのピンポイントセンタリングが、走り込んだジョアン・ピントに「夢のような正確さ」で合い、素晴らしいダイビングヘッドてゴールが決まったのです。

 素晴らしく美しくエキサイティングなサッカーはやるが、勝負には勝てないポルトガル・・そんな固定イメージを払拭するに十分な、印象的なゴールシーンではありました。

 そして後半14分。グラウンド中央でパスを受けた、これまたルイ・コスタが、前方のスペースをドリブルで進みます。これが「仕掛けの序章」。そこにイングランド選手が二人チェックにいきます。ただ、ファーサイドでは・・

 そこにいたのは、フリーになっていたヌーノ・ゴメス。前半から、精力的な決定的フリーランニングを仕掛け続けていたゴメスですが、やっとそれが報われた?!

 このシーンで、ゴメスをマークしなければならなかったのはアダムス。ただ彼は、ボールを見ています。ボールを持つコスタと、ゴメスの「中間ゾーン」にポジショニングしているのです。もちろん「背後」のゴメスは分かっていたのでしょうが、このタイミングだったら、ゴメスへパスが通っても「間に合う」と判断した?! ベテランで、堅実・忠実、そしてクリエイティブな守備をするアダムスの「予測」が、本当にほんのチョットずれた瞬間でした。

 そして、倒れ込みながらも、コスタがラストパスを通してしまいます。ゴメスの後方には、ガリー・ネヴィルもいたのですがネ・・。アッ、しまった! と、アタックにいくアダムス。でも時すでに遅し・・。そしてゴメスの、本当に「落ち着いた」ゴールへのパスが(飛び込んでくるイングランドGK、シーマンの身体をフワッと越すような)、イングランドゴールの右隅に決まります。

 その後のイングランドの大迫力攻撃・・。ベッカムが、どんどんと決定的なパスをポルトガルゴール前へ送り込む・・、スコールズが、後方から(守備にとってはマークがし難いカタチで)どんどんと最終勝負シーンに絡んでいく・・、シアラーがアタマで流したボールに二列目が飛び込む・・、そんな迫力攻撃でしたが、最後は「攻撃の変化」が感じられなくなったことで、ポルトガル守備陣も、落ち着いて対処できていたように思います。

 これで、ポルトガルの大逆転劇がパーフェクト・・

 たしかにポルトガルの攻めには、まだ「勝負所に対する鋭い感覚」という意味で不満は残ります(全体的には、勝負所でのパス出しのタイミングがまだ遅い・・)。それでも「勝負シーンに対するイメージシンクロレベル」は、前回の1996年大会から比べれば、かなり進歩したようにも感じるのです。これで、「ファンタスティックだけれど、自らがそれに酔ってしまう・・」、また「ポルトガルは、選手全員が中盤のドリブラー・パサーさ・・」、そんな「刻印されたイメージ」を払拭することができるか・・。彼らのこれからの試合に注目しましょう・・

 イングランドは、惜しい試合を落としました。でも、ポルトガルの二点目、三点目からは、イングランドの守備が、以前のように「頑強な岩」ではなくなっている?! 特に守備ブロックの要の一角である「中盤の底」に課題が見え隠れしているように感じるのは私だけではないでしょう。こちらも、ケビン・キーガン監督による、これからの建て直しに注目・・

 では本日は、ここいらあたりで・・




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