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レベルを超えたエキサイティングマッチ・・横浜Fマリノスvsセレッソ大阪(2−3)・・(2000年5月20日、土曜日の深夜)


いや、レベルが高いだけではなく、最後まで両チーム選手たちの集中が途切れないエキサイティングマッチでした。こんな素晴らしいゲームは、めったに見られない・・

 それにしても森島。ものすごい意識の高さじゃありませんか。彼ほど「自分主体」で、攻守にわたって積極的にプレーしていれば、サッカーが楽しくで仕方ないに違いありません(もちろん疲れるでしょうがネ)。それこそ、攻守にわたって大車輪の活躍ではありました。

 何度、彼が決定的な場面でボールを奪い返したシーンを目撃したことか。それは一瞬の出来事。マリノスが、良いカタチでセレッソ守備を引きつけ、フリーな味方にパスをした場面です。一瞬、セレッソ守備陣の足が止まり、マリノスのボールホルダーを「見つめ」てしまいます。「アッ、打たれる!」という、一瞬の「意識の空白」。私も息を飲んだモノですが、スパッという音がするくらいの素早さで森島がアタックしてボールを奪い返してしまうのです。

 そして、また何事もなかったのかのように最前線へ飛び出していく森島。そんな彼の真骨頂は、何といっても攻撃での「ウラ取り感覚」。このことについては、来週水曜日発売の「サッカーマガジン・1/4コラム」にも載ります。

 また、森島が左サイドから持ち込んでキッカケを作った先制ゴールの場面では、チェックにきた相手の股間を抜き、夢のようなタイミングで、マークする相手の「ウラ」へ走り込んた西谷へ、ピッタリのラストパスを通す・・という、「チャンスメーカー」としての高い資質もかいま見せました。

 さてゲームですが、全体的には、押し込んではいるが、簡単にはシュートチャンスを作り出せないマリノスに対し、ココゾ!の危険なカウンターを仕掛けるセレッソ・・といった構図です。

 セレッソですが、カウンター主体とはいいながら、「直線的」に相手ゴールまで迫ってしまうような「タイプ」は少なく、マリノスの守備ブロックが「整うまで」の短い時間に、素早い「組み立て(最後勝負の準備プレー)」まで入れて、例の、決定的な「ウラ取り攻撃」を仕掛けます。ですから、どちらかといえば、状況を見極めたクレバーな「素早い攻め」といった方がいいかも・・

 対するマリノスは、中盤を支配しながらの組み立てから、ココゾ!の「ペースアップ」、ワンツーやドリブル勝負、最前線(中央)への「クサビパス」やセンタリングを入れながら攻め込もうとします。

 ただこの試合でのセレッソ最終守備ブロックは、ギリギリではありましたが、最後までうまく守りきります。ウラを取られるシーンは、本当に数えるほど。彼らの「気合いベースの(?!)集中力」に脱帽といったところ。もちろんマリノスの大パワーに押され気味ではありましたが、まったくフリーでシュートを打たれてしまうようなシーンはほとんどなかったのです。

 この試合では、両チームのボランチが重要な役割を果たします。まずマリノスの上野。どんどんと押し上げる松田の代わりに、何度最終守備ラインに入ったことか。逆にもう一人の遠藤は、後方から、どんどんと押し上げていきます(後方からの押し上げが重要な成功ファクターであることを証明?!)。

 この攻守の棲み分けは、セレッソも同じ。基本的に中村俊輔をマークする田坂に対し、もう一人のユン・ジョンファンは、例によって、後方からの効果的なゲームメークを魅せます。

 この試合での中村俊輔は、二度目の同点ゴール以外は(一瞬のスキを突いた、サイドチェンジ気味のセンタリング・・外池が素晴らしいヘディング同点ゴールを決める!)、ほとんど見せ場を作り出すことができませんでした。彼がボールをもっても、すぐに田坂や、森島にチェックされてしまうのです。また周りの選手たちもハードにマークされていることから、得意のワンツーを使った攻め上がりもままなりません。

 一度だけでしたが、横パスを受けた中村が、「ダイレクト」で、タイミング良く決定的なタテパスを出したシーンがありました。そのタテパスは、中村がボールにタッチする「寸前」に、タテへスタートしたエジミウソンへ出されたもの。ピッタリのタイミングでしたが、ギリギリのところでセレッソの斎藤(だったと思いましたが・・)にカットされてしまいました。このゲームのように、すべての選手が限界の集中力を保つ展開では、普段のような「余裕」を持てるわけではありませんから、このプレーのように、「次のダイレクトパス」を意識してフリーランニングすることが重要なポイントになります(もちろん周りの選手とのイメージシンクロも!)。彼の動きからは、最後まで効果的な「メリハリ・ムーブメント」を見ることはできませんでした。その意味では(中村をディモティベートしたということでは)、田坂によるマンマーク守備戦術は当たりだったようです。

 ちょっと前後しますが、セレッソの西澤について。たぶん彼は、いまの「J」での最高のポストプレーヤーかもしれません。ポストプレーヤーのもっとも重要な能力は、後方からのパスをしっかりとキープできること(もちろん周りへの広い視野を確保しながら・・)。セレッソの攻撃では、彼の優れたポストプレーが、周りの「押し上げマインド」を効果的にモティベートします。彼がボールを「良いカタチ」で「キープできそうな」タテパスが出された瞬間、周りの、ノ・ジュンユン、西谷、そしてユン・ジョンファンが押し上げ、森島が、彼を追い越して「決定的なウラスペース」へ走り抜けるのです。

 それこそ「セレッソ」のカタチ。そこから、西澤がボールを落とし(もちろん彼は爆発ダッシュで決定的スペースへ!!)、ユンが、ノが、西谷が、素早く決定的パスを狙うのです。そのタイミングは、瞬間的に私のアタマのなかを駆けめぐる「理想的プレーイメージ」と合致しますから、心地よいことこの上ありませんでした。

 ちょっと中途半端のようには感じますが、この試合に関する私のファースト・インプレッションでした。

 とにかく、最終節までリーグを盛り上げてくれたセレッソの「超ハイレベル集中力(攻守にわたる、考え続け、仕掛け続けるマインド)」に大感謝の湯浅でした・・




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