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今大会初のスコアレスドロー、トルコ対スウェーデン(0-0)・・・・(2000年6月16日、金曜日)


この試合は両チームにとって、まさに「トーナメント」。負けたらその時点で「アウト」。引き分けても、決勝トーナメント進出の可能性が限りなく小さくなってしまいます。勝たなければならない試合・・まさにそれだったはずなのですが・・

 試合は、スウェーデンが、シンプルに「長いボール」を多用し「相手を押し込んでしまうように」攻め上がり、トルコは、中盤でのパス、ドリブルを織り交ぜた組み立てから多彩な攻めを繰り出そうとします。

 ただ、両チームともに守備がしっかりとしていることで攻めきれない・・というよりも、最後のリスクチャレンジを仕掛けていく姿勢が消極的・・といった方が正確な表現かも。前半では、ケネス・アンデションが、ラールソンのバックパスを受けて決定的スペースへ抜け出して放ったシュート場面が、「唯一」のチャンスらしいチャンスでした。

 あっ・・と、もう一つ、前半の最後の時間帯のことです。トルコが攻め上がった状況でスウェーデンがボールを奪い返し、中盤の「エアーポケット」のようなスペースをドリブルで駆け上がったシーンがありました。トルコ守備ブロックは、まったく組織されていない。チャンス! ドリブルする選手から、ファー側へ抜け出したスウェーデン最前線のユングベリへ、うまいタイミングでスルーパスが通ります。まったくフリーで、トルコGKと1対1になったユングベリ。ただシュートしようと右足を振り下ろした瞬間、追いついてきたトルコディフェンダーに、後方から、ほんのちょっと「けり足をはじかれて」しまいます。

 けり足を、一瞬「軽く蹴られて」空振りするユングベリ。これはもう明らかに「PK」です。でもレフェリーは笛を吹かない。結局、トルコディフェンダーの巧妙なタックルの勝利・・ということになってしまいしまた。もちろんユングベリの抗議が受け入れられるハズがありません。

 それは、「レフェリーのミスジャッジもドラマのうち・・」というシーンではありました。

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 後半の展開は変わらず。両チームともに、何か「後ろ髪を引かれる」ように攻めるものだから、とにかくチャンスを作り出せる雰囲気さえ醸し出せない・・

 もしかしたら両チームともに、この試合を引き分けて「最終戦」に賭けよう・・ってな心理状態になっているのかも。引き分けてしまったらイタリアの決勝トーナメント進出は決まりますが、最終戦に勝ちさえすれば「二番目のイス」が・・

 とはいっても、スウェーデン最終戦の相手は「試合巧者」のイタリア、またトルコは「地元」のベルギーですから、引き分けてしまったら、両チームともに、かなり厳しくなることは目に見えているのに・・。

 やっぱり、「負けたら大変!」という心境でプレーしているということなんでしょう。だから、攻めも慎重に、慎重に・・ということになってしまう。不確実性要素テンコ盛りで自由なサッカーでは、「慎重に」という心理は自殺行為です。そんな、リスクチャレンジのない攻めでは、絶対に相手をだまして「ウラ」を取ることが出来ないのです。それでも両チームともに、エイヤッという「一発勝負」ばかりを狙ってしまって・・

 ただそんな「間延びした試合展開」が、後半25分の、トルコ、セルゲンのドリブルシュートで、俄然、白熱してきます。

 そのシーンは、攻め上がるスウェーデンの「逆を突く」ようなトルコのクリアによって始まります(前半のスウェーデンのチャンスもそうでしたが、こんな展開では、やはりカウンター気味の状況でしかチャンスは生まれない!!)。

 そのクリアされたボールが、ピタリと、前線のセルゲンにわたったのです。完璧なカウンターチャンス! セルゲンがドリブルで突き進みます。前方のスウェーデン守備は三人。対するトルコ最前線は二人。そこに、後方からセルゲンが、超速ドリブルで攻め上がるという状況。これではスウェーデン守備も、セルゲンに当たりにいくことなんて出来ません。そんなことをしたら、簡単に、スパッというスルーパスを通されてしまいます。

 このことは、どんな「フラットラインシステム」でも同じです。中盤をフリーで抜け出してきた相手ドリブラーに対処しなければならない状況。もちろん相手フォーワードも最前線でウラを狙っています。こんな状況では、最終ラインは「下がりながら味方中盤の戻りを待つ」か、「相手ドリブラーのミスを待つ」しかないのです。

 そしてそのセオリー通り、どんどんとスウェーデン最終守備ラインが戻ります(つまりどんどんとセルゲンに、ドリブル進出のためのスペースを作っている!!)。そして最後は、セルゲンの「フリー」でのロングシュートが、スウェーデンゴールの左サイドを襲ったというわけです。

 シュートをはじくスウェーデンGK。ただはじいたボールが、トルコ中盤のダイナモ、オカンの足元へ・・。結局、ダイレクトでシュートされたボールは、外れてしまいましたが、それは、試合全体を通して、もっとも可能性の大きなゴールチャンスでした。

 そんな「決定的シーン」に刺激された両チームは、やっと、「もうあと15分しかない。これはやるっきゃない・・」ってな心境になったようで、この試合ではじめて、ドリブル勝負やタメ、はたまた、素早いボールの動きに呼応した「自分主体のフリーランニング」など、リスクにチャレンジしていく姿勢を見せはじめたのです。ただそれも・・

 結局は、あまりにも「緩慢」な時間が続いてしまったことで、「全員」のチャレンジ・マインドが活性化されず、アクティブな攻めも「単発」に終始してしまいます。そして、タイムアップ・・(両者、勝ち点1のみ)

 これで「グループB」は、イタリア(勝ち点6)とベルギー(勝ち点3)のもの?! いやいや、サッカーですから。最後のどんでん返しがあるかも・・。そう、例の「イタズラ好きの神様」のことですヨ。エキサイティングゲームを期待しましょう。




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