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完敗でした・・国際ユースサッカー、アンダー19日本代表対アンダー19イタリア代表(1-4)・・(2000年1月23日、日曜日)

試合後、いろいろな打ち合わせがあり、アップデートが日曜日になってしまいました。また日曜日の決勝も観戦できませんでした・・。ということで、この試合については、ポイントだけを短く、短くまとめることにします。

 日本代表とイタリア代表との試合ですが、後半は少しは改善したとはいうものの、全体としては、日本代表の若者たちが、自分たちの「本来のチカラ」をまったく発揮できずに完敗した・・というものでした。選手たち自身も、「何てみっともない試合をしてしまったのだろう・・」と感じているに違いありません。だから、あまりネガティブ批評をするのは止めようとは思うのですが・・

 たしかに、身体的能力に差はありますし、技術的な部分でも、特に正確な中距離・長距離パスの差などが目立っていました。イタリア代表の選手たちは、厳しい練習による自信からか、どんな状況でも、長いパスを常に「イメージ」に入れてプレーします。ということは、パスの受け手も同じイメージでフリーランニングを敢行するというわけで、「攻撃の幅」が、日本チームと比べて段違いに広いのです。

 最初の五分間は、両チームともに「様子見」ですから、互角の展開ではありました。ただ、何度か日本チームが仕掛けようとした局面で、イタリアチームの厳しく、激しく、要所を心得た守備アタックを受けた日本の若者たちが、どんどんと「自分主体で仕掛けていく」ことに消極的になっていったと感じます。そして例によっての「悪魔のサイクル」へまっしぐら・・・

 日本チームは、しっかりとボールを止めることはできるし、短距離パスならば、ある程度は正確につなぐことができます。ただ、一つのステーション(選手)から次への「ボールの動き」のカッタルいこと。そしてそれは、驚きのない「安全パス」ばかり。それは、とりもなおさず、選手たち自身が「次にはオレが仕掛けていってやる・・オレが主体でフィニッシュまでいってやる・・」という積極的な意図をもっていなかったことの証明だと思うのです。

 だから「周りの選手たち」のアクションも後手、後手。ボールをもっている(パスを受けつつある)チームメートとの意志の疎通をはかろうとする姿勢もなく、行き当たりバッタリで、リスクチャレンジの姿勢がまるで見えてこない攻めを繰り返すのです。イタリア守備陣にとっては、怖くも何ともなかったに違いありません。

 常に言っているように、サッカーでは、どこかで「勝負を仕掛け」なければならない局面が出てきます。私は、日本代表の若者たちが、「自分が」その局面に関わらないように・・という姿勢でプレーをしていると感じることもあったのですが・・それって考えすぎですかネ・・。もちろん、ガムシャラに、イチかバチかの攻めを仕掛けていけなんて言っているのではありません。とにかくもっと積極的に・・、自分主体に・・ということが言いたいのです。それがなければ、自分が備える「キャパ」を十分に発揮できるはずがありませんからネ。

 ただ彼らの攻撃は、イタリア最終守備ラインの背後ではなく、「目の前」で、パスタイミングがミエミエの「ジャブ」を繰り返すだけ・・これでは・・

 私は、日本選手たちがもっと積極的に、攻撃的にプレーしたならば、確実にイタリアと良い勝負をしたと思っているのです。彼らには、それくらいの実力は備わっています。ただ、チーム全体が消極ムードに支配されて足が止まってしまうだけではなく、その雰囲気を打破するようなリーダーシップを発揮する選手もまったく出てこない・・。これでは、イタリア守備陣が、「オッ!」と感じるような、積極的な「仕掛けプレー」が出てくるはずもありません。

 試合後のインタビューで、イタリアの監督さんが、「日本は、十年後には良いサッカーをできるようになるのでは・・」、また、「後半、日本があれだけやるとは思いもしなかったヨ・・」などと、完全にバカにしたコメントをしていました(外交辞令でお茶を濁す外国監督よりは好感が持てる?!)。

 もしこのコメントを聞いた選手たちが、「ふざけるなヨ!!」と感じないのならば、彼らはプロを目指さないほうが無難です。彼らに対し、この試合のあと、自分たちから、西村監督に、「何でもいいから、とにかくもう一度、ヤツらと対戦させて欲しい・・、試合できる機会を作って欲しい・・」なんて直訴するような姿勢を期待する方が無理なんですかネ・・

 それにひきかえ、韓国代表のアクティブなこと。彼らのプレーの一つひとつからは、「オレがやったる!」という積極的な意図を感じるじゃありませんか・・。そして決勝では、イタリアを「1-0」で下して優勝してしまう・・

 最終的には「自由に判断、決断、そして実行していかざるを得ない」サッカー。そこで、「積極・自分主体マインド」を失ったら、もうアウトなのです。まったくの「リアクションサッカー」になってしまい、完全な悪魔のサイクルに落ち込んでしまいます。

 日本の若武者たちには、これを「良い機会」として、『攻守にわたる』グラウンド上での「自己主張」をもっともっと意識して欲しいものです。サッカーはホンモノのチームゲーム。それでも、チームパフォーマンスを形作っているのは、選手一人ひとりの、考え続ける姿勢をベースにした積極仕掛けマインド(攻守にわたるリスクチャレンジの姿勢)なのです。




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